五月女 寛明 院長の独自取材記事
五月女歯科医院
(宇都宮市/雀宮駅)
最終更新日:2023/11/02
亀山街道通り沿いにある「五月女歯科医院」は、開院から40周年を迎える歴史ある歯科医院だ。2023年9月には、五月女寛明院長が先代の五月女大介副院長から同院を継承しリニューアルオープンした。明るい光の差し込む洗練された雰囲気の院内はバリアフリー設計になっており、天井の高い待合室や広々とした診療室も居心地の良い空間だ。五月女院長は、口腔外科を専門に一般歯科にも従事。東京歯科大学では、オーラルメディシン・口腔外科学講座で、患者の全身的・医学的背景を考慮した診断と治療を7年にわたって学んできた。先代が培ってきた地域の信頼と先進の歯科治療が融合し、より幅広い治療を提供する環境を整えた同院。その診療方針や今後の展望について五月女院長に話を聞いた。
(取材日2023年10月13日)
長きにわたる地域の信頼と先進の医療で幅広い診療を
歴史のある歯科医院と伺っています。
父が1983年に開院し今年でちょうど40年になります。開院当初から通ってくださっている患者さまとともに年を重ねてきた地域密着型の歯科医院です。以前から、歯科医師になって10年ぐらい幅広い分野の診療経験を積んだ後に当院を引き継ごうと考えていて、今年の9月、院長に就任すると同時に建物をリニューアルしました。一番こだわったのは診療室の雰囲気です。以前の診療室と比べると約1.5倍広くなり、開放感があって患者さまが窮屈さを感じないような設計にしました。また、玄関前のスロープから診療室まで車いすやベビーカーでそのまま入れるバリアフリーにしています。土足で入れるようにしたことで、履き替える動作がなくなり、段差もなくフラットになったので患者さまの負担も軽減されたと思います。お子さまからご高齢の方まで、安心して通院できる環境を意識しました。
先生は口腔外科がご専門だそうですね。
2013年に東京医科大学を卒業し、同大学のオーラルメディシン・口腔外科学講座に入局しました。メインは口腔外科ですが、オーラルメディシンは診断学を基盤とした「口腔内科学」です。口腔疾患だけに目を向けるのではなく、患者の全身的・医学的背景を考慮した診断と治療を目的としています。この地域には高齢者が多いので、皆さん何らかの持病があって薬を何も飲んでいないという方はかなり珍しいという状況です。そういった方の診療をする際に、より安全に治療・手術ができるような知識を学んできました。必要があれば、患者さまの主治医の医科の先生とも連携して治療にあたります。
具体的にどのような患者さんに対応できるのですか?
例えば、過去に心筋梗塞や脳梗塞を起こしている人は、血栓ができないよう血をサラサラにするための薬を飲んでいることが多いと思います。また、骨粗しょう症という骨がスカスカになる病気に対して骨を強くするために飲む薬があるのですが、その薬はお口周りの骨にだけ副作用を起こすことがあって、抜歯したところから顎の骨が腐ってしまうということがまれにあります。そのような薬を服用している方に対しては、医科の主治医の先生と相談し治療方針を決めていきます。全身的な病気の知識がないとご提案が難しい点だと思いますね。
保険診療を中心に親知らずやインプラントにも対応
こちらの診療方針を教えてください。
基本的には保険適用の一般診療をメインにしていますが、私は長らく外科に携わっていたので、これまでは大学病院などに紹介していた小手術や親知らずの抜歯、お口の中の小さなできものなどには積極的に取り組んでいきたいと思います。そのため、手術用のかなり広い完全個室も用意しています。また、親知らずの抜歯やインプラントなどを行う際には、神経との位置関係が重要になるので、一般的なエックス線写真だけではなく、より位置関係がわかりやすい歯科用CTを導入し、しっかり診断できるようにしています。
今後、力を入れたい治療は何ですか?
