中島 孝治 院長の独自取材記事
中島内科胃腸科クリニック
(宮崎市/宮崎駅)
最終更新日:2024/12/26

宮崎市中心部から西へ車で約20分の高岡町にある「中島内科胃腸科クリニック」。地域住民を支える、総合的な診療をモットーとするクリニックだ。院長の中島孝治先生は、物腰のやわらかい、優しく誠実な人柄。専門の内科と消化器内科の診療や内視鏡検査など、幅広い症状を総合的に診ることで、地域のかかりつけクリニックをめざしており、「病を診るだけでなく、人を診る」を掲げ、病気が見つかった患者やその家族に寄り添いたいという中島院長は、病気の治療にとどまらず心のケアにも力を入れてきた。「何かあった時に気軽に相談できるのが、地域のクリニックの良いところ」と語る中島院長に、日々の診療への思いや定期検査の大切さについて聞いた。
(取材日2024年11月7日)
大学病院で経験を積み、「人を診る」をモットーに
こちらのクリニックは開業から30年以上になるそうですね。

私が院長になったのは2023年10月ですが、このクリニックの前身となる児玉胃腸科外科は1993年に開院しました。長年、地域に根づいたクリニックと認識しています。前院長が継承者を探していたところ、ご縁があって私が継承させていただくことになりました。私も50歳になる節目の年でしたから、気持ちを新たに診療に取り組んでいます。前院長の頃から通ってくださる患者さんも多く、これからも地域密着型の診療を続けていくつもりです。クリニックの名前とロゴマークは、私が院長になったタイミングでリニューアルしました。来院された患者さんにほっと和やかな気持ちになってほしいと思い、温かみを感じさせるテイストでデザインしました。
中島院長のこれまでの歩みを教えてください。

私は宮崎で生まれ育ち、大学は大分医科大学に進みました。卒業後は帰郷して、宮崎医科大学第一内科に入局。県内の病院などで経験を積み、宮崎大学医学部附属病院に勤務しました。内科を専門に選んだのは、全身を診ることができて人の役に立てると思ったからです。私が医師になった頃に内視鏡の技術進歩があって、内視鏡診断を学ぶきっかけになりました。開業前にもさまざまな経験を積んできましたが、中でも印象深いのは、静岡県立静岡がんセンターです。1年間の国内留学で行ったのですが、全国から志の高い医師が集まっていました。周りには、ずっと地元にいたら知り合えなかったような、モチベーションが非常に高い人たちばかりでした。「実績を残したい」や「研究成果を発表したい」など、医師としての夢を語る仲間に囲まれて、「こんな人たちがいるんだ」と面白くもあり、私も刺激を受けながら研鑽を積むことができました。
患者とその家族の思いを受け止めたい
中島院長のご専門である消化器内科について教えてください。

消化器内視鏡の診療は「形態診断学」といって、検査の数値ではなく画像に写るものの形や色で判断するという特徴があります。私はもともと全身を診ることができる内科志望で、その中で専門を決める時に、画像診断の面白さに魅力を感じて消化器内科を選択しました。大学卒業後は宮崎医科大学第一内科に入局し、内科と消化器の診療をたくさん経験してきました。2000年代初頭に内視鏡治療の技術が進歩していたので、先ほどと重複しますが「先進の技術を身につけたい」と、静岡がんセンターに国内留学もしていました。特に消化器がんの患者さんに対する内視鏡治療や、化学療法(抗がん剤治療)の経験が豊富です。
力を入れている治療について教えてください。
当クリニックは専門分野に限定せず全般的に診るスタンスですから、内科と消化器内科の両方とも大事にしています。地域の患者さんのさまざまな症状に寄り添うことがモットーです。もちろんここで対応できない場合は、知り合いの先生にお願いして専門の医療機関につないでいます。当クリニックの強みは内視鏡検査で、内視鏡について専門的に学んできた看護師が複数人在籍しています。勉強を重ねている最中のスタッフもいるので、内視鏡検査が初めての方でも安心してご相談ください。検査や治療技術は日々進歩していますが、進行したがんの治療が難しいことは今も昔も変わりありません。消化器がんなどの早期発見・早期治療のため、定期的な検査をお勧めします。
診療で気をつけていることはありますか。

