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森山 一郎 院長の独自取材記事

もりやま耳鼻咽喉科

(鹿児島市/神田(交通局前)駅)

最終更新日:2020/07/15

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鹿児島中央駅から車で6分。鹿児島市西田から中山方面へ向かう県道35号線沿いにある「もりやま耳鼻咽喉科」は、田上の住宅街に開院して24年になるクリニック。院長を勤める森山一郎先生は「乳幼児や学童期の子どもたちにとって、ちゃんと耳が聞こえ、鼻で息ができ、いびきのない十分な睡眠が取れることはとても大切なこと」と鹿児島市内で6ヵ所の園医や学校医を受け持ち、学校保健委員会などに積極的に参加。そんな森山院長に、医院のこれまでの経緯や現在の診療状況、患者との向き合い方まで、人間味あふれる話をじっくり聞いた。
(取材日2020年6月4日)

地域密着型で耳鼻科の患者が笑顔になれる診療を

クリニック開業のきっかけを教えてください。

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医学の道へ進もうと決めたのは中学生の頃です。小学6年生と中学3年生の時に、大好きな友達を病気で亡くしてしまいましてね。幼少期に身近な人を失った経験から医学に対する関心が芽生えました。大学は三重大学医学部へ進学しましたが、卒業後は故郷に戻りたいと思っていましたので、鹿児島大学医学部の医局に入りました。そこでは主に上顎洞がんや舌がん、喉頭がん、咽頭がんなどのがん患者を診てきました。その後は鹿児島市立病院や県立大島病院、鹿屋病院など13年間で7ヵ所の公立病院に勤めてきました。公立病院に来られる患者さんは、がんがかなり進行して手遅れとなる方も多くいらっしゃって、進行する手前の医療が大切だと強く感じたんです。手術手技に対する自分の能力も安定期に達したので「これからは、地域医療で耳や鼻、喉の病気の早期発見や啓発に努めたい」と、1996年の12月開業しました。

クリニックの診療方針について教えてください。

私たちは、治療というのは医師による診察だけに限らないと考えています。クリニックの顔となる受付ではスタッフが明るくてきぱきとした対応で患者さんを迎え、看護師にバトンを渡します。次に看護師の丁寧な問診と的確な対応で患者さんに安心感を持ってもらう。この一連がスムーズだと、医師の診察は患者さんへの簡単な助言と補足説明だけになることもあるんです。病気は症状だけでなく、気持ちの部分も含まれていますからね。患者さんとの信頼関係が築けてこそ、良い診療ができると考えています。開業25年目になりますが、そうした意味でも、親子孫3世代で通われている方がいらっしゃることは、励みになります。また今、感染症対策として、窓口での支払いを自動支払い機に変えることで事務員と患者さんとの接触をできるだけ少なくしようと準備を進めています。

患者さんと接する際に心がけていることをお聞かせください。

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生後すぐの乳児から100歳近くの高齢者まで幅広い年齢層の患者さんが来られますが、クリニックの1階が小児科ということもあり、大半は子どもさんとそのご家族が多いですね。小さい患者さんなら友達に接するような感じで話しかけながら診察しています。例えば、耳の穴をのぞく道具の耳鏡(じきょう)を使うときは「こんなのが見えるんだよ」とのぞかせて興味を持ってもらいます。着ている服のことを話題にしたり、診察が終わったらハイタッチしたりもします。診察しながら話をすることが、私自身の疲れも取ってくれるんですよ。そうでないと、毎日たくさんいらっしゃる患者さんの診療でへとへとになってしまいます。また、いまだに手書きのカルテにこだわっています。青と赤のえんぴつと黒赤ペンを使って書き分ける私のカルテは実にカラフル。カルテを開いた瞬間に、診察の記憶が蘇ります。そういうことを大切にしていますね。

一人ひとりと向き合い、寄り添った診療を

どんな症状での来院が多いのですか?

