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押川 弘巳 院長の独自取材記事

押川歯科医院

(宮崎市/宮崎神宮駅)

最終更新日:2022/01/26

押川弘巳院長 押川歯科医院 main

「押川歯科医院」はJR日豊本線の宮崎神宮駅から車で5分。図書館や芸術劇場、大学などがあるエリアに位置する。1977年に開業したクリニックで地域住民とのつながりも強く、患者との心の距離がとても近い。院長を務める押川弘巳先生は話しやすくおおらかな雰囲気。口ひげが特徴的で「おひげの先生」と呼ばれているのだという。専門は歯内療法や義歯、小児歯科で、日本小児歯科学会小児歯科専門医の資格を持つ。歯周病は糖尿病の5番目の合併症として深い関連性があることから、医科との連携にも力を注ぐ。同院での診療の一方で、ロータリークラブの会員として発展途上国へのワクチン協力も行う。特にポリオ撲滅に向けて力を注いでいるのだという。押川院長が診療の際に心がけていることや同院ならではの診療について詳しく話を聞いた。

(取材日2021年11月27日)

40年以上のキャリアを持つ小児歯科のスペシャリスト

歯科医師をめざしたきっかけと開業までの経緯を教えてください。

押川弘巳院長 押川歯科医院1

親戚一同、医療家系の出身で私の父親も医師なのです。私は、祖父の後を継ぎ、必然的に歯科医師にならざるを得ませんでした。父は内科の医師で、私の弟が父の内科を継いでいます。そんな環境の中で進んだ神奈川歯科大学では補綴について学び、卒業後は補綴の医局に残る予定でした。ところが、歯科医師であった祖父から自分の後継者になるように命じられ、宮崎に戻ってきました。祖父が院長を務めていた「シゲシロ歯科医院」で5年ほど勤務し、1977年に当院を開業しました。

先生は日本小児歯科学会小児歯科専門医だそうですね。なぜ小児歯科を専門にされたのですか?

当時、小児歯科専門医の資格を持っている歯科医師は、宮崎県内にはあまりいませんでした。出生統計によると、宮崎県の出生率は全国的にも高く、小児歯科の需要があるのではと考えたのです。小児歯科専門医は、乳歯から永久歯への生え替わりを見据えて診療を行います。顎の発育が悪いと、矯正治療が必要になることもあります。矯正治療は、提携している矯正を専門とされている先生に委ね、矯正が終わった後のメンテナンスを当院で行います。また、小児歯科専門医としての知識を生かし、学校歯科医も40年以上続けています。

日頃から患者さんにどのようなことをお伝えされているのでしょうか。

押川弘巳院長 押川歯科医院2

高齢の患者さんには「口腔内の健康を維持し、自分の歯で食事をすることは、全身の健康を保つ上でも重要」とお伝えしています。例えば、高齢者によくみられる誤嚥性肺炎は口腔内の汚れが原因となることが多いです。ベッドから出られない人でも、食事の時は起き上がって食べさせてあげて、食後は必ず歯磨きを行いましょう。寝たままでは、お口の中に入っているばい菌も一緒に飲み込んでしまいます。むせたときに、胃の中で消化できなかったものが肺に逆流し、誤嚥性肺炎が起きることがあります。

口腔内だけではなく、全身の健康を見据えて診療を行う

歯周病と糖尿病の関連性にも着目されているそうですね。

押川弘巳院長 押川歯科医院3

日本歯科医師会は、以前から歯周病と糖尿病との関連性について指摘していました。「歯科医院でも、糖尿病を重視すべきである」と考え、糖尿病について専門的に学びを深めました。歯周病は、糖尿病の5番目の合併症であり、その他にも頭痛、鼻水・鼻詰まり、めまい、耳鳴り、肩凝り、心臓疾患、手足のしびれやリウマチなど、歯周病との関連性が指摘される症状は数多くあります。歯周病がひどくなると糖尿病の症状が悪化するともいわれるため、中には、糖尿病の患者さんが内科を受診する際には、歯周病の治療を終わらせてから受診するように伝えている病院もあるのです。当院でも、糖尿病のある患者さんの場合、症状が安定してから歯周病の治療に進むようにしています。

どのような主訴で治療に来られる患者さんが多いですか。

この地域も高齢化が進んでいるので、義歯治療を希望される方が多いですね。以前は、総義歯にすることも多かったのですが、今は可能な限り抜かない方針に切り替えています。私が学生の頃は、歯を大切にするという考えが今ほど浸透しておらず、歯を悪くしている患者さんが多いので大学に泊まり込みで対応することもありました。最近は、口腔内への関心を持つ方が増えたことから、デンタルIQが高くなり、歯を守らないといけないという意識が高くなってきたと感じます。若い歯科医師にとってはプレッシャーもあるとは思いますが、もっとたくさんのことを学んでほしいですね。

先生がお口の健康のために行っていることはありますか。

押川弘巳院長 押川歯科医院4

就寝前に、電動歯ブラシで15分くらいかけて歯を磨いています。磨き終わった時に、歯の表面を舌でなめ、つるっとした状態になっていたらきれいに磨けている証拠です。電動歯ブラシを使用される患者さんには、10分ほど水で磨き、最後にブラシの3分の1くらいの量のペーストをつけて仕上げ磨きをすることをお勧めしています。

エキスパートに学び、大学卒業後も研鑽を続ける

こちらならではの診療があれば教えてください。

押川弘巳院長 押川歯科医院5

大学卒業後、家の都合で宮崎に帰ってきたので、勤務医として働きながら勉強会や講習会に足しげく通いました。総義歯は特に難しく、技術の習得に5年ほどかかりましたね。大阪大学の奥野善彦教授と広島大学の都留宏道教授からはアタッチメントについて学びました。1975年には大谷満先生に師事し、歯内療法について約40年学びました。歯内療法の分野において、世界でも知られる先生です。開業後は鹿児島大学の小椋正教授に師事し、小児歯科について学びました。それぞれの分野のエキスパートから学ぶことで、自分の治療を確立していきました。当時、宮崎では珍しかったアタッチメント義歯も早い時期から取り入れました。

他に注力されている診療はありますか?

柔道選手にマウスピース作製をしたり、噛み合わせの診療をしたりといったことにも注力しています。特にスポーツ選手にとっては、奥歯を噛みしめる力は重要です。柔道以外にも、相撲、野球、サッカー、ラグビーなどのスポーツは、きちんと噛みしめられないと瞬発力が出にくいとされるため、マウスピースを装着してプレーをする選手も多いのです。瞬発力が求められるスポーツにおいて、マウスピースは重要な役割を担います。

最後に、読者の方にメッセージをお願いします。

押川弘巳院長 押川歯科医院6

虫歯がなくても、定期検診に行き、歯のメンテナンスを行ってください。若い時から歯のメンテナンスを行っていくことが、老後に歯を残すための秘訣とも言えるでしょう。60代の時に正しい歯の使い方をしていれば、歯は80代までしっかりと残ると考えています。お子さんには虫歯を未然に防げるよう歯を大切にしていただき、ご高齢の方は元気なうちから歯をきれいにする習慣を心がけてほしいです。また、高齢者の骨折は統計的に入れ歯を入れていない時が多いともいわれます。よろけたときに、しっかり噛みしめられないからでしょう。こういったことからも噛む力の大切さがおわかりいただけるかと思います。患者さんにはこのような知識も積極的にお伝えしていきたいですね。気になることがあればまずはお気軽にご相談ください。

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