患者に合った前処置と鎮静剤の使用で
「楽な内視鏡検査」をめざす
中島内科胃腸科クリニック
(宮崎市/宮崎駅)
最終更新日:2025/02/28


- 保険診療
がんや病気の早期発見に有用な内視鏡検査。しかし、過去に内視鏡検査で苦しくつらい思いをしたことから、次の検査をためらう人も多いのではないだろうか。そんな患者の不安に寄り添い、「楽な内視鏡検査」に注力するのが宮崎市の「中島内科胃腸科クリニック」だ。院長の中島孝治先生は、問診で病歴や過去の内視鏡検査での苦痛・不安などを丁寧に聞き取り、麻酔や鎮静剤の適切な使用で、患者ができるだけ楽に受けられるよう努める。また、内視鏡の専門知識を持つ看護師も複数人在籍し、スムーズかつ無理なく検査が進むよう、患者の状況に合わせた前処置の提案やフォローを行う。「定期的な検査は大事なので、なるべく嫌な思いをせずに検査を受けてもらいたい」と語る院長に、同院ならではの配慮や検査の流れについて話を聞いた。
(取材日2025年1月30日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Qこちらで行っている胃・大腸内視鏡検査の特徴を教えてください。
-
A
「患者さんが楽に検査を受けられること」を一番に心がけています。患者さんの顔を直接見ながら、これまでの内視鏡検査歴を聞いて、その時の状況から使用する麻酔や鎮静剤の量を調整するなどしています。初めての人は、体格や不安感、また麻酔の効きと関係する飲酒歴も伺っていきます。胃内視鏡では喉の麻酔をしますが、麻酔が苦手な人には別の対策を立てることもありますね。また大腸内視鏡では、過去に腹部を手術されたことで癒着があり、大腸カメラ挿入時の痛みの原因になることもあるため、手術歴を聞くことも大切です。さまざまな角度から問診し、患者さんができるだけ嫌な思いをせず、楽に内視鏡検査を受けられるよう努めています。
- Q内視鏡検査を受けるのに適したタイミングはありますか?
-
A
健康診断で要精密検査や要再検査といった指摘があった人は、必ず受けていただきたいです。できれば3~4ヵ月以内に受けると良いでしょう。また、過去に検査を受けた際に大腸のポリープがあった人や、胃がんができやすいような胃粘膜の状態だった人もいますので、そうした患者さんにはこちらから、1年に1回、2年に1回など、受診や内視鏡検査の目安をお伝えします。他にも、頻繁に嘔吐してしまう、血便があるなど、いつもと違う症状が出た場合もまずは受診していただければ、症状に応じて内視鏡検査をお勧めします。状況によっては当日、もしくはできるだけ早い段階で検査の予定を立てる場合もありますね。
- Q内視鏡検査前と後の注意点を教えてください。
-
A
検査前は基本的に食事を抜いてもらいますが、水やお茶は飲んでも構いません。検査後に関しては、胃内視鏡なら1時間半ほどたった後であれば食事を取ってもらって大丈夫です。大腸内視鏡検査では、もしポリープを切除した場合、当日はキノコなど食物繊維の多いものを避けて、消化の良いものを食べるようにしてほしいです。血行が良くなるとポリープの切除部から出血する恐れもあり、1週間程度は激しい運動や飲酒、長湯をしないようにしてください。また、万が一出血した場合に備えて、旅行など遠出の予定がない期間に検査をお願いしています。出血することはめったにないのですが、その場合はすぐに連絡の上、受診していただきたいです。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診・事前説明
-
検査をできるだけ楽に受けられるよう問診では今までの病歴や過去の胃・大腸内視鏡検査でつらかったこと、不安などを確認してもらえる。同院では内視鏡検査の専門的な知識を持つ看護師が患者の年齢や不安感、日頃の便通などを考慮してくれる。胃内視鏡では麻酔薬や鎮静剤の使用について、大腸内視鏡では下剤の処方、検査食の購入などいくつかのパターンから患者に応じた前処置を提案。不安や要望があればしっかりと話しておこう。
- 2検査当日の前処置
-
胃内視鏡の場合はスプレーやゼリー状の麻酔薬で喉の麻酔が行われる。大腸内視鏡の場合は自宅で下剤を飲んでから検査を受けることも可能だが、院内の個室のような場所でリラックスしながら下剤を飲んで便が出なくなるまで待機する方法も選べる。快適に過ごせるようテレビやフリー無線LANも用意されており、患者ごとに専用トイレも完備されているため、同院の場合は院内で下剤を飲んで準備したいという人がほとんどだという。
- 3内視鏡検査
-
患者の希望や状況に合わせ麻酔や鎮静剤が調整される。眠ったような状態での検査も望める。検査時間は胃の場合は約7~8分、大腸は人によって異なるが、20~40分以内が目安。検査中は院長が優しく声をかけ、看護師もそばでサポート。大腸ポリープの切除は多くても6~7個までとし、長くても40~50分で終了。数が多い場合は半年~1年後に再度行う。回収した組織は病理検査へ提出し、悪性ではないかなどの診断を行う。
- 4リカバリー室で休憩
-
検査後はリカバリー室でしっかりと休む。その後、医師による検査結果の説明に移るが、患者が完全に目が覚めていないようであれば休憩を延長することも。同院では、患者が安心できるように、検査前から検査中、検査後まで、看護師がしっかりと患者の状態をチェックしてくれる。「説明の際もお帰りの際も、きちんと目が覚めていないといけませんから、ここでしっかりと休憩していただくようにしています」と院長。
- 5検査結果の説明
-
写真を見ながら検査結果や今後についての説明を医師から受ける。定期健診での経過観察でいい場合もあればポリープが残っていたり、リスクが高い粘膜の状態だったりする場合には次回の検査時期について助言を受けることも。高度な治療が必要な場合には速やかに病院を紹介されるなど、個々に応じたフォローアップが行われる。検査の写真を印刷したものを持ち帰ることができ、いつ検査したか、その時どうだったかの確認にも役立つ。