緒方 理人 院長の独自取材記事
緒方歯科クリニック
(佐賀市/佐賀駅)
最終更新日:2026/07/03
佐賀駅北口から車で3分、佐賀市若宮の住宅地に「緒方歯科クリニック」はある。1979年の開業以来地域に根差し、2021年の移転を機に緒方理人先生が院長に就任した。木のぬくもりに満ちた院内は、歯科受診への不安を和らげたいとの思いから生まれた空間だ。緒方院長は町田市民病院口腔外科で顎の骨折や腫瘍、足の骨を顎に移植してのインプラント治療など多様な症例を手がけ、歯周病の専門施設でも研鑽を積んできた。「本気で歯を守る」を理念に掲げる同院では、リスクに応じた予防から根本原因に向き合う小児の口腔筋機能育成、恐怖心の強い人への静脈内鎮静法まで幅広く対応。穏やかな物腰に歯を守る情熱がにじむ緒方院長に、その歩みと診療への思いを聞いた。
(取材日2026年6月4日)
口腔外科での研鑽を糧に、歯を守る歯科医療へ
まずは先生が歯科医師をめざされたきっかけを教えてください。

歯科医師だった父の影響で医療の道を志しました。父の患者さんが喜んで帰る姿を見て、やりがいのある仕事なのだと感じたのが原点ですね。日本歯科大学生命歯学部を卒業後は、全身をしっかり診られる歯科医師になりたいという思いから町田市民病院の歯科口腔外科に進みました。一般の歯科医院では対応が難しい親知らずの抜歯や口腔内腫瘍の処置、交通事故による顎の骨折、インプラント手術など多様な症例を経験し、麻酔科研修では他科の全身麻酔にも携わりました。特に印象に残っているのは、顎骨腫瘍で下顎を切除した患者さんに足の骨を移植し、そこにインプラントを埋入した症例です。試行錯誤の連続でしたが、あらゆる手立てを考え抜いた経験は大きな糧になっています。
歯周病治療についても専門的に研鑽したと伺っています。
病院の歯科口腔外科では、一般の開業医の先生から紹介されてくる患者さんの歯を抜くことが多くありました。ただ、その中にはもう少し早い段階で手を打てていれば残せたかもしれない歯もあったんです。歯を抜かずに済むように、歯科医師としてもっとできることはないか。そう考えたことが、歯周病について詳しく学ぶきっかけになりました。さいたま市の歯科クリニックでお世話になり、歯周病を専門とする先生のもとでしっかりと研鑽を積むことができました。2018年に佐賀へ戻り、初めは副院長として父のクリニックに合流しました。父が築いてきたやり方を大切にしながら、関東で学んできたことを少しずつ浸透させていき、2021年2月の移転・リニューアルを機に院長に就任しています。
院内の温かい雰囲気が印象的ですが、こだわりを教えてください。

「歯科医院は怖い場所」「緊張する場所」と思われている方は少なくありません。その気持ちを少しでも和らげたいと思い、院内には木材をふんだんに使って、親しみや温かみを感じていただける空間をめざしました。設備面では、特診室を兼ねた手術室を設けています。口腔外科で培った技術を生かし、骨が不足してインプラント治療は難しいと言われた方への骨造成手術など、一般の歯科医院では対応が難しい処置も院内で行える環境です。当院のコンセプトは「本気で歯を守る総合歯科クリニック」。今ある症状を治すだけでなく、将来を見据えて歯を守り続けていけるよう、予防から外科的な処置まで幅広く対応できる総合歯科診療をめざしています。
歯並びが乱れる原因に向き合い、子どもの成長を支える
歯を守るために、具体的にどのような取り組みをされていますか。

