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池尻 敬 院長の独自取材記事

池尻歯科医院

(福岡市西区/姪浜駅)

最終更新日:2021/10/12

池尻敬院長 池尻歯科医院 main

JR筑肥線の姪浜駅から徒歩約8分。2020年3月にリニューアルした「池尻歯科医院」は、通りに面したわかりやすい場所にある。姪浜は、古くからの戸建てと近年建ったマンションが混在する地で、地元に生まれ育った家族や転勤でやってきた単身者など、さまざまな人たちが住んでいる。この地に父が開業した歯科医院を、2018年に池尻敬院長が継承。落語が趣味だという池尻院長は、テンポのよい話し方が印象的だ。治療においては、患者の理解が重要と考えて、マイクロスコープで撮影した画像や映像を見せながら丁寧な説明を心がける。そんな患者とのコミュニケーションを大切にした診療を行う池尻院長に話を聞いた。

(取材日2020年7月17日)

マイクロスコープを説明に活用し、患者の理解を深める

リニューアルされた歯科医院は木のぬくもりが感じられてすてきですね。

池尻敬院長 池尻歯科医院1

歯科医師の父がこの地で40年ほど前に開業しました。私が2018年に引き継いだのですが、さすがにあちこち古くなっていたので、これを機に大きくイメージを変えたほうがいいかなと思いリニューアルをしました。いかにも歯科医院という感じではないほうがいいのかなと思って、受付と待合室はリラックスできるように落ち着いた感じにしました。現在、当院は歯科医師が私と父の2人、スタッフ2人の4人体制で対応にあたっていますが、少人数なので効率よく作業ができるように、ヨーロッパ基準の滅菌器や洗浄機を導入しました。治療や手術で使った器具は、徹底して洗浄した後、滅菌・消毒しています。

マイクロスコープを使っての治療に早くから着目されていたと伺いました。

歯科医師になって20年くらいの間、虫歯を削って、詰めてという方法でやってきていたのですが、患者さんは口を開けたままで、何をされているのかわからず不安だろうなということが、いつも頭の中にありました。いろいろ模索していたときに、マイクロスコープという歯科用顕微鏡と出会うことになりまして。その時は、特殊なものだという印象があったんですが、いつか必ず必要になるものだと思いました。結局、患者さんにマイクロスコープで、口の中の拡大画像や映像を見せることができる点が決め手となり、当院でも6年前に導入を決めました。それまで、治療の説明をするにしても、自分の中でもおぼろげだったところが、ある程度クリアになったかなという気がしています。

特に、患者さんに画像や映像を見せて説明することを大切になさっているのですね。

池尻敬院長 池尻歯科医院2

マイクロスコープで口の中を拡大して見られることで、肉眼では見落としそうな病変を発見できることもありますし、治療がしやすくなったことはもちろん大きいです。しかし、それは言ってみれば歯科医師側の事情です。患者さんにマイクロスコープ視点の画像、映像を見てもらい、治療の過程を理解していただくということが一番重要だと思うんです。患者さんに映像を見せて、「今あなたの歯はこういう状態になっています。この歯をしっかり残すにはこういった治療を…」という話がきちんとできます。歯の小さな部分を30分も治療していると、患者さんはさすがに「何をやっているんだろう?」と気になりますよね。けれども、治療中の画像や映像を見てもらうと、こんなに細かい治療をやっているんだと、初めて理解できるわけです。

歯や神経をできるだけ残す治療を

できるだけ歯を削らないことを大事にしていらっしゃると聞きました。

池尻敬院長 池尻歯科医院3

歯は一度削ってしまうと、元に戻せませんよね。できるだけ自分の歯を残して、それを使い続けるというのが理想だと考えています。通常であれば、虫歯になると削って型を採って金属をかぶせる治療を行うと思いますが、小さな虫歯だと、型を採るため余計に削らなければいけないんですね。歯よりも硬い金属をかぶせると下手をすれば割れるリスクも生じます。そうなると歯に必要以上にダメージを与えてしまうわけです。それで当院では、虫歯の場所だけで完結する、ダイレクトボンディングという治療法を提案しています。詳しく言うと、虫歯をピンポイントで削って、コンポジットレジンという歯の色に近い樹脂素材を直接詰める治療法です。

