森川 秀典 院長の独自取材記事
森川歯科医院
(久留米市/南久留米駅)
最終更新日:2025/04/15

西鉄バスの二軒茶屋停留所から徒歩1分の場所に位置する、「森川歯科医院」。前院長の代から40年以上にわたって地域で診療を続けてきた同院は、2020年に2代目院長・森川秀典先生が継承した。院長就任と同時にリニューアルオープンした同院は、木の温かみと落ち着きを感じる和モダンな空間で、幅広い世代にとって通いやすいバリアフリー設計となっている。森川院長は休日も勉強会に参加して研鑽を積み、先進機器も積極的に導入。優れた歯科医師を間近に見ているからこそ、「自分はまだまだだという思いがあるんです」と率直に話す横顔には静かな矜持と診療への意欲がにじむ。そんな森川院長に、診療への思いや患者と長く付き合っていく覚悟について話を聞いた。
(取材日2025年3月24日)
クリニックの歴史と地域に恥じない治療をしたい
長年地域で親しまれているクリニックだそうですね。

当院は、前院長である父がこの地で始めて、歯科衛生士である母とともに40年以上続けてきたクリニックです。私の代になってリニューアルして新たに取り入れた変化もありますが、私がこうして診療できているのは父が築いた土台があってこそだと考えています。父の代から長年通ってくださっている患者さんも多いですし、私は父がつくってきたクリニックの歴史の上に立っている。だからこそ、クリニックの歴史や父に恥じない治療をしたいという思いが強いですね。同じように、自分が生まれ育った場所でもある地域への責任感も強く持っていると思います。
訪問診療も、先生が継承されてから始めたと伺いました。
父の代からの患者さんの中には、年齢を重ねて通院が難しくなってきた方も増えてきました。患者さんやご家族の負担をなるべく減らしながら歯を守り続けていただきたいと考え、2022年に訪問診療を始めました。当院で週に1度訪問歯科をお願いしている小島拓先生は私の大学からの友人で、彼自身も訪問歯科診療専門の歯科クリニックを開いています。小島先生は専門性も高く経験豊富で、公私ともに信頼できる歯科医師です。気の置けない友人だからというひいき目から言っているのではなく、とにかく人柄が良くて優しいんです。これからも引き続き信頼できる歯科医師の手を借りながら、ご自身ではクリニックに通えない患者さんを支えていきたいと考えています。
先進機器も積極的に導入されているそうですね。

私の代になってから、根管治療などに用いるマイクロスコープや、インプラントを打ち込む場所や角度や方向、深さの精度を高める3Dナビゲーションシステム、治療に使う歯科用レーザーを導入しました。私が訪問診療を始めたり、こうした先進機器を導入したりするのは、やはり地域への責任感ゆえのことですね。地方のクリニックでも、少しでも都会と同じレベルの治療を提供できたらな、と。誰に見せても恥ずかしくないような治療をめざすには、新しいことを学んで取り入れていくことが欠かせません。地域のクリニックとしてあるべき姿やこうありたいという姿をめざして、今も勉強を続けています。
本質的に患者に寄り添い、長く健康を支える診療を
先生の診療方針について教えていただけますか?