患者さんとそのご家族の思いをくみ取ろうと意識して診療にあたっています。がんになると身体だけでなく、精神的にもとてもつらい思いをされます。宮崎大学医学部附属病院や静岡がんセンターでそんな患者さんやご家族を数多く見てきました。その中で感じたことは、患者さんの症状を診るだけでは十分でないということ。患者さんはいろいろな悩みや苦しみ、葛藤を抱えながら治療を受けられています。ご家族も身内ががんになったらいろいろな思いが巡るでしょう。私たち医師はその思いを真摯に受け止めなければいけません。「自分の家族だと思って患者さんを治療する」との考えで治療にあたっていますが、本当の意味で実践するのは簡単ではないと思います。私自身も医師になってから改めてそのスタンスの大切さを痛感しています。がん患者さんに寄り添い治療してきた経験を生かして、治療だけでなく患者さんとご家族の心に寄り添ったケアをめざしています。
最近、目立つ主訴はありますか。
クリニックに来られる患者さんは、内科、消化器、内視鏡の3分野が主ですが、症状は患者さんによってさまざまです。私の専門分野は消化器ですが、消化器内科の医師である前に内科の医師だと思っています。そのため、専門分野に限定せず総合的に診ることを心がけています。患者さんの傾向としては、近隣の方では、血圧や尿酸値が高い、糖尿病や肥満症などの生活習慣病や内科疾患が多く、年齢層はやや高めです。内視鏡検査は、健康診断で精密検査と診断された社会人だけでなく、遠方では鹿児島県から定期的に来てくださる方もいます。前の院長への信頼が厚く、今も来てくださっているのでうれしいですね。最近は若い方が「胃の調子が悪いから念のため診てほしい」と、内視鏡検査を希望されるケースもあります。
何の診療科の症状かわからない時も頼ってほしい
具合が悪い時に、どこの診療科を受診すれば良いか悩むことがあります。

どんな症状でも、まずはご相談いただいて結構です。地域のクリニックは患者さんの最初の相談相手ですから、遠慮は不要です。どうしても対応できない大けがなどは別ですが、それ以外は基本的に診るようにしています。私自身は「一度診てから考えればいい」というスタンスですから。患者さんからしても、「何か症状が出たらここに行けばいい」と思えるクリニックがあったら安心ですよね。当クリニックの役割は、受診された患者さんの症状を総合的に診て適切な医療につなげること。もちろんこちらで治療が完結できるものもありますし、そうでなければ専門の医療機関をご紹介します。これまで培った経験から宮崎大学医学部附属病院の知り合いも多く、医師同士の横のつながりは深いと思います。地域の患者さんにとって気軽に相談できる相手でいることが、私なりの地域貢献なのです。
多忙な中でのリフレッシュ方法は?
時間があれば、妻と2人で映画を観たり、家族でキャンプに行って車中泊をします。庭いじりをするのも好きです。クリニックの花壇には私が花を植えました。草むしりは1日がかりで大変でしたが、訪れた患者さんが花を見て少しでも和んでくれたらうれしいです。季節ごとに花を植え替えていく予定です。家では猫を飼っていますが、去勢手術の前日におなかが減って寝られずにいたので、私も気になって早く起きて、リビングでずっと猫のそばにいたのを覚えています。「お父さんが一番心配性だね」と家族に言われてしまったことは、私らしいエピソードと言えるかもしれませんね。大学病院時代は多忙で時間が取れなかったので、開業した今は家族やペットと一緒に過ごせる時間ができたことが幸せです。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

今後も地域のかかりつけクリニックとして、皆さんの健康をサポートしたいと思います。小さなことでも困ったことや気になることがあれば、いつでも当クリニックにお越しください。専門外でもまずは診させてもらって、医師同士のネットワークを生かして適切な治療につなげます。具合が悪い時に悩んで受診しないよりは、小さなことでも頼っていただいたほうが、私としてもお役に立てることがうれしく思います。