永友 英之 院長の独自取材記事
永友クリニック
(児湯郡高鍋町/高鍋駅)
最終更新日:2026/08/31
JR日豊本線・高鍋駅から車で7分の場所にある「永友クリニック」。1960年に開業し、長年にわたり地域医療を支えてきた歴史あるクリニックだ。2025年9月からは永友英之院長がクリニックを引き継ぎ、内科・泌尿器科の診療を中心に新たなスタートを切った。呼吸器疾患や睡眠時無呼吸症候群の診療にも力を注ぎながら「患者さんが嫌な思いをせず、安心して受診できること」を何より大切にしている。建物には開院当時の面影が残り、昔から地域に親しまれてきた温かな雰囲気が漂う。「些細なことも気軽に相談できる町医者でありたい」と語る永友院長に、診療にかける思いや今後の展望について話を聞いた。
(取材日2026年7月28日)
地域医療への思いを胸にクリニックを継承
前院長であるお父さまからクリニックを引き継いだそうですね。

当院は1960年に祖父が産婦人科として開業し、その後は父が泌尿器科、皮膚科を中心に地域の皆さんの診療にあたってきました。そして2025年9月に私が引き継ぎ、内科・泌尿器科のクリニックとして新たなスタートを切りました。私にとっても、このクリニックは生まれた頃からずっと身近な場所で、子どもの頃はよく遊びに来ていましたし、スタッフの皆さんにかわいがってもらったことも懐かしい思い出です。建物は開院当時の面影を残す木造2階建てで、どこか懐かしく落ち着ける雰囲気があり、患者さんにもリラックスして過ごしていただける空間づくりを心がけています。決して新しい設備や建物ではありませんが、昔から地域の皆さんに親しまれてきたこのクリニックならではの安心感を、これからも大切にしていきたいですね。
先生が医師をめざされたのは、やはりお父さまの影響でしょうか?
医師として働く父親の姿を間近で見て育ったので、自分も自然と同じ道を志すようになりました。しかし、それだけが理由ではありません。学生時代に、お金や保険の問題で病院を受診できず、本来であれば治療を受けるべき人が適切な医療を受けられない現実を知る機会がありました。その時に「病気で困っている人が、経済的な理由で医療を受けられないのはおかしい。医師という立場から何とか力になりたい」と強く感じたことが、医師を志す大きなきっかけになりました。内科を選んだのも、年齢や病気を問わず幅広い患者さんと関わることができる診療科だと考えたからです。今でも、困ったときにまず相談できる存在でありたいという思いは、診療を続ける上で大切にしています。
これまでのご経歴について教えてください。

大学を卒業した後は、福岡市内の民間の病院で臨床に力を入れている千鳥橋病院で初期研修を行い、その後は米の山病院、宮崎生協病院で内科の医師として経験を積み、多くの症例に対応してきました。中でも宮崎生協病院では「いつでも、誰でも安心してかかれる医療機関」を理念に掲げており、地域に根差した医療を実践する中で、外来診療だけでなく入院診療や救急対応など、幅広い経験を積むことができました。地域の病院では高齢の患者さんも多く、慢性疾患を抱えながら長く通院される方も少なくありません。病気だけを診るのではなく、その方がどのような生活を送り、どんなことに困っているのかまで目を向けながら診療することの大切さを、日々の診療を通して学びました。それは私にとって医師としての大きな財産であり、現在の診療にも生かされています。
一般内科診療から睡眠時無呼吸症候群まで幅広く対応
こちらではどのような治療を受けられますか?

