田中 大介 院長の独自取材記事
田中大介歯科医院
(鹿児島市/唐湊駅)
最終更新日:2025/05/07

唐湊駅から徒歩1分の所にある「田中大介歯科医院」。3階建てのビルに、「Daisuke Tanaka Dental Clinic」をモチーフにした「DTD」のロゴマークが目印だ。鹿児島大学歯学部第一口腔外科や人吉医療センターの歯科口腔外科部長として、顎の骨折、口腔がん、歯の破折など専門性の高い診療に従事してきた田中大介院長が1990年に開院。専門の口腔外科の難症例の他、一般歯科、小児歯科、矯正歯科まで幅広い診療に対応している。中でも力を入れているのは噛み合わせ。噛み合わせは全身にも影響を及ぼすものだと考え、その点も配慮したサポートを行っている。優しい笑顔と歯科医療に対する真摯な姿勢が印象的な田中院長に、同院の特徴や診療方針、歯科医療への思いを聞いた。
(取材日2025年3月27日)
専門の口腔外科を柱に顎関節症や噛み合わせ治療に注力
長く地域に頼られているクリニックと伺っています。

1990年に開院、10年後に現在の場所に移転して、25年になります。口腔外科、一般歯科、小児歯科、矯正歯科と幅広く診療していますが、私が口腔外科からスタートしているので、歯が折れた、顎を骨折したという方や、顎が痛くて口が開けられないなど、顎関節症の患者さまも多くいらしています。噛み合わせが悪かったり、肩凝りや腰痛があったりすると、体のバランスが崩れて口が開かなくなることも考えられますし、口を開けるとガクガクと音がするといったケースもあります。また、難しい親知らずの抜歯で他院から紹介されてお越しになる方や、整形外科から紹介されてお越しになる方もいらっしゃいます。
難しい親知らずの抜歯にも対応されているとか。
親知らずが横向きに埋まっているような症例は、大学病院や大規模病院での対応になることが多いのですが、当院でも抜歯を提供しています。下の歯の場合は神経と重なっているため傷つけると麻痺を起こす危険性がありますし、上の歯の場合は副鼻腔の一種である上顎洞(じょうがくどう)を傷つけると、そこから息が漏れたり、鼻出血が起こったりするケースがあるので、特に気をつけなければいけません。当院ではCT検査を行った上で、精度の高い抜歯を行っています。逆に、抜歯せず温存する治療を行うこともあります。他院で抜歯しか選択肢がないと言われた方がセカンドオピニオンで来院されるケースがありますが、残せる歯であると判断すれば、多少時間はかかりますが、抜歯せずに温存する治療も行います。
噛み合わせには、どのような治療で対応されるのですか?

矯正は噛み合わせを整えるための方法の一つです。以前からワイヤー矯正は専門の先生にお願いしていましたが、ワイヤーの見た目が気になったり、唇に引っかかるというお声をいただくこともあり、マウスピース型装置を用いた矯正も導入しました。患者さまにマウスピース型装置の装着時間を守ってもらうことで矯正を進めていきますので、お互いの信頼関係が大切ですね。また、歯科・医科どちらも、関節はブラックボックスの領域です。私も、口が開かない、音がする、という患者さまからのご相談には悩んでいましたが、10年ほど前に日本歯科大学の小出馨先生の講演を聞き、噛み合わせは口腔だけの問題ではなく、体全体にアプローチしなければいけないのだと考えるようになりました。歯科治療によって改善を図れることがありますが、必要と判断すれば、他分野の先生と相談しながら連携して進めていくこともあります。
インプラント治療では「噛み合わせまで考慮」が基本
初診から治療までの流れを教えてください。