驚かれるかもしれませんが、私は患者さんにただ寄り添いたいとは思っていないんです。というのも、患者さんのご希望にだけ添っていると、トータルでお口の健康を見た時に不十分になってしまうんですね。例えば、患者さんからの希望でつらい部分の治療のみ行った場合、根本的な原因を放置してしまうため、結局お口の崩壊につながるなんてことも。ですので、当院では「今つらい歯のトラブル」を解消するのだけではなく、先を見据えたお口の健康をめざす治療を、カウンセリングを行い提案させていただきます。カウンセリングで患者さんとゴールを共有することも大事なことだと考えています。そこまでしなくても大丈夫ですとおっしゃる場合は、当院での治療をお断りする場合もあります。患者さんのご希望や背景も踏まえた上で、本当に患者さんが必要だと思って通院していただきたいのです。その思いで、日々診療に向き合っています。
患者さんと接する上で心がけていることは何でしょう?
できるだけ患者さんに「見てもらう」ことを心がけています。鏡を差し出されても奥歯の虫歯は見えにくいものですし、そもそも日常的に口の中を見る習慣がないので、「今こうですよ」と言われてもわかりづらいですよね。当院では、マイクロスコープで撮影した写真を拡大したり、模型を作ったりして、患者さんが自分の口腔内を目で見て理解できるようにしています。「歯科医師に言われたから」という受け身のまま治療に進むのではなく、自分がどういう状態で何の治療が必要なのか、もし治療を選ばなかった場合はどんな症状が起こり得るのかを理解していただくことで、ご自身のこととして真剣にお口の健康に取り組んでいただけると思うんです。ですので、検診でいらした方には一時間ほど時間をかけてエックス線や歯周病などの検査を行い、結果をもとに考え得る複数の治療プランを説明するようにしています。
どんな患者さんに来ていただきたいとお考えですか?

「歯を治療して治った」と思われるかもしれませんが、歯は治療すればするほど天然歯よりも弱くなり、抜歯につながっていくんです。入れ歯もインプラントも、天然歯より良い状態ではありません。歯の治療は天然歯より良い状態には戻せないことが前提としてあるんです。天然歯がピカピカの新車だとすれば、治療後の歯は修復し終えただけで事故をした痕跡を残したまま走り続けている状態になります。ですので、定期的にメンテナンスをして生活習慣やブラッシングを見直していきながら今の状態を保っていかなければなりません。そうした観点からも、長く続いていく人生の中で歯を大切にしていきたいと考える患者さんに来ていただけたらうれしいですね。
30年先も地域の健康を支える場所として
休日には歯科医師の勉強会に参加されているそうですね。

実は、勉強が嫌いなんです(笑)。しかし、父に恥じない治療を提供するためには、知識と技術を積み重ねる必要があり、そういった意味で勉強を続けていかなければならないと思っています。勉強会に参加する中で、時には厳しい指摘をいただいたり、反省することもありますが、それが自分をより良くしてくれる大切な機会だと捉えています。勉強会を通じて、ただ「ある程度できれば良い」という気持ちではなく、常に「もっと成長したい」という姿勢を持ち続けることができるようになりました。私としては、まだまだ発展途上であり、今後も学び続けて成長していける歯科医師でありたいと強く思っています。そのためにも、謙虚な気持ちを忘れず、日々努力を重ねていきたいです。
今後の展望についてお聞かせください。
私はこれから30年先、70歳までは歯科医師として仕事をすると思っています。そうすると、今通ってくださっている患者さんも30年を重ねることになる。どれだけの方が30年先もこの地域に住み続けるのかはわかりませんが、今50歳の方が80歳に、60歳の方が90歳になった時にも「森川歯科医院があれば安心だよね」と頼りにしていただけるようなクリニックでありたいという目標があります。先程もお話ししたように、歯の治療はピンポイントに虫歯を治して終わりではなく、長い人生を通して続けていくものです。患者さんと30年お付き合いできるようなクリニックをめざして、日々の診療に向き合っていきたいと考えています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

私は、歯科医師として真面目に、真摯に治療に取り組みたいと考えています。ただ、残念ながら歯科医師だけが頑張ってもお口の健康は続いていきません。必要なのは、歯科医師と患者さんの両方がお口の健康に真剣に取り組むことです。そう考えた時にやはり気になるのが、歯科医師との相性だと思います。信頼できる歯科医師でないと通い続けるのも大変だと思いますので、最初は気軽に、私との相性を確かめる気持ちで来院していただければ幸いです。ここなら通えるなと思っていただけたら、お口の健康をつくるための提案をします。真剣にお口の健康に向き合いたいと思う方に力を尽くせるよう私自身も励みますので、一緒に頑張ってみませんか。患者さんの人生に併走できる歯科医師として、お力になります。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/33万円~、ホワイトニング/2万2000円