風邪や発熱、腹痛などの急な体調不良から、高血圧症や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病まで、内科全般を幅広く診療しています。また、泌尿器科については毎週土曜日に診療を行っており、外部の医師と連携しながら診療を進めています。地域のかかりつけ医として、さまざまな症状やお悩みに対応できる体制を整えていますが、特に力を入れているのは、これまで数多くの患者さんを診療してきた呼吸器内科、とりわけ睡眠時無呼吸症候群の診療です。睡眠時無呼吸症候群は、単にいびきや日中の眠気を引き起こすだけではなく、高血圧症や心疾患、脳血管疾患などのリスクにも関わることが知られています。「いびきがひどい」「寝ても疲れが取れない」「日中に強い眠気がある」など、気になる症状があれば、早めに相談していただきたいですね。
そもそも睡眠時無呼吸症候群とはどのような病気なのでしょう。
睡眠中に何度も呼吸が止まったり浅い呼吸になったりする疾患です。睡眠の質が大きく低下するため、夜に十分睡眠を取ったつもりでも、朝起きても疲れが取れない、日中に強い眠気を感じる、集中力が続かないといった症状が現れることがあります。肥満の男性に多いイメージがありますが、顎の骨格や気道の狭さ、加齢や閉経後の女性ホルモンの変化などが関係して発症することもあり、痩せている方や女性でもみられる病気です。また、高血圧症や心疾患、脳血管疾患などとも深く関わっていることがわかっており、放置すると健康にさまざまな影響を及ぼす可能性があります。ご家族から「いびきがひどい」「寝ている間に呼吸が止まっている」と指摘されたことがある方や、昼間にひどい眠気に襲われる方は、一度検査を受けることをお勧めします。
睡眠時無呼吸症候群の検査や治療について教えてください。

睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、まずご自宅でできる簡易検査をご案内しています。専用の検査機器をご自宅で装着し、普段どおりに一晩眠っていただくだけで、睡眠中の呼吸の状態や血液中の酸素濃度などを調べることができ、体への負担もほとんどありません。検査結果をもとに詳しくご説明し、一人ひとりの状態に合わせた治療方針をご提案しています。代表的な治療法であるCPAP療法は、睡眠中の無呼吸を防ぐために、就寝時に専用のマスクを装着し、気道に空気を送り込む方法です。2026年からは保険適用の基準が見直され、これまでより治療を始めやすくなったので、気になる症状があれば早めに受診していただきたいですね。
歴史を大切にしながら、一人ひとりに寄り添う診療を
患者さんと接する際に心がけていることは何でしょう?

一番大切にしているのは、患者さんに安心して診療を受けていただくことです。病院に来るだけでも不安を感じる方は多いですし、体調が優れない中で厳しいことを言われたり、怒られたりすると、それだけで病院から足が遠のいてしまうこともあります。ですから、私は患者さんを頭ごなしに否定したり「このままでは大変なことになりますよ」と不安をあおったりするのではなく、今の状態や治療の必要性を丁寧にお伝えした上で、一緒に今後のことを考えていきたいと思っています。特に高齢の患者さんは、治療内容や薬の説明が難しく感じられることもありますので、できるだけ専門用語を使わず、納得していただけるまでわかりやすくお話しするようにしています。患者さんが困ったときに「また相談したい」と思っていただける関係を築くことも、地域のかかりつけ医として大切な役割だと思っています。
お忙しい毎日だと思いますが、趣味やリフレッシュ方法はありますか。
昔から読書が好きで、忙しい毎日の中でも本を読む時間は気持ちを切り替える大切なひとときです。実は自分でもエッセイを書いていて、クリニックの待合室に置いています。その中では、自分が読んで印象に残った本なども紹介していますので、待ち時間の気分転換に気軽に手に取っていただけたらうれしいですね。時間がある時には、趣味で少しピアノを弾くこともあります。運動はあまり得意なほうではありませんが(笑)、これからも自分らしいペースでリフレッシュしていきたいと思っています。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

父や祖父の代から長く地域の皆さんに支えられてきたクリニックですので、その歴史や温かい雰囲気を大切にしながら、自分らしい診療を続けていきたいと思っています。建物は開院当時の面影を残しており、おしゃれなクリニックではありませんが、待合室にはオルゴールの音楽が流れ、どこかほっとできる空間があります。そうした昔ながらの温かさも、このクリニックならではの魅力だと思っています。体調が悪いときはもちろん、「ちょっと気になることがある」という場合にも、気軽に相談していただける場所でありたいですね。将来的には地域のニーズに応じて在宅医療も視野に入れながら、これからも患者さん一人ひとりの暮らしに寄り添い、長く安心して通っていただけるクリニックをめざしていきたいと思っています。

