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桑波田 隆志 院長の独自取材記事

くわはたクリニック

(鹿児島市/鹿児島駅)

最終更新日:2021/10/12

桑波田隆志院長 くわはたクリニック main

鹿児島市、玉里団地中央バス停より徒歩3分の場所にある「くわはたクリニック」は、開業以来、およそ45年もの長きにわたって地域の人々の健康を支えてきた。高齢化や老老介護などが身近な課題であるこの地域で、日々の生活から看取りまでを診るきめ細かなケアの提供に努めているのは、2代目院長の桑波田隆志先生。先代院長である父と、地方の診療所で地域の人たちのために尽くした祖父に大きな影響を受け、地域の医療を支えようと医師を志したという。医院の2階に認知症の高齢者が利用するグループホームも併設するなど、高齢化が進む地域で今求められていることをひたむきに実践している桑波田院長に、クリニックで力を入れている診療や、地域医療に対する思いについて語ってもらった。

(取材日2021年2月24日)

45年間、身近なかかりつけ医として地域医療に尽力

クリニックの歴史や理念についてお聞かせください。

桑波田隆志院長 くわはたクリニック1

1975年に先代である私の父が開業し、2010年に私が2代目として院長に就きました。開業から合わせるとおよそ45年になります。45年間変わらず、身近なかかりつけ医として地域医療に尽力しています。理念は、地域の医療のために尽くすこと、そして、わかりやすく説明をし、納得して治療を受けていただくことです。一人ひとりに合わせた治療を心がけ、診断の結果、治療の必要がないと判断した場合も、なぜ治療が必要でないのか、その根拠をしっかりとお話しさせてもらっています。

地域における役割について、どのようにお考えですか?

桑波田隆志院長 くわはたクリニック2

私自身もこの地域で生まれ育ちました。昭和40年代に切り開かれたこの地域は、当時建設された団地や住宅街が今なお多く残り、高齢化が顕著です。当院の患者さんも父の代から何十年にもわたって通われている方も多く、90歳を超える方も珍しくありません。今後ますます進む高齢化に対応できるよう、長年お付き合いをしてきた患者さんを看取りまでケアできる仕組みを強化していきたいと考えています。また、病診連携をしっかりととり、患者さん・基幹病院、双方の負担を減らしていくことも私たち地域のかかりつけ医の大切な役割だと考えています。

どのようなきっかけで来院する方が多いのですか?

当院は皆さんの生活を総合的にサポートする地域のかかりつけ医として、循環器疾患から風邪などの疾患、予防接種まで幅広く対応しています。その中でも多いのは、生活習慣病の疑いで健康診断で通知を受けたという方。生活習慣病には自覚症状がない場合が多いので、健診の結果がきっかけで来られる方が少なくないんです。例えば、「糖尿病の疑いあり」で来院された方は、コレステロール値はとても高いのにまったく無症状でした。こういう方は多いんです。なので、「無症状だから大丈夫」ではなく、きちんと調べて、ご自身にとって必要な治療を受けていただくことがとても大切ではないでしょうか。

必要な治療を必要な人へ、心から納得できる医療を

特に力を入れている診療についてお聞かせください。

桑波田隆志院長 くわはたクリニック3

生活習慣病の予防に力を入れています。私の専門は循環器内科ですが、循環器内科は生活習慣病ととても密接な科になります。なぜなら、循環器疾患に代表される心筋梗塞や狭心症、脳血管疾患である脳卒中などを引き起こすリスクを高めるのが生活習慣病だからです。そのため、生活習慣病を脳卒中などの命に関わる疾患に発展させないことに注力しています。かと言って、すぐに投薬治療に入るわけではありません。まずはお話を聞き、検査を行い、患者さん一人ひとりに合った治療の見極めがとても大切です。そこで重要になってくるのが、血管の詰まりや傷みに関係するLDLコレステロールです。健診の血液検査でこの数値が高く出て来院されるのですが、当院では数値だけではなく、その粒子の大きさを予測できる頸動脈エコーを導入しています。この検査からわかるLDLコレステロールの粒子の大きさなどから、治療方針を決定する根拠となります。

同じLDLコレステロールでも、粒子の大きさや性質に違いがあるのですか?

