近藤 浩一 院長の独自取材記事
近藤歯科医院
(福岡市西区/姪浜駅)
最終更新日:2024/06/14

赤れんがのモダンな外観が目を引く「近藤歯科医院」は、昭和初期より続く歴史あるクリニック。2019年には、初代が歯科医師免許を取得してから100年がたった。大学院まで進み研鑽を深めた後に、3代目院長を継承した近藤浩一先生は、優しい笑顔で丁寧に話す誠実な姿が印象的だ。院長の人柄に惹かれ、祖父母から孫の代まで全員で来院するケースも珍しくないという。専門とする口腔外科をはじめ一般歯科・小児歯科・予防歯科まで幅広く診療。どんな分野でも患者の安心を最優先に考え、早い時期に滅菌システムの導入を決めた。患者を家族のように大切な存在として接するスタンスを崩さない近藤院長に、診療で心がけていることや診療体制、設備、今後の展望などについて話を聞いた。
(取材日2020年8月31日)
祖父、父に続き、3代目として、地域医療に貢献
こちらは長く診療を続けるクリニックだそうですね。

昭和初期に私の祖父が現在の場所に開業し、2代目を父、そして3代目を私が継承して30年近くたちます。私の上は姉が2人で、私が長男でしたから、幼い頃から周囲に「3代目」と呼ばれていましたね。そんな環境で、祖父、父の仕事を見ていたので、自然な流れで歯科医師になる道へ進みました。福岡歯科大学、続いて同大学院、福岡歯科大学医科歯科総合病院での勤務を経て、当院を継ぎました。かつて「3代目は存続させるのが難しい」と言われたこともあり、プレッシャーを感じながらも、子どもの頃から物作りが好きだったので、歯科医師は私にぴったりな職業だったと思います。
患者さまの層はいかがですか。
父と一緒に働いていた頃は高齢の方が中心でしたが、今は家族連れが圧倒的に多いため、小さいお子さまのいる家庭が子どもを預けて来られるように、土曜も13時半まで診察しています。中には一家全員で順番に診察を受けて帰るご家族もいますよ。また、駐車場を備えているので、昔この近辺に住んでいて、引越し後も遠方から車で通ってくださる方も少なくありません。
特に印象に残っている患者さまはいらっしゃいますか。

昔から長く通っていた患者さまが車いすを利用するようになり、「ずっと通いたいから」と、わざわざ当院のサイズに合う携帯スロープをつくってくださったんです。その方は残念ながら数年前にお亡くなりになったんですが、生前からスロープを寄贈するよう家族に伝えてくれていたそうで、現在は当院でありがたく使わせていただいています。印象に残ると同時に、歯科医師としてのやりがいを強く感じましたね。
診療の流れや診療時に心がけていることをお聞かせください。
基本的に完全予約制で、来院後は問診表の内容をもとに診察する流れです。問診票では、今痛い部分だけか、それとも悪いところをすべて治療するのかを確認しています。どちらの場合でもエックス線画像を見ながら悪い部分を説明しますが、痛いところだけと言う方に治療を強要することはありません。一方で、全部を治す場合には、方針を説明してから治療を開始しています。治療の選択肢が複数ある場合に、最終的に本人の意思を尊重するところは祖父、父、私と変わらない部分かもしれません。
患者の安心と安全を最優先に考えて、設備を導入
幅広い分野をカバーされていますね。

一般歯科・小児歯科・口腔外科・予防歯科まで、自分でできることは全部したいですし、引き出しはたくさんあるほうがいいという考えです。開業当時は矯正も行っていましたが、診られる患者数が限られてしまうため、やめて現在のかたちに落ち着きました。また、新しいものを追い求め、先進技術であっても保険が適用されるものはできるだけ早く患者さまにお知らせするようにしています。
先生の得意とする口腔外科について教えてください。
大学院での専攻が、口腔外科。当院では下の歯の親知らずが横に埋まって生えている場合の処置が最も多いですね。クチコミで受診される方もいますが、エックス線を撮ってみて判明するケースもあります。基本私が対応しますが、難しそうであればすぐに大きな病院を紹介する方針です。また、最近はテレビなどで口腔がんを知り、自分もそうではないかと心配される方も多いですね。私が診て少しでもおかしいと思ったら、同じく大きな病院を案内しますが、その際はできるだけ不安を取り除くような声がけをしています。専門分野だからこそ早く異変に気づき、大学病院などと連携するのも私の役目だと思っています。
ご自身が院長になって、こだわった部分はどこですか。