インプラントは、今後注力していきたい治療の一つです。当院では、CTで撮ったデータを解析して適切な位置に埋入するためのガイドを設計し、その位置にしっかり再現できるサージカルガイドというシステムを採用しています。また、インプラントを入れるための下地となる骨が少ないという場合、骨増生という骨を増やすための施術を行いますが、骨を増やす方法は大きく分けて自分の骨を使うか、人工骨を使うかになります。症例によって変わりますが、当院ではそのどちらにも対応しています。リニューアルオープンしてまだ1ヵ月半ですが、相談件数は増えていますね。ニーズが高いことを実感しています。
クリーニングやメンテナンスにも特徴があるそうですね。
当院ではクリーニングの際、消毒のための液剤を注入しながら歯石を取っています。歯周ポケットと呼ばれる歯茎の周りを機械的にも化学的にも洗浄しながらお掃除をするので、お水だけのクリーニングよりも効果が期待できると考えます。歯石をとる器具も、マグネット式の超音波スケーラーを使用しているので、音や振動が少なく、患者さまの不快感を軽減できるようにしています。また、当院には4人の歯科衛生士が在籍しています。そのうちの2人は父の代から10年近く勤めてくださっているので、いろいろなことがわかっていますし、患者さまのことは私よりも詳しいのでとても頼りになりますね。個人医院で4人歯科衛生士がいるというのはなかなかないと思いますし、クリーニングの予約もスムーズに取っていただけるようにしています。
お父さまから引き継いでいきたい、大事にしていきたいことは何でしょう。
父の代の方針は、患者さまの希望を第一に考えるということです。例えば、医学的な観点から見ると抜歯だけれど、患者さまがどうしても残したいと言うのであれば、その意見を尊重してできる限り歯を残すように努める。患者さまのバックグラウンドやご希望を含めた上で相談していくということをずっと続けてきました。そこは私も同じ方針ですね。先代の院長に信頼を置いている患者さまも多いので、現在は父と2人体制で診療を行っています。「接遇」も大事にしていきたいことの一つです。言葉使いや椅子の位置、ライトの位置一つでも患者さまに不快な思いをさせないよう気をつけています。
予防と外科を中心に地域のかかりつけ歯科医をめざして
歯科医師を志されたのはお父さまの影響だそうですが、他にも何か理由があったのですか?
そうですね。父が働いている姿を見ていたことと生まれつき手先が器用だったことが歯科医師を志した理由です。細かい作業にイライラするということがあまりなくて、例えば趣味でロードバイクをやっているのですが、自転車を一人で組み立てられるぐらい勉強しています(笑)。自転車は、週末に150~200キロの長距離を走っていますね。ここ2年かけて、1週間の夏休みを利用し南は広島から北は青森まで自転車旅をしました。自分の足だけで知らない道を走る、山道を登ったり下ったりするのは楽しいですね。
地域にとってどのような歯科医院でありたいとお考えですか?
現在、矯正治療だけはご紹介する形なので、将来的には矯正歯科専門の先生に来ていただき、当院で対応していきたいですね。私が外科出身なので、一番得意とするところはやはり外科とインプラント関連ですが、予防歯科にも注力していきたいと考えています。定期的に検診に来ていただいて、小さい病気は小さいうちに治療して、歯を長く保つことの大切さを伝えていきたいと思います。宇都宮市では、まだまだ予防の意識が高いとはいえないので、予防歯科の概念が皆さんに浸透すれば、大変なことになる前に済むと思います。自分自身が口腔外科を専門としているからこそ、抜くだけではない、残すことの大切さを周知していきたいですね。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
日頃からの予防はとても大切です。予防、早期発見、早期治療のために定期的なクリーニングにぜひ来ていただきたいですね。かかりつけ歯科医であれば、患者さまのお口の中を把握していますから、何か問題が起きても対応しやすいと思います。栃木県には口腔外科のある大きな病院があまり多くないので、紹介となると、患者さまに遠方まで行っていただかなくはいけませんが、できる範囲の治療は当院で担っていきたいと思います。インプラントや親知らずの抜歯はもちろん、お口の中にできものができた、顎が痛い・音がする、口周りをケガした、事故で歯が抜けてしまったなども口腔外科の領域です。全身疾患をお持ちの方も安心して治療できますから、ぜひ一度ご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント/32万円~、骨増生/7万7000円~