谷山 弘樹 副院長、谷山 央樹 先生の独自取材記事
敬愛クリニック
(鹿児島市/五位野駅)
最終更新日:2025/08/07

「敬愛クリニック」は、鹿児島市平川町の動物園入口バス停から徒歩2分に位置する。谷山茂樹院長の長男で、日本糖尿病学会糖尿病専門医の谷山弘樹副院長に加え、次男で日本肝臓学会肝臓専門医の谷山央樹(おうき)先生が診療に参画。専門分野の異なる医師が連携することで、院内で迅速な診察・サポートを受けることができるという。また、同院は健康診断で異常が見つかった場合の二次健診にも注力。開業から40年以上、地域のかかりつけ医院としての役割を担い続けている同院。弘樹副院長と央樹先生に、診療理念や専門分野などについて詳しく話を聞いた。
(取材日2025年6月26日)
診察時の会話は心身の不調や疾患を見抜く鍵
主な患者層や主訴について教えてください。

【弘樹副院長】患者さんは地域の方が多く来院してくださっています。平川町周辺も年齢層が上がっており、全体としてはご高齢の方が多い印象です。症状は糖尿病に限らず風邪などの内科全般、手がしびれる、眠れないなどさまざまです。最近は健康診断で異常が見つかった30代〜60代の方も多く来られています。
弘樹副院長のご専門は糖尿病だとお聞きしました。具体的にはどのような治療をするのですか?
【弘樹副院長】糖尿病は痛い、つらいといったわかりやすい自覚症状が出にくいので、日常生活の中で自分が糖尿病と気づく人はあまりいません。だからこそ、健康診断などを利用し、血糖値やHbA1cが少し高いと指摘された方は、早めに受診してほしいと思います。治療は採血の値にもよりますが、早期発見であればいきなり薬を服用することはなく、まずは生活習慣の見直しを行います。食生活や飲酒量、運動量を見直し、改善を図ることが重要で、当院の場合は管理栄養士が勤務しているので、一人ひとりに合わせた食生活などの生活習慣の指導を行っています。そうやって3ヵ月くらい経過を見て、それでも数値が改善されない場合は、患者さんにしっかり説明した後、治療薬を服用することになります。
央樹先生の経歴や専門分野を教えてください。

【央樹先生】私は医師免許を取得後、鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学講座に入局しました。その後は、鹿児島大学病院や鹿児島市立病院にて約11年間、臨床に携わり、消化器疾患や肝臓疾患を中心に経験を積んできました。2025年より現在のクリニックで常勤医として診療を開始しております。鹿児島大学病院や鹿児島市立病院では、専門性の高い診療を行う環境にありましたが、その中でも指導医の先生方からは、内科医として専門分野のみならず、患者さんの全身を診る姿勢を学んできました。今でもその教えを忘れずに診療にあたっています。
専門が異なる3人の医師が、幅広い疾患に対応
3人体制診療のメリットについて教えてください。

【弘樹副院長】一番のメリットは、それぞれの医師の専門分野が異なることだと感じています。院長は胃腸内科・消化器内科、私は糖尿病、央樹先生は消化器内科・肝臓内科を専門にしており、同じ内科でも異なる視点から患者さんを診ることができます。例えば、私が診ている糖尿病の患者さんに胃腸の不調や肝機能障害があった場合、すぐに院長・央樹先生に相談し、院内で診察を受けてもらうことができます。他院を紹介することなく、院内で完結できるのは患者さんにとっても安心感があると思います。また、3人いることで、一般的な風邪などの患者さんもお待たせする時間が少なくなるメリットもあります。専門分野の異なる医師が一つのクリニックにいることで、より幅広い疾患に対して専門的な対応が可能になるというのが、当院の強みです。
診療時に意識されていることはありますか?
【弘樹副院長】患者さんご自身の根元にあるお考えをしっかりと聞くことです。例えば血圧やコレステロールが高く医学的に薬を勧めたい場面であっても、患者さんが薬を拒否される場合、まずはなぜ薬を飲みたくないのか、どんな不安があるのか、その背景を丁寧に伺うようにしています。一方的に説明して治療を始めるのではなく、納得して治療に向き合えるように心がけています。そうすることで、途中で薬をやめてしまうことも少なくなり、結果として合併症のリスクを抑えることにつながると考えています。
【央樹先生】私も患者さんとの対話を大切にしています。診察では世間話も交えながら、その方の背景や生活スタイルなども含めて、かかりつけ医として「この方のことは私が一番よく知っている」と言えるような関係を築くことを心がけています。必要に応じて専門施設への紹介なども行い、全身をしっかりと把握できる医師でありたいと思っています。
健康診断で肝機能異常や血糖異常などがあった方も来院されているそうですね。

【弘樹副院長】はい。中には健診で異常が出ているのに、二次検査を受けない方もいらっしゃいますが、血糖異常で血糖値が高い状態を放置すると、全身の血管にダメージが蓄積され、網膜症・腎臓の障害・神経障害をはじめ、脳梗塞など命に関わる病気につながる可能性もあります。健診で異常が出た時点で一度受診していただくことが大切です。早い段階で治療を始めれば合併症の進行を抑えることができます。当院では食事の時間や間食の頻度などの生活リズムを確認し、無理のない治療をご提案しています。
【央樹先生】肝臓に関しては、健康診断で異常を指摘されても「お酒の飲みすぎかな」「太り気味だからだろう」と病院に行かない方も少なくありません。ですが、B型・C型肝炎、自己免疫性疾患など、別の原因が隠れていることもあります。早期に見つけて対応をすれば病気の進行を抑えることができますので、ぜひ精密検査を受けていただきたいです。
肝機能異常や血糖異常など健康診断の二次検査にも注力
胃の内視鏡検査についても教えてください。

【央樹先生】内視鏡検査はつらいイメージを持たれている方が多い検査です。鎮静剤を使用して、できるだけ楽に検査を受けていただけるように配慮しています。鎮静剤を使わずに検査を受ける場合もできるだけ負担の少ないよう、声かけをしながら丁寧に行っています。胸焼けやむかつき、みぞおちの痛みなどの症状があった場合や健診で異常を指摘された際にはなるべく早めに内視鏡検査を受けることをお勧めします。予約はお電話でご連絡いただければ、状況によってはその日のうちに受けていただける場合もあるので、まずは一度ご相談ください。
今後は訪問診療も考えていらっしゃるとか。
地域の皆さんが気軽に診療を受けられるかかりつけ医院であることが、当院のめざすところです。この地域も年々ご高齢の方が増えていて、今まで来院してくださっていた患者さんの中にも通院が難しいと感じている方が増えています。現在、往診はできる範囲で受けるようにしていますが、訪問診療はまだできていない状況です。今後、通院が難しい方々のご自宅へ、私たちが定期的に訪問することで、しっかりと医療を届けたいと思っています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

【央樹先生】肝臓の病気は、自覚症状がほとんどないまま進行してしまうことが多いです。放っておくと肝硬変に進行することもあるので、健康診断で肝機能の異常を指摘された方や、肝臓のことで少しでも気になることがある方は、ぜひ一度ご相談ください。当院では各種の検査が可能ですので、まずは気軽に受診していただけたらと思います。
【弘樹副院長】地域の皆さんには、「ちょっと気になるな」くらいの症状でも構いませんし、健康診断の結果で引っかかったということでも結構なので、気軽に立ち寄っていただけたらと思っています。もちろん糖尿病・肝臓以外のことであっても、まずは相談していただけるような、身近な存在でありたいと思っています。