患者さまの安心を第一に考え、滅菌システムを導入しました。当時は器具類もアルコールで拭くのが一般的という時代でしたが、勉強会で「コストはかかるけれど、滅菌を取り入れるべき」という話を聞き、いずれ滅菌が必要とされる時代が来ると見越して、すぐさま機器の購入を決めました。当時では滅菌システムを取り入れる歯科医院はかなり珍しかったと思いますね。また、歯科用チェアユニットも私が院長になってから導入したものです。ドイツ製で、出てくる水が滅菌されるシステムが備わっていたり、削る力が強く処置時間を短縮できたりする機能が搭載されています。最初は1台のみでしたが、現在はすべてそちらに変えました。いずれも安全に治療を受けていただくために、特にこだわった部分です。
お忙しいと思いますが、先生のリフレッシュ方法は何ですか?
最近は週に3回ほど運動することを心がけています。運動はあまり好きではないんですが、体の健康を考えて、百道浜を回り、ドームのほうまで走ることもありますね。
次の代替わりをスムーズに行う基盤づくりに既に着手
院内の体制について教えていただけますか。

歯科医師は私1人ですが、技工士1人、受付1人、歯科助手2人、歯科衛生士5人の体制を整えているので、すべての仕事がスムーズに進んでいます。歯科衛生士はキャリアが長く、自主的に考えて行動してほしい思いもあり、あえて私から指示は出していません。それでも休み時間には情報共有を行い、診療後はブラッシング指導や歯石除去、定期検診の案内まですべて担当してくれるおかげで、私は治療に専念でき、とてもありがたいです。虫歯だけでなく歯周病も、ブラッシングと歯石除去が対処の基本なので、そうした意味でも歯科衛生士の存在が重要になっています。
マウスガードの作製などにも対応されているのですね。
歯ぎしりの気になる方用やスポーツをしている方向けのマウスガード、ホワイトニングに使うトレーなどを作製できる機械があるため、一人ひとりの歯列に合わせて対応しています。最近では知覚過敏の症状を訴える方を診察すると、歯ぎしりや食いしばりが原因のケースも。人は寝ている間だけでなく、起きていても無意識に歯を食いしばっていることがあるんです。患者同士のクチコミから当院を訪れる方もいます。また、歯の表面をシリコンのようなものでクリーニングする“PMTC”を行える機械もあります。歯石除去後に行い、歯の表面に汚れをつきにくくする予防歯科の1つです。PMTCは私から勧めるよりも、ホームページを見て希望して来院される方が多いですね。
今後の展望をお聞かせください。

長い歴史のある歯科医院を自分の代で潰してはいけないという思いで、これまで歩んできました。現在、私の長男が神奈川歯科大学に在籍中で、いずれ戻ってくる意思があるようなので、それまでに新しい機材の導入などを含め、4代目に引き継ぎやすい基盤をつくっておきたいと思っています。当分先の話ですが、人を楽しませるのが好きな息子のつくる新しい「近藤歯科医院」も楽しみです。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
痛いなど明確な症状がなくても、もやっとした違和感や気になることがあれば、気軽に相談してください。以前は「魚の骨が取れない」と来られた方や、蓄膿症を歯の痛みと勘違いしていた方もいました。それに受診してみて、たとえ虫歯があっても、本人や保護者に怒ったり強く言ったりすることはありません。虫歯の本数や状態に関わらず、今回は勇気を出して来てくれたんだと受け止め、前向きに説明するようにしています。もともと歯科医院を嫌がる人は多いので、なるべく「怖くない」イメージを持ち帰ってほしいですね。また、やはり歯石取りといったメンテナンスは重要なので、歯科選びに迷った時には、歯科衛生士が多いか、通いやすいかといった視点で選ぶのもいいかもしれませんね。
自由診療費用の目安
自由診療とはPMTC/1回3025円~(初回のみチップ代金500円程度を加算)、マウスガード作製/3850円~、ホワイトニング/1万6500円~、インプラント治療/33万円~
※自由診療のみクレジットカード利用可