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松本 治 院長の独自取材記事

松本医院

(神埼郡吉野ヶ里町/吉野ケ里公園駅)

最終更新日:2026/10/28

松本治院長 松本医院 main

吉野ケ里公園駅から車で約7分、県道31号沿いの田園地帯に「松本医院」はある。現院長である松本治(まつもと・おさむ)先生の祖父の代から3代にわたり同じ場所で地域医療を担ってきた同院は、2025年11月にクリニックを建て替え、バリアフリーに対応した広く明るい空間へと生まれ変わった。内科・小児科を標榜し、特定の専門性に特化するのではなく、体の不調を抱えてもどこを受診すべきかわからない患者をまず受け止める、地域の窓口であることを大切にしている。予約制をあえて導入しないのは、急な体調変化にも対応できる余裕を残すためだ。「気負わずにふらっと立ち寄るぐらいで来てみてください」と穏やかな笑顔で語る松本院長に、3代続く地域医療への思いやリニューアルのこだわりを聞いた。

(取材日2026年9月30日)

3代続くクリニックが患者の声で生まれ変わる

まずは、先生がこちらで診療されるようになった経緯を教えてください。

松本治院長 松本医院1

当院は祖父が開業し、父、そして私へと3代にわたって同じ場所で診療を続けてきました。父は、子どもから大人まで幅広く診る町のお医者さんでした。物腰がやわらかく、しっかり話を聞いてくれる先生と患者さんから親しまれていたと聞いています。私自身は最初から医師を志していたわけではなく、いろんな進路を模索し浪人も経験する中で、最終的に医学の道へ進むことを決めました。大学卒業後は市中病院などで経験を積んでいたのですが、その最中に父が体調を崩し、当院を閉じなければならないかもしれない状況になったんです。地域の方々の行き場がなくなる前にと故郷に戻り、しばらく父と2人で診療を続けた後、2022年に院長職を引き継ぎました。

こちらに戻られる前は、どのような環境で経験を積まれたのですか?

福岡大学を卒業後、同大学で初期研修を修了し、分院の筑紫病院へ進みました。ところが所属した医局が1年で消滅してしまい、トップの先生が他の大学病院の教授に就任されたんです。その先生に声をかけていただき、島根大学病院へ移りました。そちらでは血液内科、糖尿病内分泌科、呼吸器内科の3つが一つにまとまった部門に所属していました。人員の都合で分野ごとに診療科を分けられなかったためですが、結果として一つの場所にいながらさまざまな疾患の患者さんを診ることができ、幅広い経験を積めました。一つの専門を決めてその領域に特化するのではなく、さまざまな方を診られたことは今の診療に生きています。「町のお医者さん」として幅広く対応する土台になったと感じますね。

広々として明るい院内が印象的です。設計で意識された点はありますか?

松本治院長 松本医院2

2025年11月にクリニックを建て替えました。以前の建物は30年以上前の物で、バリアフリーが整っておらず、足腰の悪い方や車いすの方にはご不便をおかけしていました。入り口でスリッパに履き替えていただく方式だったのですが、患者さんから「スリッパだと歩きにくくて転びそう」というお声がありましたので、靴のまま入れる設計にしました。待合室にもこだわっています。体調がつらい時に暗く狭い空間にいると気分まで落ち込みますから、天井を高くし、自然光が入る明るく広々とした空間にしました。おなかが痛かったり吐き気がしたりで座っているのもきつい方が横になれるよう、椅子の配置にもゆとりを持たせています。院内には診察室や処置室、エックス線室のほか、心電図や上部内視鏡検査など、健康診断にも対応できる検査室を設けています。

「どこに行けばいいかわからない」に応える診療

こちらには、どのような悩みを持った方が来院されるのでしょうか?

松本治院長 松本医院3

内科と小児科を標榜していますので、小さなお子さんから高齢の方まで幅広くいらっしゃいます。初めて来られた患者さんからよく伺うのが「体の調子が悪いのはわかるけれど、どこの診療科に行けばいいかわからなかった」という声です。そういう方にまず来ていただき、必要に応じて専門の医療機関をご紹介する窓口でありたいと思っています。ご家族で通われる方も多く、以前はお子さんと親御さんが別々の医療機関にかかっていたけれど、当院なら1ヵ所で済むので助かるという声もいただきます。専門的な検査や治療が必要な場合は、東佐賀病院や今村病院、佐賀県医療センター好生館、聖マリア病院などへおつなぎしています。祖父の代から3代にわたって通い続けてくださっている患者さんもいらっしゃるんですよ。

急に体調を崩した場合にも、対応していただけますか?