初診で来られた場合、ひどい痛みがあるときは痛みを止めるための処置をします。まずはエックス線や写真を撮影して口腔内の状況を確認し、患者さまに見ていただきながら、気になることや不調の内容について伺います。治療は、患者さまのお体への負担を第一に考え、不要な抜歯はせず、治療計画書をもとに会話を通して一緒に決めていきます。また、虫歯治療、入れ歯治療、インプラント治療など、それぞれの費用の目安をお話しして、患者さまに納得していただいてから治療を進めていくことを大事に考えています。当院はさまざまな項目に対応していますので、歯だけでなく口の中のお悩みなど、気軽にご相談いただければと思います。
痛みや症状の原因がわからないという方も多いのではないでしょうか。
そうですね。例えば、「口が開かないけれど原因がわからない」と言って来院される方の場合には、無意識に歯を食いしばる癖が顎や噛み合わせの不具合に関係していることが考えられます。そういった場合には、筋肉を弛緩(しかん)させるための方法をお教えします。また、口の中に違和感があり口腔がんかもしれないと不安のある方もよく来られます。私は口腔がんを専門としていますので、問題がない場合は、「これは心配いりませんよ」と伝えるようにしており、患者さまの安心につながればと思っています。また、良性腫瘍と判断した場合は、患者さまの希望によっては当院で手術し、大学病院や市立病院に病理検査を依頼します。そして、口腔がんが疑われれば、公的病院に紹介して検査してもらうことも可能です。
インプラント治療も得意とされている治療の一つと伺いました。

インプラントもどんどん進化しています。当院では、インプラント治療をするにあたって十分な骨がない場合、骨を増やすための骨造成を行っています。また、噛み合わせを考えたインプラント治療を基本にしています。ただ、インプラント治療は良い方法ですが、先ほどお話しした抜歯の場合と同じで、神経を傷つけないように気をつけないと麻痺や出血が起こり、極端な例では死亡事故もあります。そのため慎重さが求められます。セミナーや勉強会に参加して、新しい情報を常に吸収していますが、とても慎重な性格なので、すぐに飛びつくことはしません。十分に考え納得してから導入しています。それは、口腔外科にいた際、大変な症例をたくさん診てきて、その怖さも知っているからだと思います。
患者の気持ちに寄り添い健康で快適な生活をサポート
先生が口腔外科をご専門にされた理由は?

大学在学中に、口腔がんの手術を受けた後の患者さまを担当したことがきっかけです。術後、入れ歯作製の依頼を受け、その方のお口に合うよう一生懸命取り組んでいました。ところが、治療の途中で、患者さまの舌に気になる点があることに気づいたんです。その時「もっと早くに気づけたかもしれない。術後の経過を意識して診ていく必要がある」と強く感じました。その経験が口腔外科に進んだきっかけとなりました。その後、大学病院の口腔外科では口腔がん末期の患者さまを担当し、全身麻酔の手術にも携わりました。さらに、総合病院では、事故で頭部や顔面を損傷した方や多くの口腔がんを診てきました。交通事故で患者さまが運ばれてきたときは、頭の手術を脳外科の医師が、口腔の手術は私が担当し一緒に手術をすることもありましたね。大変な状況ではありましたが、とても貴重な経験をさせていただきました。
診療で大切にされていることは何でしょう?
当院では患者さまとのコミュニケーションを重視し、信頼関係を築くことを大切にしています。子どもでも大人でも、また治療費の額に関わらず、患者さまは平等に診るようにしています。小さな子にもちゃんと言うべきことは伝えますし、大人でも、子どもの頃に歯科医院で怖い経験をされた方には、まず緊張を解きリラックスしてもらうことから始めます。昔の小児歯科では、泣いて嫌がっているお子さんであっても治療をすることがありました。それでは虫歯は治っても恐怖心が残ってしまうので、もう歯科医院に来なくなるんです。ですから、お子さんには会話をすることから始めます。そして慣れてきたら、削ったり薬をつけたりの練習をしてから治療に入ります。患者さまの不安を少しでも和らげ、健康で快適な生活をサポートできるようスタッフ一同努めています。
読者へのメッセージをお願いします。

当院にはしばしば難しい症例の患者さまが来院されることがあります。難しい症例と向き合うのは大変ですが、患者さまにきちんと説明をして納得していただけたら、治療をうまく進めていけるという気持ちが湧きます。また、硬い表情で来院された患者さまが治療後にニコニコされている姿を見ることができたら、「良かった」とやりがいも感じるでしょう。今は娘が勤務医として勤めていて、これからもスタッフ全員で、身につけた技術や経験を生かして、患者さまに喜んでもらえる治療を追究していきたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/33万円~、ワイヤー矯正/90万円~、マウスピース型装置を用いた矯正/90万円~、骨造成/11万円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。