神経についても残す方法があるのでしょうか。

虫歯が神経にまで達している場合、神経を取る治療をする前に、本当に取らないといけないのかと、立ち戻って考えています。歯の神経がなくなると、神経を通じて歯のすみずみに栄養を運ぶことができなくなり、歯がもろくなってしまいます。神経を取って痛みを感じることができなくなれば、歯の異常にも気づきにくくなります。なので、神経は残せるものならやっぱり残したい。以前ならば、虫歯が進んでいれば神経を取るのが主流だったのですが、マイクロスコープのおかげで細かい治療がしやすくなり、最小限の虫歯部分を削りとり、神経を残す処置ができるケースも増えてきました。

歯周病への対応についても教えてください。

池尻敬院長 池尻歯科医院4

歯周病も虫歯も、原因は細菌なんです。細菌というのはまったく目に見えないから、それをどうやってコントロールするかが問題なんです。口の中はもともと細菌だらけなんですが、何かのきっかけでそのバランスが崩れ、歯周病の場合には、歯周病の菌が急激に増えて症状が出ることになります。そこで、何が重要かというと、患者さんがどれだけ病気を理解し、どれだけ予防を心がけて生活できるかということです。具体的には、毎日のブラッシングのほか食生活も大きく関わってきます。日ごろのブラッシングでは防げない歯石をとるケアは、こちらで行います。患者さんに定期的に来てもらって検査ができるのなら、「前回より腫れていますね」など、状態を比較しながら詳しいアドバイスを行うことができます。

日常の手入れと早期治療で、歯に負担をかけないように

患者さんに対して、心がけていることはありますか?

池尻敬院長 池尻歯科医院5

治療に関して、できるだけわかりやすく説明することを心がけています。説明した後、治療をするか、しないかは、患者さんに選択してもらいます。その選択をするのに「今こんな状態です」ときちんと説明してからでないと、患者さんも不安でしょう。患者さんが歯の状態をきちんと理解してくれたら、自分で行う日常のケアが重要であることが自然と納得できるはずです。このエリアは古くから住んでいる地元の方と、新しくできたマンションに越してきた方とが入り混じる地域で、当院に来られる患者さんの年齢層も20代から90代までと幅広いです。そのためか、日常ケアの重要性についても、患者さんの間で認識に差があります。マイクロスコープを使っての治療は、ほぼ皆さんに行っているので、患者さん一人ひとりの理解の差をなくし、きちんと伝わるようにアプローチを変えながら説明することが、課題だと思っています。

先生が歯科医師をめざしたきっかけを教えてください。

うちは祖父も父も歯科医師で、父は今も現役で一緒に仕事をしています。そういう家だったので、子どもの頃からたぶん将来は歯科医師の仕事に就くのだろうなと、ぼんやりと思っていました。実際に歯科医師の仕事に就いて、患者さんの歯を治療して喜んでいただくのを経験した今は、やっていて良かったとやりがいを感じています。患者さんにわかりやすく説明して理解してもらうこと、そして自分自身については技術を磨いていくことの両方を課題として取り組んでいきたいと思っています。同じようにスタッフにも、自分の技術を高めながら患者さんと向き合ってもらいたいと思っています。歯科衛生士にもマイクロスコープを使ってもらって、虫歯や歯茎のことや、歯ブラシの当て方までも、モニターで拡大して患者さんに見せて説明できれば面白いかなと思っています。

どのようなタイミングで、歯科医院に行くのがいいのでしょうか。

池尻敬院長 池尻歯科医院6

口の中で何かちょっとしみるとか、気になることや違和感があれば、そのタイミングで受診することをお勧めします。受診して、何もなかったならそれで安心しますし、既にトラブルを起こしている場合には、初期段階で治療ができるわけです。小さなトラブルを放置しておいたら、大きな虫歯になっていたという例は多くあります。例えば、ダイレクトボンディングの治療をするとなると、1回の治療で1時間半ぐらいかかってしまうこともあります。大変になる前の小さな異変の時に治療をして、そのあと定期的にケアをして状態をキープしていけば、そのほうがずっと楽に健康な日々を過ごすことができるでしょう。

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