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柴田 博 院長の独自取材記事

柴田眼科

(宮崎市/宮崎駅)

最終更新日:2022/01/13

柴田博院長 柴田眼科 main

JR宮崎駅より車で5分の「柴田眼科」は1987年に開業し、開業から34年を迎える。院長の柴田博先生は祖父の代から続く医師家系に生まれ、1976年に川崎医科大学医学部を卒業後、宮崎医科大学(現・宮崎大学)医学部眼科助手、宮崎県立宮崎病院眼科医長として研鑽を積み、開業に至った。日本眼科学会眼科専門医として小児眼科を中心に幅広い診療を行うほか、市町村の健康診査の屈折検査の導入をはじめ、地域の方々の健康を守るための啓発、ライオンズクラブ国際協会や国際キワニスでの子どもに特化した奉仕活動まで多様な取り組みを行っている。また、宮崎県眼科医会の活動にも長年中心となって携わり、長年宮崎市の眼科医療に貢献してきた柴田院長にこれまでの歩みや現在の取り組みなどについて語ってもらった。

(取材日2021年11月11日)

県内の数少ない眼科の医師として小児眼科診療に従事

先生はご家族にも医師が多いと伺いました。

柴田博院長 柴田眼科1

私は祖父、父、叔父が医師をしていたことをきっかけに、医師になることを志しました。医師の家系としては3代目ですね。もともとは祖父や父親と同じ外科医をめざそうと思っていたのですが、人が得る情報の80%を担うともいわれる目の健康に興味を持ち、眼科医になることを決めました。眼科は手術の多い診療科なので、勤務医時代は数多くの手術を経験してきました。また私には3人の娘がいるのですが、彼女たちも現在、糖尿病・眼科・消化器内科のそれぞれ医師として活躍しています。4代にわたって医師をしていることを誇らしく思いますし、今後の彼女たちの活躍に私も期待しています。

宮崎県に開業したきっかけは何だったのでしょうか。

もともと私の本籍は埼玉県熊谷市で、出身は熊本市です。川崎医科大学を卒業後、父の友人の眼科の医師が宮崎医科大学(現・宮崎大学)で大学教授になる時に「一緒に来ないか?」と誘ってくださったことをきっかけに、宮崎県で診療を行うことになりました。私が来た段階では、宮崎県全体で眼科医は30人ほどしかおらず、圧倒的な人手不足だったんです。そこで、私は宮崎県立宮崎病院で10年勤務をした後、宮崎県内で眼科のクリニックが8件程度と少ないこの地域で開業することにしました。2021年の今でこそ、宮崎県全体では130人ほどの眼科医がおり、この地域にも20件程度の眼科のクリニックがありますが、当時は本当に医師の人数が少なかったですね。

先生のご専門について教えてください。

柴田博院長 柴田眼科2

私を誘ってくださった教授の影響もあり、これまで小児眼科をライフワークとして診療にあたってきました。小児眼科でよく見られる疾患は斜視と弱視です。宮崎県立宮崎病院に勤務していた頃は本当に多くの斜視の手術に携わってきました。また、宮崎県内で生まれた未熟児の赤ちゃんが集まる病院でもあったため、未熟児網膜症の診療も多く経験してきましたね。開業した今でも、お子さんを診療するときは、こうした病院時代の経験を生かすことを大切にしています。

ストップ弱視! 3歳児は目の健診で屈折検査を

先生の現在の取り組みについて教えてください。

柴田博院長 柴田眼科3

現在は診療の傍ら、校医として10校の小中学校の健康診断を担当しています。力を入れているのは、市町村が行う子どもの健康診査への屈折・視力検査の導入です。この検査は視力の発達の遅れ、いわゆる「弱視」を発見する検査なのですが、3歳6ヵ月時の健診で取り入れている市町村は宮崎県内で50%とまだまだ少ないんです。そこで20年ほど前から取り組みを行い、今では宮崎市内の3歳6ヵ月健康診査に屈折・視力検査が導入されています。おかげで今の宮崎市内の子どもたちは3歳6ヵ月と就学前の2回、検査を受けるチャンスがあり、弱視の早期発見や早期治療に役立てられていると感じます。また、現在も年に1回は保健所のスタッフと懇談の機会を設け、検査の内容や検査を導入したことによる成果などを話し合い、共有しています。今後、最終的には県全体で100%をめざしたいですね。

