松尾 陽介 院長の独自取材記事
松尾歯科医院
(佐賀市/佐賀駅)
最終更新日:2026/07/16
佐賀駅から徒歩10分、小学校や中学校が近くにある閑静な住宅街に「松尾歯科医院」はある。祖父が開業し、父へ、そして2026年6月に松尾陽介院長へと3代にわたって受け継がれてきた地域の歯科医院だ。前院長である松尾日出輝先生も現役で、親子2人体制の診療は変わらない。少しずつリニューアルを重ねてきた院内は、車いすやベビーカーでそのまま診療室まで入れるバリアフリー設計。保育士資格を持つスタッフが子どもを見守る体制も整い、子育て世代にも通いやすい環境づくりが進む。「その時だけの治療ではなく、できるだけ長持ちする形を心がけたい」と穏やかな口調で語る松尾院長に、代替わりの経緯や患者に寄り添う診療への思いを聞いた。
(取材日2026年6月24日)
父から子へ受け継がれる、地域に根づいた歯科医院
まずは、歯科医院の成り立ちについてお聞かせください。

当院は祖父の代に開業し、父を経て私へと3代にわたって受け継がれてきた歯科医院です。このたび2026年6月に父から院長を引き継ぎましたが、父が引退したわけではなく、立場が入れ替わっただけで変わらず2人体制での診療を続けています。開院からおよそ40年以上の歴史がありますので、父の代から何十年と通ってくださっている患者さんもいらっしゃいます。そうした方々との信頼関係はこれからも大切にしていきたいと思っています。佐賀駅から徒歩10分ほどの住宅街に位置しており、近隣にお住まいの方を中心に通っていただいています。以前は年配の方が中心でしたが、最近は少しずつ若い世代の患者さんにも足を運んでいただけるようになりました。
先生が歯科医師を志されたきっかけを教えてください。
1階が歯科医院で2階が自宅という環境で育ちましたので、父が患者さんを診ている姿は日常の一部でした。祖父も父も歯科医師で、3人兄弟の長男だったこともあり、自然と当院を継ぐのだろうなと考えるようになりました。日本歯科大学を卒業した後は埼玉の歯科医院で学ばせていただき、そのまま系列の歯科医院で2〜3年ほど勤務しました。その後、福岡で1年間の勤務を経て佐賀に戻りました。いずれも地域に根づいた一般歯科で、虫歯や歯周病の治療から定期的なメンテナンスまで幅広い経験を積むことができました。帰郷してからは父とともに十数年にわたり診療を重ねてきましたので、この地域の患者さんのことはしっかり理解できていると思っています。
院内の設備面で力を入れている点はありますか?

駐車場から診療室まで車いすのまま乗り換えなしで入れるバリアフリーの動線を整えています。代替わりに向けて少しずつリフォームを重ねてきた結果、今の形になりました。院内に車いすも常備しており、普段はお使いでない方でも足元が不安な場合にはお乗りいただけます。お手洗いも車いす対応の広いスペースを確保しています。お子さん連れの方にはキッズスペースを設けているほか、保育士の資格を持つスタッフが保護者の診療中にお子さんを見守っています。抱っこするには大きいけれど一人では待てない年齢のお子さんでも安心して連れてきていただけるかと思います。ベビーカーのまま院内に入れるスペースもありますし、駐車場は9台分で車いすの方用の区画も設けています。
「歯科医院は怖くない」を、子どもの心に届けたい
お子さんの診療で心がけていることはありますか?

