繊細なケアと情報共有にも役立つ
マイクロスコープを活用した治療
池尻歯科医院
(福岡市西区/姪浜駅)
最終更新日:2025/01/06


- 保険診療
精密な歯科治療に役立つ歯科用顕微鏡のマイクロスコープ。歯を可能な限り削らない最小侵襲治療のためには、コンマゼロミリの手技が求められることからも、歯科クリニックにとって非常に重要なツールとなっている。神経の根管治療からメンテナンスまで、幅広く活用されているマイクロスコープだが、患者との情報共有に重点を置いて活用しているのが「池尻歯科医院」だ。顕微鏡下での歯科で豊富な経験を持つ池尻敬院長は「患者と歯科医師がお互いに口腔内の状況を理解し共有するために、マイクロスコープは非常に重要」と話す。今回はそんな池尻院長に、マイクロスコープを使った精密治療について語ってもらった。
(取材日2020年8月17日/情報更新日2024年12月25日)
目次
マイクロスコープを活用した精密治療は、情報共有をしながら進める二人三脚のケア
- Qマイクロスコープはどれくらい視野を拡大できるのでしょうか?
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A
▲自分の歯の状態を確認しながら治療を受けられる
歯科用顕微鏡であるマイクロスコープは、簡単に言えば歯科医師にとっての眼鏡です。口腔内を約20倍にまで拡大して見ることができるため、神経の根管治療などで使うイメージがあるかもしれませんが、当クリニックでは診断からメンテナンスに至るまで一貫して使用しています。例えば肉眼で見た場合、歯が10ミリほどだとすれば、虫歯はさらに小さい数ミリの世界。その小さな患部を治療するにあたって、もちろん裸眼でも確認したり削ったりすることは可能ですが、より正確な診断や治療を提供するためにマイクロスコープを使った拡大視野下での精密治療に取り組んでいます。
- Q正確な診断や記録に役立つという利点があるんですね。
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A
▲肉眼では認識できない違和感の原因の発見に役立つ
マイクロスコープは撮影ができるので、口腔内の環境や治療の状況などが可視化できます。そのため患者さんに対して治療計画を提案する際や治療の進行状況などを共有する際に、映像と画像を活用するようにしています。患者さんが歯科治療に対して最も不安に感じることは、口腔内がどうなっているのか、どういう治療をされたかがわからないという点。「今日は虫歯を削りました」と言われても、どこをどう削ったかが不明だと信頼関係を築くことはできません。そうした情報共有という意味においても、マイクロスコープは非常に重要だと思っています。
- Q具体的にはどのような場面で使われることが多いのでしょうか?
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A
▲治療について、モニターを使用し詳しく説明してくれる
初診時の診査・診断はもちろん、虫歯の治療、歯周病の治療、神経の根管治療、そしてメンテナンスでのチェックやクリーニングなど、あらゆるシーンでマイクロスコープを活用しています。虫歯を例に挙げると、可能な限り歯を残すためには削り過ぎないことが重要です。細部までしっかりと見ることで虫歯を取り残さず、なおかつ無駄に削らない治療につながります。歯周病においては、画像や映像で症状を実際に見てもらい、歯石の状態などを細かく伝えることで、治療に必要不可欠なセルフケアの動機づけになることも。歯石を取る場合にも、拡大視野下で作業するため余計な部分にまでアプローチしなくて済み、結果的に低侵襲に抑えることができます。
- Q診査・診断でも虫歯や歯周病を見逃さないという面で有用ですね。
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A
▲「患者さんにわかりやすい治療を提供したい」と話す院長
もちろんリスクを見逃さないという部分において、マイクロスコープの活用は欠かせません。しかし一方で全体を見るということも大切です。例えば患者さんが痛いという部分を拡大して診ても、何も異常が見つからないというケースがあります。そこで全体を俯瞰して見ると、顎関節の問題であったり、筋肉の緊張であったり、別の原因が判明することもあるんです。マイクロスコープには拡大して細部まで見ることができるというメリットもありますが、視野が狭くなってしまう可能性もあります。そのため当クリニックでは、ルーペで数倍に拡大して全体を見た後に、問題がある部分をマイクロスコープでより詳しく見るように気をつけています。
- Qメンテナンスではどのような活用をしていらっしゃいますか?
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A
▲治療について、モニターを使用し詳しく説明してくれる
当クリニックでは治療の患者さんとメンテナンスの患者さんを同時に対応できるように、マイクロスコープを3台採用しています。通常、3〜4ヵ月に1度のメンテナンスを推奨していますが、細かく治療したのに、メンテナンス時のクリーニングやチェックが粗くなってしまっては意味がありませんから。従って歯科衛生士にもマイクロスコープを使ったケアをお願いしています。診療時には毎回、映像や画像を撮影しているので、過去の画像と見比べながら異常がないか、変化がないかなど状態をチェックすることにも役立っています。