馬場 國昭 院長、馬場 淳徳 副院長の独自取材記事
徳田・馬場クリニック
(鹿児島市/加治屋町駅)
最終更新日:2024/07/08

開業から100年以上、地域に根差した医療を提供し続けている「徳田・馬場クリニック」。院長の馬場國昭先生はこのクリニックの3代目で、現在は息子の馬場淳徳先生とともに診療している。國昭先生は日本外科学会外科専門医、淳徳先生は日本皮膚科学会皮膚科専門医を取得するなど、それぞれの領域で研鑽を積んできたスペシャリストだ。同院では幅広い診療内容に対応し、患者が1ヵ所で必要な医療を受けられるよう尽力している。今回はクリニックの歴史や特徴、診療する上で大事にしていること、今後の展望など幅広く聞いた。
(取材日2024年6月12日)
100年以上の歴史を持つ地域に根差したクリニック
こちらのクリニックの概要から伺えますでしょうか。

【國昭院長】私はこのクリニックの3代目なのですが、初代と2代目が徳田先生でして、私は婿という立場でこのクリニックを継いでおります。それもあって、開業時は「徳田医院」でしたが、現在は「徳田・馬場クリニック」に変わっています。100年以上この地域に根差し、近隣の方々を治療してきたという歴史があることも、このクリニックの特徴ですね。先代の医師は熱傷専門の医院として、戦火でやけどを負った方たちにも軟膏を使って治療を提供していたそうです。昔からやけどだけでなく皮膚科疾患の診療を行い、現在はかかりつけ医として診療をしています。
お二人のこれまでのご経歴を教えてください。
【國昭院長】鹿児島大学病院の第一外科に長らく在籍し、一般的な外科から肺がんなどを含む呼吸器外科まで診ており、執刀も数多く経験してきました。国立病院や大学病院で20年ほど研鑽を積み、日本外科学会外科専門医、日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本熱傷学会熱傷専門医も取得。地方病院にいた時は、多くの疾患に対応する必要があったので、一般内科の知識も身につけました。
【淳徳副院長】2008年に鹿児島大学皮膚科に入局後、2年間の大学院での研究を経て、2015年から3年は県立大島病院(奄美大島)、2019年から5年弱は鹿児島市立病院の所属長も務めてきました。大学では免疫疾患である膠原病の外来を担当していたこともあり、そこから皮膚免疫、アレルギー領域に興味を持ちました。日本皮膚科学会皮膚科専門医に加え、日本アレルギー学会アレルギー専門医を取得した後は、日本熱傷学会熱傷専門医も取得しました。
クリニックにはどういった患者さんが多くいらっしゃいますか。

【國昭院長】一番はやけどの受診が多いですね。私は外科が専門ですが、手術を要する方はそこまでたくさんいらっしゃらないので、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの内科的な慢性疾患の診療もしています。皮膚科に関しては、簡単な症状については私も診察しますが、難しい例などは淳徳先生に診てもらっています。
複数の科を標榜し、専門性の高さを生かした診療を
設備面等のこだわりを教えてください。

【國昭院長】エコーやCT、胸部エックス線検査などで使用する検査機器は、精度の高いものをしっかりとそろえるようにしています。ありがたいことに数多くの方にお越しいただいている一方で、医師が私1人の時には忙しすぎてなかなか検査をする余裕がなかったのですが、今は医師2人体制になったので検査をする時間も取れています。また外来での治療が難しい方は入院もしていただけます。皮膚科領域に対応できる有床のクリニックというのは珍しいかもしれません。もちろん当院で対応が難しい場合に関しては速やかに対応可能な病院へ紹介しています。
このクリニックならではの特徴を教えてください。
【淳徳副院長】特徴としては、やはり専門性を生かした診療ですね。主にやけどを診ることで成り立ってきた当院ですが、今はその伝統を引き継ぎつつも、アレルギーなど新しい領域にも対応できるよう診療内容を進歩させています。お子さまからご高齢の方まで、さまざまな年代の方にお越しいただいていますので、医師が2人いることを生かし、連携を取りながら診療しています。また、2人とも簡単な手術も行っています。
複数の科を標榜しているメリットはどの辺りにあると感じますか。

【淳徳副院長】できる限り、当院内で診療を完結しやすくすることはメリットだと感じています。例えば、皮膚科において重症のアトピー性皮膚炎や尋常性乾癬の方の場合、塗り薬でなかなか良くならない時は飲み薬や注射で治療を行うことがあります。その際に使用する分子標的薬という薬がここ数年の間に上市されてきたのですが、それを使用できる条件として、呼吸器専門医などと連携することが決められています。基幹病院と連携を取りつつ、当院内で皮膚の診察と内科的モニタリングを継続し、新しい治療薬を安全に使用していくことができるという点も強みであると感じています。
これからも地域のために高度な医療の提供をめざす
診療する上で大事にされていることを教えてください。

【國昭院長】来院された方々が話すことをよく聴くということに尽きると思っています。しっかりと耳を傾け一人ひとりを大事にすることは、長年心がけていますね。私だけでなくスタッフも同じで、普段から来院された方々の要望などをこちらにもきちんと伝えてくれます。処置の間にもしっかりとコミュニケーションを図っていて、細かなところまできちんとフォローアップしてくれているので非常に助かっています。
【淳徳副院長】できる限り高度な医療を地域レベルで提供するということを大事にしています。もちろん基幹病院でしかできない診療もありますが、なるべくそこに近づく診療をめざしています。それはかつての奄美大島で勤務した経験から心がけていることで、地域の方々が通院に時間のかかる病院へ行かずとも、当院で治療を完結できるようにしていきたいですね。
今後の展望について伺えますか。
【國昭院長】ゆくゆくは息子に継承していくことにはなると思いますが、私自身もまだまだ地域の皆さまに貢献したいという気持ちがあります。やけどをはじめ、どんなことでも相談いただけたらうれしいですね。
【淳徳副院長】このエリアでやけどといったら「徳田・馬場クリニック」と言ってもらえることが多いので、引き続き皆さんの期待に応えられるような診療を提供していきたいと思っています。当院はこれまで大きな宣伝もしてきてはいないのですが、クチコミや人づてで来院いただくこともあるようです。長年地域に根づいてきた熱傷診療をベースに、これまでのキャリアで培ってきた皮膚科の専門性も加え、より深みのある診療を提供していけたらと思っています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

【國昭院長】できることはしていきたいと思っていますので、急患もできる限り対応しています。些細なことでも結構ですので、お悩みの症状がありましたら気兼ねなくご相談ください。
【淳徳副院長】やけどにしても他の皮膚疾患にしても、最初の対応が重要です。やけどなどは、最初の判断を見誤ると感染症を起こして傷口がひどくなってしまうこともありますし、帯状疱疹は早い段階で抗ウイルス治療と痛みの治療を両方行うことが大事です。困ったことが起きた際にどこに行こうか迷わないよう、日頃からかかりつけ医を持っておくことをお勧めします。