私自身、幼い頃に眼科で不意に処置を受けて怖い思いをした経験がありまして、その記憶は大人になった今でも残っています。だからこそ、子どもの頃に「歯医者さんは怖い」という印象が根づいてしまうと、将来自分で判断する年齢になったときに足が遠のくのではないかと感じています。「定期的に通うものだよ」という意識がなんとなく身についていれば、一人暮らしを始めても自然と歯科医院を探してメンテナンスを受けようと思えるはずです。ですからお子さんの歯を治療することはもちろん、歯科医院に対する良いイメージを心の中に残してあげたいと考えています。歯並びや成長の様子が気になるときは親御さんとお時間をいただいてお話しし、必要であれば矯正歯科へのご紹介もしています。
治療方針は、どのように決めていらっしゃいますか?
まず、患者さんのご希望をしっかりお聞きすることを大切にしています。いきなり「この治療をします」と決めるのではなく、「こういう方法もありますよ」と選択肢をお伝えし、最終的にご本人が納得できる形になるまでしっかり話し合って方針を決めていきます。例えば転勤などで通院期間に制約がある場合には、無理に治療を詰め込むのではなく、転居先の歯科医院へスムーズに引き継げるよう準備することもあります。歯科医院の都合ではなく、あくまで患者さんの生活や事情を優先したいからです。保険診療を中心に幅広い治療に対応しており、治療の内容や進め方についても丁寧にご説明し、納得していただけるまでお話しするようにしています。
治療後のケアについてはどのようにお考えですか?

治療はその場だけで終わりにせず、できるだけ長持ちする形で仕上げたいと常に考えています。車に例えるとわかりやすいのですが、どんなに良い部品を入れてもメンテナンスなしでは長持ちしませんよね。歯も同じで、かぶせ物や詰め物を入れた後でも、定期的なケアをしなければ噛み合わせのバランスが少しずつ変わっていくものです。「治療したら終わり」ではなく、その後も歯周病の予防や定期的なメンテナンスを続けていくことで、治療した箇所を良い状態に保つことが期待できます。患者さんの歯が年齢を重ねてもしっかり残るよう、今だけでなくこの先を見据えた治療を心がけ、末永くお口の健康を見守っていきたいと思っています。
幅広い世代に寄り添い、末永く歯の健康を守る
診療を支える体制についてお聞かせいただけますか?

帰郷した当初は、実は私がスタッフの中で一番勤続年数が短い状態でした。中には私が学生の頃から勤めているベテランもいますので、知識や経験の面で教わることが多かったですね。父も長年の臨床経験をもとに、判断に迷う場面ではいつもアドバイスをくれます。一つ一つの症例をじっくり見極めてから方針を決めたいと考えていますので、すぐに相談できる環境は本当に心強いです。スタッフが長く勤め続けてくれていること自体が、当院の安定感につながっていると感じます。院長を引き継いだ今も、父やスタッフと連携しながら患者さんお一人お一人に丁寧に向き合う姿勢は変わりません。チーム全体で支え合える体制があるからこそ、安心して日々の診療に臨めるのだと思っています。
今後、力を入れていきたいことを教えてください。
これまでは年配の患者さんが中心でしたが、今後はお子さんからファミリー層まで、より幅広い世代の方に通っていただける歯科医院をめざしていきたいと考えています。今年度から近隣の学校で学校歯科医を務めることになり、子どもたちの歯の状態を間近で見る機会が増えました。佐賀の多くの小学校ではフッ素洗口が実施されていますが、中学校では小学校ほどの実施率はないようです。年齢が上がるにつれてケアの差が広がりやすいと感じています。だからこそ、ご自身でブラッシングなどのセルフケアを続ける意識を持っていただくことが重要です。当院でのメンテナンスとご自宅でのケア、その両輪でお口の健康を一緒に守っていけるよう、これからも力を入れて取り組んでいきます。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

当院は3代にわたって、この地域の皆さまとともに歩んできました。院長が代わっても、お一人お一人の状況に合わせて丁寧に治療を行うという姿勢は変わりません。その場しのぎではなく、できるだけ長持ちする形での歯科治療を心がけ、年齢を重ねてもご自分の歯で過ごせるよう先を見据えた診療を大切にしています。些細な痛みや気になることがあれば、どうぞ遠慮なくお話しください。小さなお悩みにもしっかり耳を傾け、患者さんに寄り添いながら一緒により良い方法を考えていきます。お子さんからご高齢の方まで、どなたにとっても安心して通える歯科医院でありたいと思っています。ご家族皆さまの歯の健康を、末永く見守らせていただければ幸いです。