弱視について詳しく教えてください。

弱視とは視力が弱く、基本的には眼鏡を掛けても視力が0.8以下の状態をいいます。全国でおよそ50人に1人の確率で見つかる疾患で、年齢とともに改善することが難しくなるため、6歳までに治療を受けることが望ましいといわれています。通常、視力は0歳の時にはほとんどなく、物を見ることを続けていくうちに徐々に発達していき、2〜3歳の頃に1.0程度になることが一般的です。しかし弱視のお子さんは、何らかの原因で視力が思うように発達しません。そこでできるだけ早期に発見し、適切な眼鏡を掛けさせるなどの対応を行うことが大切です。実際、宮崎市では3歳6ヵ月児健康診査への屈折検査の導入の成果もあってか、30人に1人と全国平均より多くの確率で弱視を発見。適切な年齢で治療ができている例が増えており、すばらしい成果と感じますね。

眼科の診療において先生が大切にしていることは何ですか。

柴田博院長 柴田眼科4

中途失明の第一原因となる緑内障の早期発見です。宮崎市特定健診に眼科検診の追加の要望に加え、啓発活動として「世界緑内障週間」に宮崎県庁を緑色にライトアップする活動も行っています。また、患者さんが眼鏡やコンタクトレンズを正しく使用するためにも眼科を受診し、処方に基づいて適切に使用してほしいです。今は健康診断などで視力に異常ありという結果が出ると、眼科を受診せずに眼鏡販売店へ駆け込んでしまう方も少なくありません。お店で簡易的な検査をした上で眼鏡を作りますがスタッフは医師ではありませんし、病気の診断や治療には結びつきません。そのため、実は合っていない眼鏡を長時間掛けて眼精疲労の方も少なくないんです。眼科では目の検査を詳しく行った上で処方しますから病気を見逃したり、合わない眼鏡やコンタクトレンズを作る心配は少ないでしょう。健康診断で視力に異常があると言われたら、まずは眼科を受診してほしいですね。

気になることがあれば気軽に受診してほしい

患者さんに対して心がけていることは何ですか?

柴田博院長 柴田眼科5

日々の診療ではなるべくスムーズに答えを出すことを意識しています。患者さんも皆さんそれぞれの生活が忙しく、できるだけ早く診断や治療をしてほしいと思って受診される方もいます。そのニーズにできるだけ応えられるように1回の診療でできる限りのことをするように心がけています。あとは、患者さんに目のことや病気のことを伝える際に実際のデータを使ってわかりやすく、詳しく説明できるよう、20年ほど前からさまざまな患者さんのデータを記録し、蓄積するようにしています。

先生ご自身が、目や体の健康のためにしていることがあれば教えてください。

目に関して言えば、高齢化に伴い加齢黄斑変性症などこれまであまりなかった病気も増えてきています。加齢黄斑変性症の場合、加齢のほか太陽光を目に浴びることが発症の原因と考えられていますので、禁煙やバランスの良い食事に加え、日頃からサングラスやUVカット機能のあるコンタクトレンズをしたりすることを習慣化すると良いと思います。私の体の健康としては、2001年頃に胃潰瘍で手術を受け、体重が激減してしまったことをきっかけにスポーツジムに通うようになりました。12年前より禁煙・禁酒を徹底し、最近はジムでヨガやボクササイズ、自転車、トランポリンなどのレッスンにも参加し、適度な運動を継続することを心がけています。

最後に、読者へ目の健康寿命を延ばすためのメッセージをお願いします。

柴田博院長 柴田眼科6

眼科は目の痛みや充血など困った症状が現れないと、なかなか受診しにくい診療科かもしれません。気になる症状があったときや健康診断で異常が見つかったときは、気軽にご相談いただきたいと思います。特に老化現象が現れ始める40歳前後からは定期的な健診をお勧めします。また、度の合わない眼鏡で目の疲れを訴える患者さんが多い印象です。眼科医による処方箋で眼鏡を作製してほしいと願います。私自身としては今、行っている取り組みを維持しながら、娘たちをはじめ次の世代の医師に期待を託していきたいと考えています。

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