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平部 久彬 院長の独自取材記事

平部整形外科医院

(宮崎市/南方駅)

最終更新日:2022/12/26

平部久彬院長 平部整形外科医院 main

JR日南線南方駅より徒歩約5分。宮崎市街地と青島をつなぐ旧国道22号線沿いにある「平部整形外科医院」。開業して40年以上がたち、地域に溶け込んだ存在だ。平部久彬(ひらべ・ひさよし)院長は「はっはっはっ」と明朗に笑う表情が印象的。同院には首や膝、腰の痛み、しびれなどさまざまな訴えの患者が訪れる。整形外科的な問題のほか脳や神経、生活習慣病など他科的な要因が疑われる場合もあり、科を越えた幅広い知識が必要となる。平部院長が現在注力しているのは、血流を良くする運動の研究。ほかにも、診療と並行して痛みを軽減するための医療補助用品の開発などを長年続け、実験データを収集し続けている。その裏には患者のつらさを少しでも解消したいという平部院長の強い思いがある。日々の診療と研究について話を聞いた。

(取材日2022年10月4日)

開業後、診療と並行して実験・研究を実践

開業までの道のりを教えてください。

平部久彬院長 平部整形外科医院1

鹿児島大学卒業後は同大学病院の整形外科にしばらくいて経験を積みました。けれども、いずれはふるさとの宮崎に帰ろうという思いがありました。父と兄が建築の仕事をやっていて、病院の設計にも関わっていたので、宮崎の病院関係者にもつてがあったんです。それで、知り合いの医師に相談をしてくれて、宮崎市内の病院を紹介してもらいました。特に、兄にはその前からもいろいろお世話になっているんです。私が大学4年の時に父が亡くなり、それからは母と兄が学費を送ってくれました。本当にありがたかったですね。もともと私は、何でも自分で考えてやってみたいタイプなので、開業しようという思いがありました。大学の一つ二つ上の先輩が宮崎で開業されたことも刺激となり、同じくらいのタイミングで開業したんです。開業にこの地を選んだのは、先祖がいた場所の近くというのが理由にあったかもしれませんね。

開業後に、ご自身で試作や開発を始められたとのことですね。

開発を始めたのは、開業して4、5年たってからです。義理の父が、宮崎大学工学部の助教授で、当時、ヒッププロテクターを研究しており圧縮荷重を行っていました。結果、ナイロンがすごく強いということで、これは自分の仕事にも活用できると思い、ナイロンを使って患者さんのリハビリテーションや暮らしに使ういろんな物を試作しました。診療をしながら実験を続けられたのは、やはり自分なりに何かやってみたいという思いがあったんでしょうね。治療が行き届かない人や治療法がなかった人が、何かもっと違った新しい方法で改善できればいいと思いました。ですが、傍から見れば、診療以外に試作や開発もやっている当院のことを「あそこは何をやっているんだろう」って、不思議に思っておられたでしょうね。

ここへ来る患者さんは、どういった方々ですか。

平部久彬院長 平部整形外科医院2

地元の方をはじめ、ちょっと離れた所から来られる方もいますね。子どもさんが来られることもたまにありますが、たいていは40代、50代の方が中心です。膝が痛い、腰が痛いという患者さんのほか、しびれがある、力が入らないといったような、さまざまな症状で来られます。

診断には整形外科だけでなく他科の知識も必要

医師をめざしたきっかけは何ですか。整形外科を選んだ理由についても聞かせてください。

平部久彬院長 平部整形外科医院3

医師の仕事については、親から勧められたというのも少しはありましたが、私自身にもやってみたいという気持ちがありました。開業すれば、ある程度は自分の裁量で何でも決められるというのもやりがいがあるなと感じました。整形外科に進んだのは、エックス線写真を撮れば骨折かどうかなど目で見て診断ができるからと思ったんですね。最初はそう思ったんですが、実際はエックス線だけでは診断がつかないこともあり、加えて他科の知識が必要になることもあります。

改善のために運動も提案されていますね。

患者さんの痛みなどの症状の改善のために、運動の提案をしています。運動が可能かどうかは、痛みの状況にもよりますが、運動をして体の血流を良くすることが、大事だと考えています。血流を良くする運動にはウォーキングやジョギングなどが一般に知られていますが、最近は、ハンドグリップを握る運動で血流改善が見込め、それが高血圧の改善にもつながるともいわれています。手をぎゅっと握ってから開くと、その間に血管の壁をやわらかくする働きの物質が放出され、血管が拡張し血圧が下がりやすくなるというのです。当院ではハンドグリップの代わりに、自家製の握力クッションを製作しているんですよ。軽い運動なので自宅でもできます。患者さんが意識して行うことなので、自分の力でなんとかしてやろうという思いが大事ですね。

お休みの日は何をされていますか。

平部久彬院長 平部整形外科医院4

運動したり発表のための原稿を書いたりしています。過去にも研究の結果を論文で発表したことがあり、メーカーの方に興味を持っていただいたこともありました。調べたり、患者さんの臨床データを取ったりしていますが、開業してここで一人でやっているから、大学などの研究機関のようにたくさんの臨床データを集めるのは難しいですね。だから、ぽつぽつやっていかないとしょうがないかなと。めざすのは、最高齢での発表者です(笑)。自分が考案した改善法を発表して、患者さんのお役に立てたらいいなと思いますね。

患者がもつ力を引き出し、病気の予防や改善をめざす

こちらの特徴はどういった点にあるのでしょうか。

平部久彬院長 平部整形外科医院5

患者さんの症状改善のため、血流を良くすることを最近のテーマとしていまして、地元やほかの地域の整形外科以外の医療機関とも情報共有をして、アドバイスを頂いたりしています。体のいろんな部位の血流を良くすることで、血管に生じる血栓の予防も期待できますし、脳の血流も改善できるならば、脳疾患にも効果が期待できるのではないでしょうか。血流の改善は、整形外科にとどまらず、科を越えたさまざまな病気の改善が望めるのではないかと思っています。

今後の展望についてお聞かせください。

簡単な運動や普通の生活の中でのちょっとした工夫で、病気の改善や予防ができないかと考えています。また、改善のために何か補助的な道具が必要ならば、自分で作りたいと思っています。過去にも実験や研究を重ねて、道具の開発をしてきました。今までに、靴の中敷きや床ずれ防止クッション、座席クッションなど、体を守り症状を緩和するための生活用品を考案した経験があります。今回、多機能の短パン型ヒッププロテクターを製作し、骨粗しょう症に関する研究内容も発表しました。普通の暮らしの中で患者さん自身が自ら進んでリハビリや運動を実践できればいいなと考えています。また、骨折や冷え症、わきの多汗症の方などへも血流を良くすることで良い効果が生じないか、考えています。

最後にメッセージをお願いします。

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薬や手術といった方法ではなく、軽い運動で自分の体にある力を使いながら改善を図る。こういったアプローチがあってもいいのかもしれません。さらに、運動して体の血流を改善すれば、脳への良い効果も期待できると考えられています。例えば、高齢者施設で、認知症の方が骨折をしたら、ご本人はもちろん、周りの介護する方も大変になりますよね。そういったことを予防するために、何かできることがあればと考えているのですが、血流を良くすることは問題解決のための大きなポイントになると思います。最近では、新型コロナウイルスに感染された方の血流の研究にも取り組んでいます。今までも研究や実験を重ねながら、運動療法を模索したり、医療補助用品などの開発も行ってきましたが、これからも困っている方々のお役に立てるよう、いろんなことに挑戦していきたいと思っています。

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