松延 允資 院長の独自取材記事
松延歯科医院
(京都郡苅田町/小波瀬西工大前駅)
最終更新日:2025/04/07

北九州市と行橋市の間に位置する京都郡苅田町で、50年以上にわたり地域に親しまれている「松延歯科医院」。院長を務める松延允資(まつのぶ・まさやす)先生は、九州大学歯学部を卒業後、歯だけではなく、全身を学びたいという想いから産業医科大学歯科口腔外科へ入局。その後は歯周病の基礎から歯周組織再生療法、インプラント治療、骨誘導再生療法など専門性の高い治療について、広く研鑽を積んだ。2011年に前院長である父から同院を継承した後も、「全体を診る歯科診療」にこだわり、マイクロスコープなどの先進機器も活用しながら患者の健康を支えている。その場限りの治療ではなく、患者の10年、20年先を見据えた治療に取り組む松延院長に、これまでの歩みを振り返ってもらいながら、診療スタンスについても詳しく話を聞いた。
(取材日2025年3月5日)
50年以上、地域の健康を支えてきた歯科医院
こちらは1969年にお父さまが開院されたそうですね。

ええ、私は当時まだ生まれていませんでしたが、物心ついてからも、父の診療風景を見て育った……ということはなく(笑)、中学時代はバスケットボール部に入り、部活に励む日々でしたし、将来は料理人になりたいと思っていました。実は、今も歯科医師を引退したら、趣味で料理教室に通いたいと思っているんですよ。歯科医師に関して言うと、その選択肢が出てきたのは進路を決める時です。自分なりに今後について考えた時に、1番が歯科医師、2番が料理人という順位だったことから、九州大学歯学部に進学しました。大学でもバスケットボール部に入部。飲み会にもよく参加していましたし、居酒屋でのアルバイトも経験しましたし、充実した大学生活だったと思います。
ご卒業後は、産業医科大学歯科口腔外科へ入局されたと伺いました。
これから高齢化がより進んでいく社会に向け、口腔内に限らず、全身疾患をお持ちの方が増えることは避けられませんから、全身についても学べる口腔外科に行きたいという想いがありました。産業医科大学での研修を希望したのも、全身について学べることが多いと先輩からアドバイスをいただいたからなんです。研修後は、歯周病治療で知られており、多くの歯科医師が門を叩く船越栄次先生のもとで歯周病治療の基礎から歯周組織再生療法やインプラント治療、骨誘導再生療法など、幅広く学ばせていただきました。それは、歯の土台を形成するためには、歯周病治療のスキルが必須だと考えていたことが大きく影響しています。家で例えると、基礎工事が歯周病治療、柱は歯内療法、屋根や外壁工事がかぶせ物などの補綴治療。その基礎工事となる歯周病治療がしっかりなされていないと口腔内は崩壊しやすくなると思いますので、そこに重きを置いてキャリアを積みました。
2008年よりこちらで勤務を開始されたそうですが、当時はお父さまと一緒に診療をしていたのですか?

はい。ただ、これまでの環境とはまったく異なっていましたので、最初はカルチャーショックを受けましてね。市街地と郊外の歯科医院では、患者さんの口腔内の状態が違うことを実感しました。それは当たり前のことで、市街地に通えるということは健康な方が多く、郊外になると近くにお住まいでもここまで来るのがやっとという方も少なくありません。来院できる回数も限られてきますし、他の病気もあればできる治療の選択肢も狭まります。そのため、さまざまな治療のスキルを身につけ、まずは患者さんの口腔内の環境を整えることに力を注ぎました。当院が歯周病に限らず、虫歯やインプラント治療、矯正歯科、根管治療、入れ歯、審美歯科、口腔外科、予防歯科まで、包括的な治療に取り組んでいるのは、一部分だけでなく、全体を診る診療をしたいと思ったからなんです。
「1本の歯だけではなく、全体を診る」診療スタイル
診療において大切にされてきたことは何でしょうか?