当院では、MTM(メディカルトリートメントモデル)という予防プログラムを取り入れています。一人ひとりの虫歯や歯周病のリスクを唾液成分の分析やエックス線などで数値化し、そのリスクに応じた予防法を提案するというものです。定期検診に真面目に通っているのにまた虫歯ができてしまう、そんな経験をされた方もいらっしゃると思います。それは予防の方法がその方のリスクに合っていなかった可能性があるんですね。当院では担当歯科衛生士制を採用することで一人ひとりの歯科衛生士が責任を持ち、その方のリスクを踏まえた予防に取り組んでいます。歯科衛生士たちはセミナーへの参加や院内勉強会、外部講師を招いた講習などを通じて常に学び続けており、予防のスペシャリストとしてクリニックの基盤を支えてくれています。
お子さんの歯並びで悩まれるご家族も多いのではないですか。
今特に力を入れているのが、小児の口腔筋機能育成で、歯並びが悪くなった根本的な原因にアプローチするものです。矯正は悪くなった歯並びを整えるものですが、口腔筋機能育成ではその一歩手前、「なぜ歯並びが悪くなったのか」という原因に着目します。お子さんの歯並びが崩れる背景には、口呼吸によって舌の位置が下がり、上顎が十分に広がらないといった連鎖が多く見られます。舌は本来、上顎の前歯の裏側に密着して歯のアーチを押し広げていますが、口呼吸が習慣になると舌が下がり、顎が正しく発育しにくくなるんです。さらに姿勢の悪さや睡眠時の呼吸の質にまで影響が及ぶこともあり、お子さんの集中力低下につながる場合もあります。
実際、口腔筋機能育成はどのように進めていくのでしょうか。

まず丁寧な診査・診断で、お子さんの歯並びが崩れた原因を保護者の方と確認するところから始めます。プログラムはトータル約1年3ヵ月。最初の3ヵ月は週1回通院してトレーニングを行い、ご自宅でも動画を見ながら日々取り組んでいただきます。鼻のアレルギーなどがある場合は耳鼻咽喉科や小児科とも連携し、マウスピース型の装置で噛む力や口周りの筋肉のバランスにアプローチしていきます。お子さんの成長を親子で見守れるのもこの取り組みの魅力で、当院には管理栄養士が在籍しているため、管理栄養士による食事面のサポートも行っています。佐賀で育つ間に正しい呼吸や顎の発育、きれいな歯並びを手に入れて、将来どこへ行っても自信を持って活躍してほしい。そういう子どもたちをどんどん増やしていくことが、クリニックとしての大きなやりがいです。
どんな不安も受け止め、チームで歯を守り抜く
患者さんと向き合う際に大切にされていることを教えてください。

大切にしているのは、患者さんに視覚的にわかる形で説明することです。ご自身のお口の状態を把握できていない方は多く、不安なまま治療に入ることがないよう、口内写真やアニメーション動画、歯の模型などを活用して現状と治療の流れをお伝えしています。また、治療への恐怖心が強く長年歯科に通えずにいる方のために、静脈内鎮静法も導入しています。これはリラックスした状態をつくり出すための方法で、歯にコンプレックスを抱え人前で口を隠してしまうような方からのご相談もあります。実施できるクリニックが少ないため、長崎県や北九州など遠方から来られる方もいらっしゃいますね。そうした方の受け皿に当院がなれればという思いで取り組んでいます。
クリニックの診療体制についてもお聞かせください。
当院は歯科医師6人、歯科衛生士10人、管理栄養士1人、スタッフ7人の体制です。私は口腔外科やインプラント、歯周病を専門としていますが、根管治療や矯正を専門とする先生もおり、必要に応じて院内で連携しています。福岡・西新の姉妹クリニックとも合同で勉強会を行い、互いに学び合える環境です。チーム全体の目標は、患者さんが噛んで、飲み込んで、笑えて、正しく呼吸できる状態をつくること。すべての診療がその目標につながっています。私自身、歯科衛生士学校で高齢者歯科の授業も担当しており、お子さんからご高齢の方まで幅広く支えていきたいと考えています。スタッフにはやるときは真剣に、休むときはしっかり楽しんでと伝えていて、私も休日はサーフィンでリフレッシュしています。
最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

歯は失ってから初めて、そのありがたみに気づくものです。ある雑誌の調査では、50代の方が人生で最も後悔していることの1位に「歯の治療をきちんとしておけばよかった」という内容が挙がっていました。体の健康と同じで、悪くなってからでは取り戻せないものがありますし、早い段階で向き合えるかどうかが、その先を大きく左右するんです。だからこそ、歯を失う前に一度ご相談いただけたらと思います。今ある歯をしっかり守っていけるよう、私をはじめクリニック全員が最大限の力を尽くします。歯のことはもちろん、顎に関するお悩みまで幅広く対応できる体制を整えていますので、少しでも気になることがあれば一人で抱え込まずご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは成人矯正/77万円~、インプラント治療/38万5000円~、骨造成/5万円~、セラミックを用いた補綴治療/9万9000円~、口腔筋機能育成/50万円~