桑波田隆志院長 くわはたクリニック4

まず、LDLコレステロールには血管の中に入り込む性質があります。それが蓄積すると血管の壁にプラークと呼ばれるこぶができ、血管の内側はどんどん詰まっていきます。血管が固く脆くなる動脈硬化の原因はこのプラークで、進行すると心筋梗塞や脳梗塞など重大な疾患を引き起こします。しかし、LDLコレステロールの中でも粒子が大きいものはプラークを作りにくく、小さいものはプラークを作りやすい性質があります。そのため、LDLコレステロールの数値が高くても、粒子が大きいものが多い患者さんはプラークができにくく、健康にあまり影響がない場合もあります。また、その逆もあります。血液検査の数値だけで診断すると、治療の必要のない方に薬を出し、必要な方を見逃す場合もあります。頸動脈エコーで性質まで検査する必要があるのです。また、血管の詰まり具合がわかる検査画像を患者さんに見てもらうことで、納得して治療を受けてもらえますね。

ほかにも力を入れている診療はありますか?

アレルギーを起こしてしまう根本の体質にアプローチしていくアレルゲン免疫療法の一つ、「舌下免疫療法」に力を入れています。これは、スギ花粉症やダニアレルギーに対して、治癒や長期的な症状の寛解が期待されている方法です。取り入れたきっかけは、実は私自身もアレルギーを持っていて、とても苦労してきたからですね。つらい症状で苦しんでいる患者さんの気持ちも、とてもよくわかります。この治療法が登場するまでは同じ免疫療法でも注射しかありませんでした。それが、1日1回自宅での経口投薬で済む免疫舌下療法が誕生し、これはすばらしい方法だと感動し、当院でも取り入れるようになりました。

高齢化が進む地域に寄り添い、看取りまでケアしたい

医師をめざしたきっかけを教えてください。

桑波田隆志院長 くわはたクリニック5

先代院長である父はもちろんなのですが、すでに他界した母方の祖父の影響がとても大きいですね。祖父も内科の医師で、垂水・牛根地区で「岩下診療所」を営んでおり、子どもの頃から長期休みになると遊びに行っていました。そこはとても田舎で、まるでドラマみたいに地域に1軒しかない診療所だったので、内科に限らずに全部の疾患を診るんですよ。「釣り針が刺さったー!」と来る人もいれば、骨折の患者さんも、妊婦さんも子どももみんな来てましたね。内科の医師が患者さんの足にギプスをするなんて今では考えられませんが(笑)、地域の方に貢献する祖父の姿をずっと見てきました。高校生の頃にそんな祖父や父と同じ道に進みたいと思うようになり、医師をめざしました。現在の医療は専門性も大切ですので、祖父と同じことはできませんし、しているわけではありません。しかし理念は同じです。私も地域の方に尽くす医師でありたいと思っています。

やりがいを感じる瞬間はどんな時ですか?

桑波田隆志院長 くわはたクリニック6

診断が難しい病気を発見し、きちんと診断できた時でしょうか。例えば、迷走神経反射という疾患があります。朝礼の時に倒れる子や、高齢者でしたら排尿時に倒れる方は、実はこの疾患が多いのですよ。この疾患は自律神経系の病気ですので、心臓や血液などの検査をしても異常は見つかりません。しかし、体の異常が見つからないので、次は精神面を疑い、心療内科のお薬を飲んでいる患者さんもいらっしゃるかと思います。迷走神経反射の検査は専用の機器で行いますが、基本的には検査をしなくても患者さんからのお話をしっかりと聞くことで判断できることも多いです。正しく診断できれば必要以上に薬を飲むこともしなくて済みますし、何の病気かわからずに悩んでいた患者さんの不安も軽減できるでしょうから、そういう時は医師をやってきて良かったなと感じます。

今後の目標についてお聞かせください。

長年お付き合いをしてきた患者さんの看取りまでケアできるよう、仕組みを強化したいと考えています。ここ玉里団地エリアは今後ますます高齢化が進んでくると予測されます。ご高齢になり通院が難しくなった患者さんも増えていますが、最近では老老介護の問題も身近になり、ご家族のサポートも難しくなっているようですし、認知症を発症されると、難しさはさらに増えるでしょう。そういった患者さんやご家族をケアするために当院では、クリニックの2階と隣の敷地にグループホームも運営しています。長年お付き合いをしてきた患者さんをできるだけ長く診させてもらいたいという想い、また地域に貢献したいという想いを胸に、これからも頑張っていきたいですね。

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