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成田 博実 院長の独自取材記事

フタバ皮膚科形成外科医院

(宮崎市/宮崎駅)

最終更新日:2021/10/12

成田博実院長 フタバ皮膚科形成外科医院 main

1989年の開業以来、大塚町の住宅地の一角で30年以上にわたり診療を行う「フタバ皮膚科形成外科医院」。やけどなどの外傷から特殊な皮膚疾患まで、皮膚に関するトラブル全般に対応している。成田博実院長は宮崎医科大学医学部附属病院(現・宮崎大学医学部附属病院)に創設時から勤務し、長年研鑽を積んできたベテランドクター。その中で皮膚がんなどの重症患者と多く接し、早期発見・早期治療の大切さを痛感し、開業後は地域に根差しながら、知識経験に基づいた精度の高い診断ときめ細かな治療に努め、必要に応じて大学病院などとも連携しながら、地域住民の健やかな毎日を支えている。成田院長が実際に目にしてきた症例を交えながら、皮膚科の医師として注意してほしいこと、診療にかける思いなどを聞いた。

(取材日2021年8月18日)

大学病院で痛感した、早期発見・早期治療の重要性

まず、先生が皮膚科医師になられた経緯をお聞かせください。

成田博実院長 フタバ皮膚科形成外科医院1

熊本大学で皮膚科医の井上勝平先生と出会い、この道を選びました。僕は都農町の出身なのですが、井上先生が宮崎医科大学(現・宮崎大学医学部)に赴任されることになり、一緒に宮崎に戻ってきたんです。宮崎医科大学が開学するタイミングでしたので各科の優秀な先生が集まり、まさに多士済々という雰囲気でした。いい先生方から多くのことを学べたのは、僕にとっての大きな財産です。また大学病院ということで重症の患者さんと接する機会が多く、皮膚科でも早期発見がいかに大事かということを痛感しました。1989年の開業から現在まで、地域に根差した医療で早期発見・早期治療に尽力したいという思いをずっと持ちつづけています。

特に早期発見すべき疾患としては、どういったものがあるのでしょうか。

例えば、やけどからがんを発症することがあります。大学病院時代に赤ちゃんの頃に囲炉裏で受傷したやけどのきずあとから皮膚がんが発症した若い患者さんがおられまして、手術をしました。完治できたと思ったのですが、リンパ節に転移し、最終的には肺に転移してしまいました。ほかにも慢性放射線皮膚炎、日光角化症など、皮膚がんにつながる恐れのある皮膚疾患はいくつもあります。重症化した皮膚がんの患者さんが多くいらっしゃる大学病院において、がん治療は井上先生をはじめ僕たち皮膚科医師にとっての大きなテーマでした。開業医となった今でも、その思いは変わりません。ここでは大きな手術はできませんが、早期発見をして初期の段階で治療することはできます。それが、患者さんが健やかに過ごすための第一歩だと考えています。

重症化した患者を診ていたからこそ、思いを強くされたのですね。

成田博実院長 フタバ皮膚科形成外科医院2

そうですね。もう30年以上前のことになりますが、工場火災でやけどを負った若者のことは今でも忘れられません。大学病院時代に僕が主治医を務め、さまざまな科の先生方を総動員してICUで治療にあたりました。一時は立ち上がれるようにもなりましたが、結局肺機能が回復せず205日後に亡くなってしまったんです。本人が一番苦しかったでしょうし、ずっと朝晩お見舞いにいらっしゃっていたご両親もつらい思いをされたでしょう。救命するのは本当に大変なことだと痛感しましたし、彼のように重症化した患者さんをたくさん見てきた分、早期発見・早期治療への思いは強いですね。

患者のために自分ができることはやりきりたい

先生の得意分野について教えてください。

成田博実院長 フタバ皮膚科形成外科医院3

皮膚科というのは想像以上に守備範囲が広く、湿疹皮膚炎、膠原病、薬疹、水疱症、角化症、感染症、皮膚腫瘍などたくさんの分野があります。僕は専門分野を聞かれたら、「皮膚科全般」と「皮膚外科」と答えます。皮膚外科は形成外科の一領域なので、「フタバ皮膚科形成外科医院」と名乗ることにしました。形成外科というとなじみが薄いかもしれませんが、やけど、ケガといった外傷の治療、良性・悪性腫瘍の切除など、皮膚を元の状態に戻すための治療を行うところです。長年研鑽を積んできましたので、それなりに社会に貢献できる診療行為はできると自負しています。精度の高い診断をして、患者さんのご要望になるべく応えられるような治療をすることが僕のモットーです。

こちらの医院を訪れる患者さんには、どういった傾向がありますか?

