鈴木 規正 院長の独自取材記事
鈴木歯科クリニック
(大阪市中央区/北浜駅)
最終更新日:2025/05/02

淀屋橋駅、北浜駅の両駅から徒歩4分。天神祭の開催地として有名な大川沿いに建つビルの3階に「鈴木歯科クリニック」はある。院長の鈴木規正先生は、1999年に同院の前身となる歯科医院の分院長に就任後、2006年に継承・開院。穏やかな話し方と優しい笑顔が印象的な歯科医師だ。学生時代から柔術、合気道に親しんできたというだけあって、一本筋の通った考え方の持ち主。失った歯を補う治療としては、インプラント治療はあえて選択肢に加えず、歯牙移植、ブリッジ、入れ歯での治療にこだわる。顎関節症の治療にも早くから取り組み、悩みを抱える多くの患者を助けてきた。そんな鈴木院長に、患者に対する思いから治療のこだわり、ポリシーまでをたっぷりと聞いた。
(取材日2019年2月14日)
自身の経験から、早くから顎関節症治療に取り組む
淀屋橋からも北浜からもアクセスの良い場所ですね。患者さんはどんな方が来られますか?

基本的には、近隣のオフィスに勤める会社員の方ですね。お子さんはほとんどいらっしゃいません。時折、インターネットで当院を知ってくださり、滋賀県や兵庫県といった、遠方からお越しになる患者さんもいらっしゃいますが、やはりクチコミをお聞きになられた近隣の患者さんにご来院いただいていることが多いですね。近くの方が当院を頼ってくださることは本当にうれしいことです。当院は予約制ですが、急患の方もお断りすることはありませんのでご安心ください。
数ある診療内容の中から、いくつか特徴的なものをご紹介いただけますか?
当院は一般歯科、予防歯科、顎関節症治療、歯牙移植、入れ歯・ブリッジ治療などに対応しています。その中で申しますと、顎関節症治療と歯牙移植は非常に多くの症例を診てきました。特に顎関節症については、学生の頃から興味を持っていた分野です。私自身に食いしばりの癖があり、顎が開きにくくなった経験があるのです。顎関節症は「口を開けると顎が痛い」「顎を動かすとカクカク音がする」「大きく口が開けられない」などの症状が起きます。1999年にここへ赴任した時から、「無意識に上下の歯を触れ合わす習慣がなくなるようにしてください」、「マウスピースを使いましょう」などと顎関節症の改善や予防のため啓発してきました。就寝中の歯ぎしりや食いしばりに対処するためのナイトガードは、歯科技工所に任せるのではなく、私自身で作っています。
顎関節症が進むと、どうなりますか?

症状が進むと、日常生活にまで支障を来してしまうことがあります。ある患者さんは、顎関節症をなんとか治したくて、あちこち転院を繰り返しても良くならず、行き着いたとある病院で「あなたの顎関節症はもう治っているのだから、それでも症状が気になるというなら精神科へ行ってください」とまで言われたそうです。その後あるきっかけで当院へ来られたのです。こんなケースもあるんだということを身を持って実感することとなった出来事でした。実は当院のホームページは、その方が受診をきっかけにベースをつくってくださったものです。今も遠方から通院してくださっていますよ。私もたいへん勉強になりましたし、深く感謝しています。この経験を生かして、これからも患者さんと良いご縁が結べるように、日々精進だと思っています。
失った歯を補う方法を患者ごとに考え、治療する
歯牙移植についても教えてください。

