安部 修武 院長の独自取材記事
あべ歯科クリニック
(福岡市東区/奈多駅)
最終更新日:2023/03/16

海の中道線奈多駅より徒歩10分、西鉄バス三苫口停留所から徒歩1分にある「あべ歯科クリニック」は、1991年の開業以来、地域に密着した歯科診療を行っている。ブルーと白を基調とした院内は、心安らぐ落ち着きのある空間。大通りに面した窓からは明るい光が差し込み、すがすがしさを感じる。はにかむような笑顔で迎えてくれた安部修武院長は、東区にある福岡県立福岡高校の卒業生。高校時代からこの地に慣れ親しんできたという。歯科医師としてのキャリアは30年以上のベテランで、地域に密着した歯科医療の提供に努めている。そんな安部先生に、歯科診療にかける想いなどをじっくり語ってもらった。
(取材日2020年10月6日)
高校時代から慣れ親しんだ地域で開業
先生が歯科医師を志した理由は何ですか?

僕自身、歯が悪かったというのがあります。高校受験の間際に虫歯ができて歯医者さんに行ったのですが、なぜか余計に悪くなってしまいました。そこで、他のクリニックに行ってみたら、症状が改善に向かい感動したんです。当時は治療用のシートが倒れず、座ったまま治療を受ける時代。ですが、2軒目のクリニックではリクライニング機能がついていて、心地良く過ごせたことを覚えています。また、昔の歯科治療では十分な説明を受けることなく、いつの間にか歯を削られたり、抜かれたりすることも珍しいことではありませんでしたが、その先生はきちんと説明してくれたんです。自分が助けられた体験を通して、漠然と歯科医師になりたいと思うようになりました。
開業までのご経緯を教えてください。
福岡県立福岡高校を卒業後、九州大学歯学部に進み、市内のクリニックで一般歯科、歯周病、インプラント治療の研鑽を積んだ後、1991年に開業しました。東区奈多は高校時代から慣れ親しんできた地域です。開業するなら昔からなじみのある土地で、地域に密着した歯科診療を提供したいと考えていたので、大通りに面したこの場所を選びました。ちょうどマンションができ始め、若いファミリー層の流入が増えてきた頃です。開業当初からの患者さんもいまだに来られています。あれから30年近くたち、当時は20代で若かった僕も患者さんも、お互い年を取りました。
どんな患者さんが多く来院されていますか?

ほとんどが近隣にお住まいの方です。仕事を引退した60代以上の患者さんが中心で、特に午前中はシニア層の割合が多くを占めています。最高齢は100歳を超えた患者さんもいらっしゃいます。主訴として多いのは歯周病の治療です。あとは、虫歯の治療、入れ歯やインプラントのご相談などでしょうか。定期的にメンテナンスに通ってくださる患者さんもたくさんいらっしゃいます。お付き合いの長い患者さんが多く、クリニックの周りの雑草を抜いてくれたり、生け垣の伸びた枝を切ったりしてくれたりする方もいらっしゃり、その関係性がとてもありがたく感じています。待合室に置いてある木製の靴ベラや植木を置く台、段ボール製の椅子なども患者さんの手作り作品なんですよ。いつも、患者さんに支えられているなと実感しています。
歯の健康を守るためにメンテナンスを重視
先生の得意な診療を教えてください。

最近力を入れているのは、割れた歯の修復治療です。転倒などの外傷により割れることもありますが、食いしばりや歯ぎしりなどで歯に強い圧力がかかりすぎて自然に歯の根っこが折れたりひびが入るケースが多いですね。特に、神経を取った歯は栄養が行きわたらず、もろくなっているので、噛む力が強いと折れてしまうことがあります。歯が折れたり割れたりすると、往々にして抜歯になることが多いのですが、何とか残せないかと考えながら治療にあたっています。歯を温存する方法として、割れた歯をいったん抜歯して、接着処置を施した後に元の場所に戻す方法があります。完全に歯が割れて、他院で「抜歯しなければならない」と言われた方も、当院に一度ご相談ください。
やむなく歯を失った場合の治療はいかがですか?
歯を失ってしまった方には、保険診療・自由診療に限らず、患者さんに合った義歯治療やインプラント治療を提案し、食事や会話がスムーズにできるようサポートしています。当院では、従来の入れ歯の悩みを解消するため、軽くて装着感の良さに特徴がある義歯なども扱っています。このタイプは金具を使っていないので、見た目に違和感がありません。食べ物が詰まりにくい構造になっているので、おいしく食事をしていただくことができるでしょう。インプラント治療では、歯科用CTで撮影した精密な画像をもとに、インプラント体の埋入を行っています。外部の口腔外科を専門とする先生とも連携していますので、難しい症例にも対応しています。インプラントに必要な骨量が不足している場合は、骨の量を増やすところから治療を行っています。
治療後のメンテナンスにも力を入れているそうですね。

