口の開きが悪い、顎の音が鳴る時には相談を
顎関節症について
ながい正彦歯科
(鹿児島市/朝日通駅)
最終更新日:2024/08/15
- 保険診療
一生のうち多くの人が発症するといわれる、顎関節症。口の開きづらさや顎関節の異音だけでなく、頭痛や肩凝りといった症状を引き起こすこともある。頭痛の精密検査をしても異常がなく、実は背景に顎関節症があったというケースもあるそうだ。これだけ身近でありながら、症状に波があるため、受診せずに過ごしている“隠れ顎関節症”の患者も多いという。「ながい正彦歯科」の永井院長は、長年顎関節症の診療に力を入れてきた。顎関節症の発症に関わる食いしばりや歯ぎしり、口内の悪癖を改善することを方針として、日々の診療に取り組む。顎関節症の診断の方法から、ストレッチなどのトレーニングを取り入れた実際のアプローチについて、また顎関節症の悪化リスクについても詳しく聞いた。
(取材日2024年7月31日)
目次
ストレスと関連する顎関節症。トレーニングを組み合わせたアプローチを
- Q顎関節症にはどんな症状がありますか?
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A
顎関節症とは、顎の関節に何らかの障害が起きる疾患です。上下の顎関節の間にある組織の位置がずれてしまったり、関節が変形したり、顎を動かす筋肉に痛みが生じるなどして、口が開かない、顎が痛む、口を開けるときに音が鳴るといった症状が出ます。これらのほか、頭痛やめまい、肩凝りを引き起こすこともあります。頭痛に悩み脳の検査を受けたが異常なく、実は顎関節症が背景にあったというケースも。一方で口が開かず顎関節症を疑ったら、親知らずなどで筋肉が炎症を起こしていた例も報告されています。顎や口の開きに異常を感じたら、まずは正しい診断を受けるためにも歯科医院を受診しましょう。
- Qなぜ顎関節症になってしまうのでしょうか?
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A
ストレスの多い生活とそれによる習慣のすべてが、顎関節症発症の引き金になり得ます。例えば緊張の多い生活によって、歯ぎしりや食いしばりが癖になっているのは顎関節にとって良くありません。同じく、TCH(Tooth Contacting Habit)と呼ばれる上下の歯が常に接触している状態も望ましくありません。また、スマホやパソコンを長時間使うような生活や、運動不足、食事内容が悪影響を与えることもあります。さらに私は頬づえやうつ伏せ寝、噛み癖が関連する可能性も考えています。小さな行動の積み重ねが、顎関節症の発症に関わるともいえるでしょう。
- Q実際の診療の流れについて教えてください。
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A
まずは顎のどこに痛みを感じるか、触診しながら確かめます。また口の開き具合や、その際に音がしないかも確認します。顎関節症では顎の筋肉に力が入り続けていることが多いので、舌に歯形がないか、頬の内側に白い線がないかも確認します。同時に顎の痛みの程度や音の有無、普段の生活や睡眠習慣なども丁寧に問診し治療に移ります。また、自宅では体の緊張を取ることに加え、食いしばりなどの悪癖にアプローチする目的のストレッチや、開口訓練などを行います。軽症であれば1〜2週間程度、重症であれば1ヵ月程度続けていただくことが目安となります。
- Qセカンドオピニオンも受けつけていると聞きました。
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A
顎関節症の治療では、まれにマウスピースを装着することもありますが、食いしばりなどに根本的なアプローチを行いたいというのが当院の方針です。当院でも、異常な食いしばりで歯の痛みが強い場合などはマウスピースを活用していますが、基本的には悪癖を改善することを重視しています。また、当院では口の開き方や音の有無、痛みなど、ある程度ゴールを決めてアプローチしていきます。過去の治療で、何となくマウスピースをしていたけれどあまり良くならず、装着もしなくなってしまったということはありませんか。「別の歯科医院で治療したけれど、あまり改善しなかった」という場合には、ぜひ一度足を運んでいただきたいです。
- Q日々の生活で予防のために気をつけることはありますか?
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A
歯ぎしりや食いしばり、噛み癖などを正し、運動や食事の習慣に気を配ることができれば良いですね。ゆっくりと入浴する習慣をつけるだけでも、だいぶ変わると考えます。一方で顎関節症はそのときのストレスの大きさと症状に関連が見られるケースが多いため、受診しなかったり途中で通院をやめてしまったりする人もいるでしょう。しかし環境の変化などに関わる再発のリスクは小さくありません。ストレスが大きくなったり、寒くなって体の筋肉が緊張するようになったりすると、症状のぶり返しにつながることも。そのため当院では生活習慣の改善とともに、診療の3〜4ヵ月後には再診を勧めています。一緒に再発を予防できるよう努めていきましょう。