藤井 三保子 院長の独自取材記事
のうみ矯正歯科医院
(鹿児島市/涙橋駅)
最終更新日:2025/09/25

涙橋駅より徒歩2分にある「のうみ矯正歯科医院」は、1989年に開業して以来、地域に根差した診療を行っている。2016年より院長を務める藤井三保子先生は、歯切れの良い話しぶりと温かな笑顔が印象的な歯科医師だ。話をしているだけで気持ちが明るくなるような雰囲気の藤井院長のもとには、子どもから大人まで幅広い年齢層の患者が集う。矯正専門の同院だが、藤井院長自身も現在矯正中だという。そんな藤井院長に、矯正歯科のメリットや自分で矯正を受けることで改めて見えてきたもの、患者への思いについてたっぷり語ってもらった。
(取材日2024年10月8日/情報更新日2025年6月24日)
地域に根差し、患者と温かく交わる歯科医院
こちらは矯正専門の歯科医院なのですね。

当院では、小児と成人、両方の矯正に力を入れています。小児の矯正は、年齢や成長の段階、お口の中の状況を考慮して、効率の良い時期に、できるだけ少ない装置で、一人ひとりに合わせた治療ができるよう心がけています。成人の矯正は、通常マルチブラケット装置という矯正装置で2〜3年かけて行いますが、使用する装置を工夫し通院のタイミングを計りながら、より短期間での治療をめざしています。さらに、歯並びに悪い影響を及ぼす「癖」をなくすことを見込んで、MFT(口腔筋機能療法)という療法を取り入れています。患者さんの協力が大切なので、お子さんを自然とやる気にさせるための工夫や、親しみやすい雰囲気で信頼関係を築くといったことにも力を入れています。
先生が考える矯正歯科の在り方について教えてください。
私が矯正歯科で大切にしているのは、「美しい口元で毎日を笑顔で過ごせるように」「健康な歯並びで毎日の食事を楽しめるように」という思いです。矯正を検討される方のほとんどは、八重歯や出っ歯、受け口などの歯並びや見た目を気にして来院されます。ですが、きれいに歯が並んだとしても上下の歯がきちんと噛み合っていなければ意味がありません。ご自身の歯でしっかり噛めることにもこだわって治療を行っています。また、矯正は患者さんご自身が納得してから始めることが大切です。当院では相談に来た方には即決しなくてもいいし、複数の歯科医院を比較検討してから矯正をするかどうか決めていいですよとお伝えしています。歯科医院を何軒も回って決めるのは当たり前のことですから、本当に気軽な気持ちで相談に来ていただきたいですね。
矯正に来た患者さんとたくさんお話しされるそうですね。

ご存じのとおり、治療後のケアも含め、矯正には長い時間がかかります。それなのに聞きたいことが聞けなかったり、疑問や不安を抱いたりしたままでは納得のいく治療はできません。信頼関係をしっかり築いた上で、安心して治療に臨んでいただきたいという思いから、患者さんとのコミュニケーションを何よりも大切にしています。当院は和気あいあいとした雰囲気なので、最初は緊張していた患者さんも気づけばリラックスしていて、ちょっとした日常の悩みや何でもないお話をしてくださるようになますね。私自身が子育て真っ最中なので、親御さん方と子育ての話で盛り上がることもありますよ。
2度目の矯正で見えてきた患者への寄り添い方
矯正はどういった流れで行うのでしょうか?