湿疹、虫刺され、じんましん、アトピー性皮膚炎などの患者さんが多いです。中には特殊な皮膚疾患の方もいらっしゃいますし、最近多いのは外傷や巻き爪などの爪のトラブルです。自分ができる範囲を超えているときは大学病院や県病院をご紹介しますが、僕ができることは精いっぱいやらせていただきます。新しい治療法も次々と出ていますから、なるべく守備範囲を広げてここでできることを増やしたいですね。医師の道は日々研鑽ですから、これからも知識や技術が衰えることのないよう努めていきたいです。

皮膚に関して、普段から気をつけるべきポイントはありますか?

成田博実院長 フタバ皮膚科形成外科医院4

やはり紫外線ですね。紫外線は皮膚の老化を招きますから、長年浴びつづけるとお肌がボロボロになってしまいます。日焼け止めや帽子などの紫外線対策は、ぜひ日頃から心がけていただきたいです。あと注意していただきたいのが悪性黒色腫、通称メラノーマです。一見ほくろに見える皮膚がんで、血液から全身に転移して亡くなった患者さんもいらっしゃいました。メラニンが関係するものですから、この患者さんは尿まで真っ黒になっていました。足の裏から発症することが多いので、足の裏に突然黒いほくろができたというときは要注意です。最近は内科の先生もよく勉強されていて、メラノーマの疑いがある患者さんを積極的に紹介してくださいます。メラノーマも早期発見が大事ですから、ぜひご自身でも気にかけていただきたいです。

皮膚科の医師として、地域医療に貢献できる診療を

先生は、皮膚に関する啓発活動も積極的にされていると伺いました。

成田博実院長 フタバ皮膚科形成外科医院5

そうですね。1989年に日本臨床皮膚科医会が11月12日、イイヒフの日を「皮膚の日」と定め、宮崎県皮膚科医会では1991年から毎年その時期に講演会を行っています。県民の皆さんへの啓発活動として、県内の皮膚科医が気になるトピックについて講演するというものです。完全に医師手づくりの講演で、ポスターなども自作しています。毎年多くの方が集まってくださり、昨年は他の団体と連携して開催した土呂久ヒ素公害の講演会には100人以上来てくださいました。もともと井上先生が土呂久ヒ素公害で健康被害に遭われた方々を診ていて、現在でも、宮崎県が宮崎大学医学部等と連携し、土呂久地区の住民健康観察検診を継続して行っています。僕たち皮膚科の医師が地域医療に貢献できる場面はたくさんあると思いますので、これからも積極的に活動していきたいです。講演会は入場無料ですので、興味のある方はぜひ足を運んでみてください。

ご自身の健康のために意識されていることはありますか?

体力を維持するために、週2回はジムに行くようにしています。以前は走っていましたが、アキレス腱を傷めてからはもっぱらエアロバイクになりました。あとはゴルフの、いわゆる薄暮プレーですね。朝から18ホールすべて回るのではなくて、午後から9ホールだけ回るんです。日曜に丸一日家を空けると家族に怒られてしまうものですから(笑)。ささやかな楽しみとして、3週間に1度ぐらいのペースで行っています。

最後に、読者に向けてメッセージをお願いいたします。

成田博実院長 フタバ皮膚科形成外科医院6

患者さんにいつもお伝えしていることですが、「気になることがありましたら皮膚科の医師までお気軽にご相談ください」ということです。じんましんやイボなどのできもの、気になるほくろなど、皮膚に関することなら何でも構いません。時には皮膚科だけでは対応できないこともあるかとは思いますが、皮膚に何かあったときは最初の入り口として皮膚科を受診されるのが近道だと思います。皮膚の疾患は早期発見・早期治療が特に大事ですから、放っておかずになるべく早めに相談するようにしてください。生涯重い病気で苦しむことなく過ごせる方が、一人でも多くなることを願っています。

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