失った歯を補う方法として、ブリッジ、入れ歯、歯牙移植などがあります。このうちの歯牙移植は、親知らずや骨の中に埋まっていて機能していない自分の歯を、欠損した別の場所に移植します。自分の天然の歯を生かすことができますし、生着すれば体への親和性が高いとされる治療方法です。歯と一緒に歯根膜(歯を支える骨と歯の根っこにある薄い膜)も移植されますので、クッションのような機能がありますし、咬合力センサーの役割を持っていますので自然な噛み心地を得ることが可能になると考えられます。このクッション性や噛み心地の他にも、歯と骨・歯肉の結合にも重要な役割を果たし、また、口腔内細菌からの感染予防にも一役買っている歯根膜は、インプラントではその機能を得ることができない、とても重要なポイントだと私は考えております。インプラント以外の治療をお探しの方は、ぜひ気軽にご相談いただきたいです。
先生は、歯を残すことを最優先に考えておられるのでしょうか?
天然の歯を残して生かしていけるなら、それがもちろん理想的です。けれど「この歯は絶対に抜かないといけない」というケースも出てきます。例えば、ある歯を残しておくせいで、入れ歯を作っても噛み合わせが狂ったり、ぐらぐらしている歯にかけると、痛くて噛めなかったり、時には抜かざるを得ない状態にまで状況が変化してしまうこともあるからです。そんな時は、最後の1本であっても「これは抜きましょう」と患者さんを説得します。目標として「患者さんの歯を長く持たせたい」という思いはもちろんありますが、他のトラブルを招く原因になるようなら、そうも言っていられません。患者さんお一人お一人に合った治療を考えるからこそ、場合によっては抜歯という選択も致し方ない。そういうときは、一生懸命説得します。
歯を残すためには、患者自身の努力も必要になってきますよね。

そうですね、毎日当院へ通っていただくわけにはいきませんから。ご自身で歯をきれいにできるような清掃能力を高めることが、一番の近道ですね。当院では、患者さんが来院されて、今すぐ治療介入しないといけないトラブルでなければ、まずどうやったらきれいに口腔内を保てるのかをご説明し、練習していただきます。その方の歯やお口の状態に合わせて、歯ブラシ、歯間ブラシ、フロスなどの道具を選び、適正なサイズをお勧めします。歯に汚れが残っているとどうなるかということは、皆さんもうご存じでしょうが、ここに汚れが残るとこうなる、ということまでを理解していただいて、磨き方の練習をしていただきます。少しうるさいと思われる方もいらっしゃるでしょうが、それぐらいの勢いで「練習に来てね」とお声がけしています。
セーフティーネットとして機能する歯科医院をめざす
保険内での治療を心がけておられるそうですね。

保険診療を行う医療機関として看板を掲げている以上、保険内でできる治療をメインに考えるのは当たり前というのが私の考えです。その上で、かぶせ物や入れ歯などについては「保険適用外にはこんなものもありますよ」とご提案はさせていただきます。仕様や素材は常に進歩しますので、審美性に優れた物も数多くあります。私としても、美しいかぶせ物や入れ歯を入れてあげて、患者さんの喜ぶ顔を見たいとは思いますが……。当院では、保険内の入れ歯であっても、必要な機能を備えた物を提供させていただいているつもりですから、ぜひご相談いただきたいですね。
先生は、とても強いポリシーをお持ちですね。
そうですね、物心ついた頃から頑固だったように思います。当院ではインプラント治療を行わない、というのも現時点での私のポリシーです。インプラントの勉強会に通って勉強もしたつもりですが、「インプラントの治療を導入される先生はたくさん増えるだろうから、それなら逆にインプラント以外の治療方法をお勧めする歯科医師がいてもいいのではないか?」と思ったのです。それから、歯牙移植やブリッジ、入れ歯での治療に、ますます力を入れるようになりました。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

インターネットの普及により、歯科についても、多くの情報を簡単に得ることができるようになりました。実際に診察をした歯科医師のアドバイスよりも、氾濫するインターネットの情報に溺れ、その結果、不安を抱えながらいくつもの歯科医院を転々とされる方も残念ながら増えているかと思われます。歯は、一度削ってしまったら元には戻らない大切な体の一部ですから、不安になる気持ちはよくわかります。私は、そういう不安を抱えた患者さんのセーフティーネットになれれば、という思いで日々診療をしております。
自由診療費用の目安
自由診療とはオールセラミックのかぶせ物/6万6000円~11万円、金属床義歯/23万円~