中山 郁男 院長、中山 徹男 副院長の独自取材記事
中山産婦人科医院
(都城市/都城駅)
最終更新日:2026/02/18
都城市で長年にわたり地域医療を支え続けてきた「中山産婦人科医院」。一般診療はもちろん、東洋医学や心のケアを積極的に取り入れ、思春期から更年期まで女性の一生涯に寄り添った診療に取り組んでいる。2代目を務める中山郁男院長のほか、その息子であり大学病院で研鑽を積んだ中山徹男副院長が、現在週に1回診療に加わっている。長年クリニックを守り続けてきた郁男院長と、同院での常勤を見据え、無痛分娩や和痛分娩、プレコンセプションケアなど現代的な医療の導入をめざす徹男副院長。親子2代で描くこれからの産婦人科医療の在り方や、建設予定の新クリニックへの展望について話を聞いた。
(取材日2025年11月27日)
幅広い年齢層の女性の心と体の悩みに寄り添う
どのような患者さんが多く来院されていますか?

【郁男院長】当院には産婦人科の一般診療のほか、思春期の悩みや更年期の症状にも対応していますので、幅広い年齢層の方がさまざまな悩みを抱えて来院されます。産婦人科では、自然に逆らわないお産を当院の理念に掲げ、できるだけ手をかけずに出産へ導けるよう心がけています。しかし昨今、手をかけざるを得ない場面も多いです。妊娠された方を見ていると、精神的な面で高いリスクを抱えているケースがよく見受けられます。パーソナリティー障害や統合失調症を疑う症状の方のほか、DVを受けていたという方も少なくありません。精神科を紹介したほうが良いと感じることもありますね。患者さんとお話しする中で「このお母さんは子育てできるだろうか」と思うことも多々あります。若年出産といって10代で妊娠する方も多いのですが、若すぎる方の場合は精神面が未熟なことが多いですから、育児ができるかという点で心配しています。
高齢出産が増えているという話をよく聞きますが、若年出産も多いのですね。
【郁男院長】両極端で、高齢出産と若年出産が増えています。若年出産の患者さんには、まず、本当に産むのか、相手は父親になることを了承しているのか、父親になる覚悟を持っているのかを踏み込んで聞き、経済面や家族のことを含め、後々のことまで一緒に考えてアドバイスするようにしています。もちろん、結論として産むことになった場合はきちんとサポートします。きちんと考えて決めなければ、後から不幸な結果になってしまう恐れがありますから、深い部分までしっかりと話をしなければなりません。そこまで考えて患者さんと接するのが、私たちの存在意義だと思っています。
思春期から更年期までさまざまな悩みに寄り添っているそうですね。

【郁男院長】思春期特有の症状については、生理不順のほか、痛み止めでも対処しきれないような重い生理痛で寝込んで動けなくなるような方が受診されます。更年期の症状については、ホットフラッシュやいらいら、冷えなどの更年期障害にお悩みの方がいらっしゃいます。更年期障害には基本的にホルモン補充療法が有用です。特にホットフラッシュのある方には適した治療法ですが、当院では漢方薬の処方を希望される方が中心です。更年期障害のある方は多かれ少なかれ、冷えを抱えているケースが多いので、冷えを取るための日常生活の指導もしています。冷えがあると免疫力が下がりやすいといわれるので、冷えを取ることはとても大切です。
脈々と受け継がれる産婦人科医としての精神
徹男先生は現在、週に1回こちらのクリニックで診療を行っていると伺いました。

【徹男副院長】はい。現在は都城医療センターからの派遣として週に1回、月曜日に父と連携して診療を行っています。私は宮崎大学医学部を卒業後、福岡の大学病院での初期研修を経て宮崎に戻り、産婦人科医療の研鑽を積んできました。実家である当院で父と働くことには、当初気恥ずかしさもありましたが、医師としての姿勢を学ぶ貴重な機会となっています。来年をめどに当院の常勤医となる予定で、現在はその準備期間でもあります。また、数年後にはクリニックの建て替えも計画中です。新しい建物は、若い世代も入りやすいアットホームな雰囲気を想定しています。これまで培った経験を生かし、新体制に向けて地域医療に貢献していきたいですね。
こちらのクリニックの常勤医となったら、どんなことに注力したいですか?
【徹男副院長】大きく分けて3つのことに取り組みたいと考えています。1つ目は無痛分娩や和痛分娩を取り入れることです。時代のニーズに合わせて選択肢を増やし、より満足度の高いお産を提供したいですね。2つ目はプレコンセプションケアの充実です。妊娠してからだけでなく、妊娠前からの健康管理や、産後のメンタルヘルス、育児支援まで切れ目なくサポートしていきたいです。3つ目は若年層へのケアです。近年、月経困難症などで悩む若い方が増えています。生理痛や体の悩みを我慢せず、気軽に相談できる場所でありたいと考えています。また、性教育などを通じて望まない妊娠を防ぐことも重要です。妊娠・出産だけでなく、女性の生涯を通じた健康を支えていきたいですね。
産婦人科を受診される患者さんを診療する際、心がけていることを教えてください。

【徹男副院長】どのような結果であれ、患者さんが前を向けるような診療を心がけています。医療においては、医学的に正しい判断が常に最優先されますが、それだけでは患者さんの気持ちがついていかないこともあります。そのため、医学的な正しさだけでなく、患者さんご自身の感情やご家族の背景までを含めて考え、その方にとって何がベストなのかを一緒に探していく姿勢を大切にしています。これは初期研修医時代に、恩師から「患者さんが今何に困り、どうしてほしいのかを常に考えなさい」と教わったことが原点になっています。医師と患者さんとの間に信頼関係がなければ、良い医療は提供できません。今後も一人ひとりの声に耳を傾け、心に寄り添う医療を実践していきたいと思っています。
ワンチームで女性の一生涯に寄り添う
こちらで勤務されている助産師さんについて教えてください。

【郁男院長】当院には8人の助産師がおります。当院の助産師たちのピックアップ能力は非常に優れていると感じており、患者さんをよく見て声をかけ、産後うつにならないようにと、きめ細かなサポートをしています。当院では助産師になりたい学生を受け入れているのですが、助産師たちも彼らの教育を担っています。学生に教えることで、レベルアップできたり、新たな気づきを得たりしているのではないかと感じています。また、当院は患者さんの食事をカフェのようなおしゃれなメニューにしており、助産師のほか看護師たちからアイデアを出してもらっています。当院のスタッフは皆さんとてもしっかりしていて、よくやってくれています。
取り入れている東洋医学について詳しく伺います。
【郁男院長】昔から漢方薬が好きでしたので、私が当院で勤務し始めてからずっと診療に東洋医学を取り入れています。東洋医学は医師になった頃から学び始めました。西洋医学的な考え方より東洋医学的な考え方で患者さんを診たほうが、私は診やすい、治療しやすいと感じるのです。漢方薬は積極的に処方しており、患者さんも漢方薬は受け入れやすいのではないかと思います。
最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします。

【郁男院長】出産したら産婦人科との付き合いは終わりだと思われる方もいると思いますが、がん検診もありますし、更年期障害もあります。いろいろなことを一人で抱え込まずに相談していただきたいですね。女性の一生涯に対応できるクリニックでありたいと考えていますので、ご要望にできるだけお応えしていけるように尽力しています。これからも、皆さんに安心していただけるよう、一人ひとりの患者さんを大切に向き合って診療をしていきます。