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子どもの症状としては、保育園に行きだしてからの乳幼児の鼻炎と中耳炎がとても多いです。集団生活という感染しやすい環境にいるのが原因だと思われますが、感染を起こす病原体に対する免疫は、3歳を過ぎたあたりから獲得されてきます。それまでは辛抱強く通院されるのがいいかと思います。鼻水が出るのに放っておくと滲出性(しんしゅつせい)中耳炎になって聞こえが悪くなることで、言葉の習得が遅くなる可能性も。お年寄りの症状としては、めまい感や喉の違和感を訴える患者さんが多いです。総合的には、耳鼻科の疾患として全国的に多いアレルギー患者が多いです。

アレルギー治療ではどのようなことを行っていますか?

一般的には抗ヒスタミン薬を使って、くしゃみや鼻水、鼻詰まりへの治療をしていきます。ところが、この薬には副作用として眠気や口の渇きなどがあり、妊婦さんや授乳中のお母さんは使えません。最近の治療としては、アレルギーの治療として免疫療法が注目されています。アレルギーの原因物質に体を慣らしていくもので、アレルゲンを含む治療薬を皮下に注射する皮下免疫療法と、治療薬を舌の裏側に投与する舌下免疫療法の2種類があります。舌下免疫療法は5年ほど前から保険適応になりました。今のところ、スギ花粉とダニに対応するだけのものですが、適応できるか検査した上で処方し、決められた一定量を数年間にわたり継続して服用していただきます。

火山灰など、鹿児島ならではのものが原因のアレルギー疾患の方はいらっしゃいますか。

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火山灰と鼻炎の関連性についてのデータはありませんので、火山灰が原因のアレルギー患者が多いかどうかはわからないですね。ただ、火山灰やPM2.5、黄砂などは鼻の粘膜を刺激するので、アレルギーと同じような症状が出ます。また鹿児島県では、花粉症患者は少なく、代わりにダニなどのハウスダストに対する患者が多いのが特徴です。アレルギー性鼻炎になる原因としては、衛生仮説というのがあります。昔は畜産や農業が身近にあり、多くの雑菌の中で生活していましたので、それに対応する免疫もありました。現代は、ほぼ無菌の中で育っているため外からの刺激に弱く、無害なダニや花粉などの物質にも体が過敏になってアレルギーを発症するという説です。環境の良さが裏目に出るとは、興味深いですよね。

「よく聞こえ、よく香り、よく話す」ことは素晴らしい

院長が耳鼻科の医師をめざした理由を教えてください。

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大学の耳鼻科の恩師が、病原菌や花粉などの異物が体内に入ってきたときに、それを排除する生体防御システムを研究をしていたのに興味を持ちましてね。今、世界的に感染が拡大している新型コロナウイルス感染症も、主に感染者による咳やくしゃみ、または息を吐いた際に出る飛沫を通じて感染するわけですが、学生時代、「耳鼻咽喉科は外からの病原菌を封じ込めていく最初の砦なんだ」と関心が高まりました。また、耳鼻咽喉科は人間の五感に直結する診療科目、「よく聞こえ、よく香り、よく話をすること」は素晴らしいことだと思いませんか? そのお手伝いをできることは医者冥利に尽きますね。

多趣味だと伺っています。プライベートはどんなことを楽しまれてますか?

趣味はたくさんありますよ。運動ならサッカーやマラソンをしたり、食べることも好きでワインやコーヒーを楽しんだり。読書するなら歴史ものや古典が好きですね。興味があるものには何でも首を突っ込むタイプです。その趣味が、診察時に患者さんとお話しするときに結構役立つんですよ。生活する中では思うようにいかないこともたくさんありますが、一日の最後に少し良いことがあると良い気分で一日を終えられますよね。例えばワインを飲んで「おいしい」で終わったり。日々を充実させるためにも興味のアンテナを広げています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

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私も年を取ってきましたので(笑)、これ以上患者さんが増えるのも対応できず困ってしまいますね。でも、耳鼻科に関する情報をもっと発信しなければならないとの使命も感じています。例えば、風邪の症状がある場合は、耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします。風邪では鼻水やくしゃみ、鼻詰まり、喉の痛み、咳など、上気道のトラブルが多いです。上気道とは、鼻から鼻腔、咽頭、喉頭(こうとう)までの呼吸器のことを指しますが、耳鼻咽喉科はまさしく、この風邪の諸症状に対応する専門分野と言っていいと思います。また、来られる患者さんには、医者任せでなくある程度の意見を持っていただければうれしいですね。自分の病気のことを知ることが、治療にもつながっていくと思いますよ。

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