下肢静脈瘤の日帰り手術が可能
足の悩みに寄り添うベテラン医師
はるやま医院
(宮崎市/田吉駅)
最終更新日:2024/10/31
- 保険診療
日本では10人に1人が罹患しているという報告もある「下肢静脈瘤」は、特に40歳以上の女性に多く見られ、年齢とともに増加していく症状の一つ。美容師や調理師といった立ち仕事の従事者や経産婦のほか、妊娠直後に痛みを訴える人もいる。むくみやしびれ、こむら返りといった足のトラブルによって血流が滞り、足の静脈に血液がとどまることでこぶができる。こぶ状になると外見上の問題を解消するため手術や治療を受ける患者も多い。「はるやま医院」の久容輔(ひさし・ようすけ)副院長は、下肢静脈瘤のスペシャリスト。「静脈瘤自体は良性で痛みなどもあまりありませんが、放置して重症化すると皮膚移植が必要になるなど治療が困難になることもあります」と警鐘を鳴らす。そこで受診のタイミングや症状、治療法などについて詳しく話を聞いた。
(取材日2024年9月3日)
目次
立ち仕事や出産経験のある人に多い下肢静脈瘤。足のだるさやむくみが気になったら受診を
- Qご専門の心臓血管の診療について教えてください。
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A
現在は下肢静脈瘤と血圧のコントロールを中心に診察を行っています。下肢静脈瘤以外で足のむくみの原因となる深部静脈血栓症やリンパ浮腫も下肢超音波(エコー)検査を用いて診断及び対応を行っています。むくむ大きな原因は年齢とともに下腿の筋肉が減少することで血液を心臓に押し返すポンプ機能が弱くなるからです。むくみを解消するための運動や弾性包帯の着用指導を行っています。
- Q下肢静脈瘤とはどのような病気ですか?
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A
40歳以上の女性に多く、患者数は1000万人以上と推定されます。出産経験のある方の2人に1人は発症するというデータもあり、身近な病気といえるでしょう。重力に逆らって足の血液を心臓まで戻す役目を担う静脈には、筋肉によるポンプ作用や血液を逆流させない弁があります。下肢静脈瘤のほとんどは、この弁がきちんと閉じなくなり、足の静脈に血液がたまってこぶのように膨らんでしまいます。良性疾患ですが、進行性の病気なので自然に治ることはありません。痛みなどはほとんどなく、足がつったりだるさやむくみなどがあったりします。放置すると湿疹や色素沈着、重症化すれば皮膚潰瘍にまで進み、治療が難しくなります。
- Qこちらで行っている治療法や手術について教えてください。
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A
クモの巣状静脈瘤や網目状静脈瘤の場合には、硬化剤を注入して細い静脈に炎症を起こして固める硬化療法を行います。治療は運動や生活習慣の改善、弾性ストッキング着用といった保存的治療の選択もありますが、手術を希望される場合は医療用接着剤を注入して血管を固める血管内塞栓術、静脈の中に細い管状のデバイスを通して内側から120度の熱で焼灼して血管を塞ぐことを図る血管内焼灼術を行います。いずれも体の負担が比較的少ないのが特徴です。カテーテルでの治療が困難な場合は静脈の中にワイヤーを通して引き抜くストリッピング手術で対応します。基本的に日帰り手術で保険適用、痛みはほとんどなく、傷も小さいんですよ。
- Q診断から手術までの流れを教えてください。
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A
診察では、問診票に記入された症状に併せて患者さんのお仕事の内容や生活習慣などを伺うほか、視診や触診で膨らみ具合、むくみや皮膚の変色、皮膚表面の状態、皮膚の厚さや硬さ、押して痛みがあるかを調べます。さらに足の静脈の状態を確認するため、必ずエコー検査も実施しますが、その結果によっては静脈造影検査やCTなどの検査を追加する場合もあります。下肢静脈瘤の診断がついたら、次に治療計画を立てていきます。手術の場合、希望があれば入院にも対応できます。重要なのは、静脈瘤と知らずに放置してしまうことです。皮膚の変色や潰瘍ができることもあるため、診断後の治療や経過観察は必要です。
- Q日頃からできるケア法を教えてください。
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A
お勧めは弾性ストッキングを着用することです。当院ではさまざまなタイプのものを用意しており、試着をしてご自身に合ったものを選ぶことができます。また、足の指を動かすだけでも足の血流を促しますので、例えば「足の指じゃんけん」などで日頃から血流を促進する運動や、つま先立ちや足首の運動などをすると良いでしょう。足がむくんでだるい、夕方になると靴がきつくなるといった症状が気になるようであれば、まずは受診することが大事です。診察をすると下肢静脈瘤ではないことも多いですし、むくみの原因を確認するだけでも悩みの解消に役立つでしょう。