はい。そのために当院ではあえて予約制を取り入れていません。予約制だと受診したい日に枠が埋まっていて診てもらえないことがあると患者さんから伺います。特にお子さんの急な発熱など、待てない場面で予約が取れないのはつらいものですよね。そういう時にも予約なしでパッと来ていただけるよう、余裕を意識的に残しています。急な体調変化にも対応できる態勢を保つことが、かかりつけ医として大切だと考えています。もちろん予約制でない分、多少お待たせすることもありますが、だからこそ待合室の居心地にこだわりました。つらい中でお待ちいただく時間を少しでも楽に過ごしていただきたいと考えています。

患者さんと向き合う際に、心がけられていることは?

松本治院長 松本医院4

まずは患者さんの話をきちんと聞くことですね。医療機関に来ると伝えたいことが抜けてしまう方も多いので、「先月からこの1ヵ月どうでしたか?」「季節の変わり目で気になることはありませんか?」と、こちらから引き出すような問いかけも重視しています。以前の受診先で話を聞いてもらえなかったと感じている方もいらっしゃいますので、しっかり顔を見て耳を傾けることを意識しています。診察でも、風邪の症状があれば喉や鼻だけでなく首周りや胸の音まで一通り確認しますし、お子さんには「今から胸の音を聞くからね」と事前に伝えるようにしています。お子さんも、何をされるかわかると安心して協力してくれますからね。検査や治療の方針も、お仕事やご家庭の事情を伺った上で一緒に決めるようにしています。

地域とともに歩み、気軽に頼れる場所でありたい

院内の温かな雰囲気が印象的ですが、スタッフの方々について伺えますか?

松本治院長 松本医院5

10年以上勤めてくれているベテランに加え、今年から新たに2人が加わりました。新しいスタッフにはベテランが横について業務を見せ、次に本人にやってもらう形で一つずつ覚えてもらっています。座学の講習会ではなく、日々の診療の中で実践を通して身につけていく進め方ですね。長く勤めてくれている看護師はこの地域に住んでいて、来院される患者さんとは普段から顔見知りなんです。当院を出た後もご近所付き合いやお買い物先での会話がありますし、お子さんの患者さんでも「あそこの子ね」とわかっている。田舎ならではの気安さというか、そういう日常のつながりがクリニック全体のアットホームな雰囲気をつくっているのだと思います。

クリニックでの診療のほかに、地域と関わる活動もされていますか?

父から引き継いで、近隣の小学校や幼稚園の学校医・園医を務めるほか、周辺の工場で働く方々の健康相談にも関わっています。行政の会議にも出席し、地域の医療について助言を行う場面もありますね。こうした役割がいくつもあり、実際に自分が取り組み始めると、とにかくやることが多い。父はこれらをずっと一人でこなしてきたわけですから、改めて尊敬しますね。診察室の中だけでなく、学校や企業、行政の場にも足を運びながら地域全体の健康を支えていくこと。それが3代にわたってこの場所で続けてきた当院の務めだと思っています。

最後に、地域の方々へメッセージをお願いいたします。

松本治院長 松本医院6

健康診断の結果がちょっと気になるけれど、わざわざ病院に行くほどのことかわからない。そんな心配事を抱えている方は多いのではないでしょうか。そういう時こそ気にせず、フラッと立ち寄るくらいの感覚で来てみてください。当院はそうした気軽に相談できる場所をめざしています。また、体調が悪い時やけがをされた時は、事前にお電話をいただければ当院で対応できるかどうかをお伝えし、受診の流れをご案内できます。内科の範囲を超える処置が必要な場合もありますので、迷われた時はまずご一報いただけるとスムーズです。気負わずに足を運んでいただけるよう、スタッフ一同温かい雰囲気を大切にしています。何かあったらまずここへ、そう思っていただける場所でありたいと願っています。