歯周病の場合、一度治療してもしばらくたつと細菌が口の中に増えてしまう可能性があるため、定期的なメンテナンスが欠かせません。過去には、せっかく治療したのにその後何年も放置されて、次に受診された時には口腔内環境が悪化していたというケースがありました。そこで当院では、メンテナンスに力を入れています。治療を終えた患者さんに定期的に通っていただき、口腔内のクリーニングやブラッシング指導などを行っています。また、インプラント治療後は、インプラント体の脱落につながるインプラント周囲炎に注意が必要です。これはインプラントの歯周病といわれるもので、細菌感染によって起こります。こうした症状は、定期的なメンテナンスで予防をしていくことが大切。当院ではアフターケアをしっかり行い、長く健康な状態を維持できるよう努めています。
さまざまなニーズに応えられる歯科医師でありたい
患者さんと接する際にどのようなことを心がけていますか?

自分も若い頃から歯のことで悩んだ経験があるので、丁寧な治療を心がけています。最初に口腔内を撮影し、大きなモニターで口腔内写真やエックス線画像をご覧いただいています。実際にご自身の目で見て確かめることで、口の中の状態について理解を深めていただけるのではないでしょうか。それらを一緒に見ながら今の状況をお伝えして、さまざまな治療の選択肢をご提案いたします。例えば歯を失った場合、選択肢として保険適用の義歯、保険外の特殊な義歯、インプラント治療などがありますので、それぞれのメリット・デメリットを詳しく解説し、ご納得いただいてから治療を進めていきます。治療に際しては必ず拡大鏡を使用して、細かな部分まで確認しながら進めることで精度の向上に努めることも忘れません。高齢になるほど悪化するスピードが速いため、治療箇所を見落とさないようにしています。
患者さんとの印象深いエピソードを教えてください。
開業当初からずっと来ていただいている患者さんが、就職活動中に面談で「自慢できることは何ですか」と質問されて「虫歯がないことです」と答えたら、見事合格されたそうです。それを聞いた時に、心からよかったなあと思いました。最初に来た時は4、5歳だった男の子が、今はもう子どもがいるのですから、時がたつのは早いものです。もう少しお子さんが大きくなったら、連れて来てくれるんじゃないかな。また、ご夫婦で通われていた患者さんで、ご主人が亡くなられた方がいらっしゃいました。しばらくたって奥さんが来院された時に「主人から『歯医者はずっとあべ歯科に行きなさい』という遺言を残されました」という話を伺いました。本当にありがたいことです。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

どちらかといえば若い層よりも、年齢を重ねた方を診ていきたいという気持ちが強いですね。これからますます高齢化が進む地域ですので、歯科医診療を通して患者さんを支えていければと思っています。当院は2階にあるので「足が悪くて階段を上れない」という方もいらっしゃいます。将来的には訪問診療も取り入れて、そうした方をなんとかして診てあげられるように体制を整えていきたいです。めざすのは、地域の方のニーズに一通り応えられる身近な歯科医院。忙しくて通えないという人も結構いらっしゃいますが、後から「あの時、行っておけばよかった」と悔やまれることが多い。そうならないためにも、年に2回、難しければ1回でもいいから定期検査にいらしてほしいです。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/30万円~
マウスピース型の装置を用いた矯正/16万5000円~
ホワイトニング/1万6500円~
ノンクラスプデンチャー/9万7000円~
骨造成/11万円~
※すべて税込み