まずは初診相談で患者さんの悩みについて伺い、治療を希望されたら初回検査を行います。検査結果を分析診断し、その方に合った治療プランを立てていきます。患者さんのご希望を受け止めた上で、矯正で改善すべき点も含めた方法を提示しながらすり合わせていきます。治療プランにご納得していただいた上で方針を決め、矯正開始となります。矯正にかかる期間には個人差がありますが、矯正後のメンテナンスとして、3年の保定期間を設けています。定期的に来院していただきながら歯並びや噛み合わせを安定させていき、噛み合わせのチェックの他に、お口や装置のクリーニング、虫歯のチェックなどを行います。ご自宅でも生活習慣の見直しをしていただきながら、安定した歯並びをめざします。
先生ご自身も2度目の矯正中だそうですね。久しぶりに矯正をされてみて、どんな変化がありましたか?
25年ぶりに矯正を始めました。実は、以前の治療後に少しずつ後戻りした前歯のずれが気になっていたんです。以前は矯正装置の選択肢も限られていて、目立ちやすい上に痛みも強くて。実体験としてつらかったので、患者さんにも「大変ですよ」とお話していたんです。ですが、今の装置は目立ちにくく、痛みや違和感も軽減されていて、思っていたより快適に感じました。つらいイメージが更新されたことで、矯正への考え方もポジティブになりましたね。患者さんには、「思ったより楽に矯正できると思いますよ」とお伝えしています。また、私自身が日常に追われて保定装置を使用しなかったことで歯並びが後戻りした経験も正直に話しています。そうすると、「先生でもそうだったんですか?」と患者さんも安心してくださるんです。2回目の矯正をしたことで、患者さんの気持ちに寄り添いながら励ませるようになりました。
矯正は期間も長い分、モチベーションを保つのが大変ですね。

私は、患者さんの生活リズムや性格に合わせた声かけを意識しています。特に着脱式の装置の場合は、「やらなきゃ」と思うとおっくうですが、例えば「ゲーム中でもいいし、お風呂に入って髪を乾かすまでの間に使ってみて」といったふうに生活背景を踏まえて伝えることで、自然と装着時間が増やせるよう心がけています。目に見えて効果を感じて、モチベーションを保てる方もいれば、効果が感じづらく、モチベーションが下がってしまう方もいます。予定より早く終わりそうな方がいたら、「予定より早く終われるかも」と前向きな気持ちをさらに後押しできるように言葉をかけることもありますし、一方で、ペースが落ちていたり、くじけそうな方がいたら、「今のままだと少しかかるかもしれないけれど、一緒に頑張ろうね」と相手の気持ちに寄り添いながら、前向きな気持ちを持てるよう励ますことも大切にしています。
患者それぞれの状況に合わせた矯正を提案
お子さんの矯正をきっかけに、自分もやりたかったと気づくご家族も多いとか。

お子さんの治療を終えたお母さんを中心に、30〜40代になって経済的にも時間的にも余裕が出てきたことで、自分のための矯正を始めたいという方が増えていると感じます。ただ、年齢を重ねると、歯や骨の状態により矯正のしやすさが変わってきます。中学生なら成長の力が矯正に利用できる場合もありますが、大人になると歯周組織が弱くなっていたり、骨が痩せていたりすることで、動かせる範囲やスピードに制限が出る場合も。だからこそ、やってみたいなと思った時点で早めに相談に来ていただくことをお勧めします。「年齢的に遅いかも……」と思われるかもしれませんが、早く始めればその分早く矯正が終わります。まずはご相談していただくことが大きな一歩になると思います。
受験や進学、成人式や結婚式など、ゴールを決めて矯正を始める方も増えているそうですね。
ライフイベントと矯正スケジュールの調整は、とても大切です。ご希望があれば初回相談の時点でスケジュール感をしっかり共有し、可能な範囲で最善のプランをご提案します。お口の状態によっては期間が足りない場合もありますし、患者さんが想定されているよりも歯並びが安定するまでには時間がかかるものです。「間に合わせるために、今すぐ始めましょう」とお伝えすることもあるでしょうし、どうしても難しい場合は一部だけ先に矯正を行い、イベント後に再開するという対応をすることもあります。一人ひとりに寄り添った治療計画を立てることを大切にしています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

歯並びやお口の悩みは人によってさまざまで、矯正はお一人お一人に合わせたオーダーメイドの治療になります。「痛そう」「高そう」「全部治さなきゃいけないの?」というイメージをお持ちの方にも、気軽にお越しいただきたいですね。具体的にどんな治療をして、どこまで改善が期待できて、どれだけ費用がかかるのかを知って、疑問や不安を解消しましょう。おしゃべりをしに来ていただくような感覚で、矯正の情報集めをしに来てください。当院ではすぐに治療をすると決めなくても構いませんし、最初のステップとしてお口の検査をするだけでも選択肢が広がります。矯正を通じて、皆さんが少しでも前向きに、心地良く日々を過ごすきっかけをお手伝いできたらうれしいです。
自由診療費用の目安
自由診療とは小児の早期矯正/44万円、成人の矯正/92万4000円、部分矯正/23万1000円 ※すべて税込み