木村 智子 院長の独自取材記事
鳥飼寺崎歯科医院
(久留米市/聖マリア病院前駅)
最終更新日:2024/06/04
地域で約40年にわたり近隣住民の歯の健康を支えてきた「鳥飼寺崎歯科医院」。高齢者の入れ歯治療から子どもの虫歯治療まで、幅広い歯科医療を提供している。2023年末からは亡き父の後を継ぎ、木村智子院長が2代目院長に就任。今後は予防歯科に力を注いでいきたいと意気込んでいる。「そもそも虫歯や歯周病の治療が必要ない状態をキープすることができれば、高齢になってもしっかりとおいしく食事を取ることができるでしょうし、それが結果的に全身の健康につながる」と強調する。普段の診療では歯への意識を高めるために患者とのコミュニケーションを大切にしているという木村院長に、これまでのキャリアや診療の特徴、今後注力していく予防歯科などについて、詳しく話を聞いた。
(取材日2024年5月17日)
2代目院長として治療メインから予防メインの歯科へ
そもそも歯科医師をめざしたきっかけは何だったのでしょうか?
父が歯科医師として開業していましたから、後を継いでほしいという想いもあって小さい頃から折に触れて「歯科医師になれ」と言われていたんです。私自身、当院に隣接した自宅で育ったので、歯科医院はとても身近な存在でした。父が働いている姿を日常的に見てきましたし、何となく自分は歯科医師になるんだろうなと思いながら育ってきました。当院に長く通っていただいている患者さんには「あんなに小さかったのに」と懐かしんでいただくこともあります。実際、獣医になりたいという気持ちもあったのですが、「動物好きにはつらい仕事」と聞いて断念。それ以降はあまり迷うことなく、歯科医師の道をめざしてきました。
そして2023年末には院長に就任されましたが、これまでのキャリアについても教えていただけますか?
2013年に神奈川歯科大学を卒業し、久留米大学病院の歯科口腔医療センターで研鑽を積みました。その後、母が体調を崩したこともあって当院で働くことに。以来、父と一緒に働きながら一般歯科領域の研鑽を重ねつつ、久留米市内のいしだまきこ小児歯科にも3年ほど勤務してお子さんの歯科治療についても学んできました。その縁もあって、今では近隣の中学校の学校医も務めているんです。父が亡くなったことをきっかけに、2023年12月に、2代目の院長として当院を継承しました。
院長として新たに取り組みたいことはありますか?
これまでの治療中心の診療から予防中心の診療に変えていきたいという想いがあります。治療を繰り返して最終的には抜歯を余儀なくされてしまったり、入れ歯になってうまくものが噛めなくなったりしていく患者さんを見てきましたから。そもそも虫歯や歯周病の治療が必要ない状態をキープすることができれば、高齢になってもしっかりとおいしく食事を取ることができるでしょうし、それが結果的に全身の健康にもつながっていくでしょう。もちろん定期的に歯科に通院してメンテナンスをしていくことも経済的な負担にはなってしまいますが、「あの時歯科に通っていれば」と後悔されることがないよう、これまで以上に予防の面を強化していきたいと思います。
インプラントや矯正などにも注力して予防を強化
現在はどのような患者さんが多いのでしょうか?
治療で通っていらっしゃる方が8割ほどで、残りの2割はメンテナンスのために通院いただいています。基本的な主訴としては歯が痛い、歯茎が腫れた、入れ歯をつくりたいなど、何らかのお口のトラブルが多いでしょうか。歯科は院長の年齢の前後の世代がボリュームゾーンになると言われていますが、当院は父が開業したので70代前後の患者さんが一番多いです。私が勤務するようになってからは若い世代の患者さんも増えてきましたし、学校医を担当している関係でお子さんにも来ていただいています。
こちらではどのような治療に対応しているのでしょうか? また得意な領域はありますか?
虫歯や歯周病の治療はもちろん、インプラントに関しては久留米大学医学部時代の上司にご協力いただいて対応しています。また高齢の患者さんが多いので、入れ歯の治療を希望する患者さんが多いというのが当院の一つの特徴です。個人的に入れ歯治療はあまり得意ではなかったのですが、症例数を重ねてきたことで鍛えられ、今では自信がある領域になっています。歯並びや噛み合わせの治療については、マウスピース型装置を用いた矯正について学んできましたので、必要に応じて対応していきたいと思います。予防に取り組むためには、清掃性を向上させるための矯正も必要になりますからね。
確かに予防のためには矯正も有用な方法の一つですよね。
予防に取り組んでいく以上、口腔環境を整えていくことも重要な要素。とはいえ予防のためにケアや定期的なメンテナンスを頑張っていたとしても、そもそも歯磨きがしづらくプラークが残りやすい歯並びであったり、噛む力が強いために起こる破折であったりカバーできない部分は出てきてしまいます。予防に力を入れていくからこそ、矯正やインプラント治療の研鑽は必要だと考えていますし、今後力を入れていかなければならない領域だと思っていますね。また当院には歯科用顕微鏡のマイクロスコープもありますから、口腔内写真なども活用して視覚的に予防意識を高めるようにしていきたいです。
患者とのコミュニケーションを大切にした診療スタイル
診療において大切にしていることはありますか?
適切に丁寧に治療をするというのは前提としてありますが、とにかく患者さんとお話しすることを大切にしています。患者さんによっては歯科医師に相談しづらく歯科衛生士に相談するという方もいらっしゃいますし、歯科医院によっては治療は歯科医師、話を聞くのは歯科衛生士ときっちり分けているところも増えてきました。ですが実際に治療をするのは歯科医師なわけですから、信頼関係を構築するためにもコミュニケーションは欠かせません。できるだけ優しく話すように心がけているとはいえ、厳しく指導しなければならない時にはちゃんと厳しくお話しするようにしています。
唾液成分のチェックや糖尿病に関連する診療など、新しい分野にも積極的に挑戦されていますね。
予防の取り組みの一つではありますが、5分程度でできる唾液成分のチェックを行っており、お口の中の細菌などを測定して虫歯や歯周病のリスクの確認に役立てています。一人ひとりのお口の状況がわかりますから、それぞれに合った予防方法の提案につながります。何よりどういうリスクがあるのかを知るだけでも、予防への意識は高まるはずです。また糖尿病に関しては歯周病との関連性が高く、歯科においても避けては通ることはできないところ。生活習慣病を軽く考えている方も少なくありませんから、そういった側面からも皆さんの健康づくりに協力していければと思います。
最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。
これまで口腔がんの患者さんをはじめ、食べたくても食べられないという人を何人も見てきました。入れ歯に関しても咀嚼の力は天然歯と比べてダウンしますので、適切に調整しなければしっかりと噛むことは望めません。予防のために歯科に行くというイメージはまだまだ浸透していませんが、ここ久留米の地で、地域の皆さんに予防の大切さを伝えながら、歯の健康づくりを通じて全身の健康づくりに貢献していければと考えていますので、予防に興味のある方は気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/33万円~、マウスピース型装置を用いた矯正/36万円~