保険診療、自費診療関係なく、自分がめざすプロフェッショナルな仕事をすることを大切にしてきました。そのため、当院ではレベルの高い治療を提供すべく、歯科用顕微鏡のマイクロスコープも保険・自費診療問わず活用しています。年代によっても主訴は異なってきますし、同じ世代であっても症状はさまざま。この地域は市街地と違い、私が歯周病の専門家だからといって歯周病治療を希望する方ばかりではありません。そのため、小児歯科と小児・成人の矯正歯科は非常勤と代診の先生に担当いただき、歯科衛生士も常勤5人と非常勤2人の計7人在籍。プロフェッショナルな治療を提供できるよう、スタッフたちと常に連携を取りながら診療にあたっています。
歯科衛生士もマイクロスコープを活用されているそうですね。
ええ。当院では、まず入職から3年たった歯科衛生士には専用の拡大鏡を購入するんです。そして拡大鏡のスキルを磨いた後にマイクロスコープというように、ステップアップするシステムなんです。これは、技術面だけでなく、スタッフのモチベーションを上げるためにも良い働きかけになるのではという考えからです。実際、向上心の高いスタッフばかりです。当院には、通常のメンテナンスで行う歯面清掃と違い、微細なパウダーをジェット水流で吹きつけ、歯の表面や歯間の汚れを落とすエアフローという機器も3台導入しています。このクリーニング方法は、歯や歯茎に負担をかけず、短時間で汚れの除去が望めるのが特徴です。バイオフィルムと呼ばれる歯磨きでは落としづらい細菌の塊や着色汚れにも有用なので、虫歯や歯周病予防として活用しています。
歯科衛生士は担当制ですか?

担当制です。そのため、非常勤も含め7人在籍していますが、それでも足りないくらいです。当院は、歯科医師も歯科衛生士も担当制なんですね。同じスタッフがずっと一人の患者さんを担当することで、状態の変化にも気づきやすいですし、患者さんも毎回担当が変わるよりも安心して受診していただけると思うんですよね。私は、「1本の歯だけではなく、全体を診る診療」を基本としていますので、例えば「パパっと詰めるだけでいい」といったような、その後の口腔環境に責任の持てない治療はお受けしないようにしているんです。全体を精査しなければ、今後の予測ができませんから、診査をしっかりさせていただけるかどうかの確認は事前にさせていただいています。全体を把握した上で、でき得る治療のすべてをご提案はいたしますが、最終的に治療されるか否か判断されるのは患者さんご自身。こちらから無理強いすることは決してありません。
すべてにおいてプロフェッショナルな歯科医療の提供を
患者さんの今後の健康に責任を持つ治療を重視されているのですね。

そこが当院の強みだと思います。そのためには、ご自身の歯が長持ちするように子どもの頃からしっかりと予防に対する意識を育むことも大切です。健康な歯のまま大人になってほしいですからね。そうすれば、高齢になっても全身の健康を維持できる可能性が高まります。開院当初から来てくださっている患者さんも高齢になり、通院が困難な方も増えてきました。そのような方には、ずっと担当していた父に訪問診療をお願いしています。それも私たちの責任だと思うんですよね。通えなくなったから診ないというのは無責任。長年、数ある歯科医院の中から当院に通い続けてくださったわけですから。
歯科医師としてやりがいを感じる瞬間はどんな時でしょうか?
治療によっては、終わるのに数年かかるケースもありますので、長い治療が終わり、満面の笑みで帰られる姿を見られたら特にやりがいを感じると思いますね。当院は包括的な治療を行っているので、ある治療だけが得意というのでは成り立ちません。すべての治療において常にプロフェッショナルでなければならないと考えています。もちろん虫歯がないに越したことはありませんので、予防にも注力しています。小学校の歯科検診も担当しているのですが、少なくなったというものの、まだまだ虫歯のある子はいます。今は治療が終わった後にメンテナンスへ移行するケースの割合が多いので、最初からメンテナンスだけで済む方を増やせていけたらいいですね。
読者へのメッセージをお願いします。

超高齢社会の今、強く感じるのは、しっかり噛める状態でいることの大切さです。これまで診療を行ってきて、いくつになっても自分の歯で噛めることが健康寿命に直結することを実感しています。年単位で歯科医院から足が遠のいている方は特に受診してほしいですね。若い世代にも声を大にして定期的なメンテナンスの重要性を呼びかけていきたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/47万3000円~
矯正費用/76万2300円~
セラミック治療/7万4000円~
ホワイトニング/3万250円~