権丈 洋徳 院長の独自取材記事
権丈産婦人科医院
(糟屋郡志免町/須恵中央駅)
最終更新日:2025/07/09

県道68号・堺田交差点からすぐ。粕屋郡志免町の「権丈産婦人科医院」は、親子2代にわたり多くの命の誕生を見守ってきた。院長の権丈洋徳先生は外科をはじめ、大学病院や総合病院の産婦人科で研鑽を積んできた日本産科婦人科学会産婦人科専門医。副院長の権丈緑先生は日本小児科学会小児科専門医の資格を持つ麻酔科標榜医であり、赤ちゃんが元気に育つための出産後のサポート体制も整えている。痛みに配慮した無痛分娩への対応や産後ケア、予防接種など、患者の不安を取り除くための診療が充実しているのは、妊娠・出産の喜びを噛みしめられるようにと願う思いから。今回は洋徳院長に、同院の特徴をたっぷりと聞かせてもらった。
(取材日2021年12月15日/再取材2025年3月28日)
産婦人科と麻酔科の医師2人体制で対応する分娩
歴史の長い産婦人科医院ですね。まず、先生のご経歴について教えてください。

当院は父が1971年に開業し、2019年に私が院長に就任しました。診療は妊娠・出産がメインではありますが、月経にまつわるトラブルや不妊、更年期、がん検診などで来られる方も多くいらっしゃいます。私は久留米大学医学部卒業後、幅広い知識を持ちたいと思ったことから研修医期間は聖路加国際病院に勤務し、多様な知識や手術手技を経験させてもらいました。その後、九州大学病院の産科婦人科で産婦人科医としてのキャリアをスタートし、大学病院や福岡県内の総合病院で周産期、婦人科腫瘍、不妊内分泌などの診療に従事。2014年頃から九州大学病院での勤務と並行してこちらでの診療に携わるようになりました。大学病院は紹介状を持って来られる方や重篤な症状の方が多いですが、ここは最初の窓口となる役割を担っています。その両方を診ることができ、医師として貴重な経験をさせてもらったと感じています。
分娩における強みを教えてください。
自然分娩や里帰り分娩だけでなく、無痛分娩、計画分娩、帝王切開にも対応しています。当院の強みは、お産を管理し見守る産婦人科医である院長の私と、陣痛の痛みの緩和に努める麻酔科医である副院長の2人体制で対応しているところだと考えています。例えば、計画分娩で、予定よりも早く自然に陣痛が始まり、休日や夜間のお産になったという場合でも無痛分娩で対応することができますし、あらかじめ準備をしておくことで、出産当日に自然分娩から無痛分娩への切り替えにも対応可能です。無痛分娩における柔軟な対応ができるのは常任で麻酔科医がいるからこその強みですね。近隣の大学病院や総合病院と密に連携しておりますので、赤ちゃんの状態が悪くなった時やお母さんの状態が急変し集中的な治療が必要な場合も、迅速に対応いたします。
無痛分娩を希望される方が多いのですね。

少子化ではあるものの、近年は分娩方法のニーズが多様化しており、その中でも無痛分娩をご希望される方が多いですね。痛みの程度を人に伝えるのは難しく、妊婦さんにとってお産の痛みへの不安は非常に大きいでしょう。「お産は命がけ」と言いますし、私たちも同じ思いではおりますが、それを前面に出しすぎてしまうと不安ばかりが強くなってしまいますよね。赤ちゃんとお母さんが元気な状態でお産を終えられることはもちろん、痛みも軽減できればなお良いですし、妊娠期間からお産にかけての不安を少しでも軽減できればという思いで無痛分娩に取り組んでいます。無痛分娩の相談会も行っているので、気になる方や不安な方はぜひお越しください。
妊娠中から産後まで安心して過ごせるサポート体制
産後ケアについてはどのように取り組まれているのですか?

出産後の母子に対して心身のフォローアップや育児のサポートを行い、安心して子育てができるように支援する産後ケア事業は、政府の推進により以前より少ない自己負担で受けられるようになり、全国的に普及してきているところです。産後ケアにおいては、お母さんにゆっくり休んでもらうことが一番大切だと考えています。慣れない育児で、少なからずお子さんのお世話がご負担になっている方もいらっしゃいます。一時的にでも育児と距離を置くことで、お母さんがリフレッシュされて、子育てに前向きになれると良いなという思いで、当院でも積極的に受け入れています。副院長は小児科専門医でもありますので、お子さんに関するケアが必要な方もお気軽にご相談ください。
各種教室も充実されていますね。
母親学級(マタニティークラス)や専門の指導者によるマタニティーヨガ、ベビーマッサージ、離乳食教室を行っています。基本的には対面で行っていますが、当院で里帰り出産をされた後、お住まいの地域に戻られる方もいらっしゃると考え、離乳食教室はオンラインと対面を組み合わせたハイブリッド形式で行っています。新型コロナウイルス感染症の流行でヨガ教室もオンラインで実施した時期がありましたが、実際に来て参加いただくことが、妊婦さんやお母さん同士のつながりができたり、会話をすることでリフレッシュにつながったりするのではないかと感じています。
予防接種にも力を注がれているそうですね。

はい。一つは、乳幼児の予防接種です。通常、産婦人科では1ヵ月健診まで行い、その後は小児科で対応することが多いのですが、当院では小児科専門医の副院長が生後2ヵ月から始まる乳幼児の予防接種も行っています。赤ちゃんの成長のフォローアップにもつながりますし、当院で産んでくださったお母さんも安心して子育てに向き合えるのではないでしょうか。また、子宮頸がんの予防接種も積極的に情報提供し、接種を行っています。さらに今後は、妊娠に向けた準備としての予防接種についても啓発していきたいと考えているのです。妊娠中の感染により赤ちゃんに影響を及ぼす可能性のある風疹などの感染症について、妊娠前に抗体検査を行い、抗体が少ない場合は感染する可能性が下がるように予防接種を行います。自費の検査にはなりますが、安心して妊娠生活を過ごすための手段の一つとして、ご案内していきたいと思います。
妊娠・出産、子育ての喜びを感じられる環境づくりを
その他にどのような受診理由が多いですか?

10代から30代の方だと生理痛、月経不順、月経前症候群(PMS)、子宮内膜症など、月経にまつわる困り事で来られる方が多いですね。今は使用可能なホルモン剤が増えてきていますので、低用量ピルや黄体ホルモン製剤、また漢方薬などによる体質へのアプローチで症状の緩和をめざします。仕事や学校を休まなければならないなど、普段の生活に支障が出る場合は我慢せずに受診なさってください。もちろんその前の段階で受診いただいても構いません。あとは妊娠をご希望される方も受診されます。当院ではタイミングを取るところから始めて、ステップアップを望まれる方は適した機関をご紹介しています。40代後半くらいになると更年期症状での来院も。そして子宮筋腫、卵巣腫瘍、子宮頸がん、子宮体がんなどの検査で来られる方が多いですね。
診療ではどのようなことを心がけていますか?
患者さんは不妊、更年期、月経にまつわる悩みで来院されたり、妊婦さんも赤ちゃんが順調に育っているだろうか、ちゃんとお産できるだろうかなど、皆さん大なり小なり不安を抱えておられます。まずはその不安や悩みに寄り添い安心感を与えられる対応を心がけています。産婦人科は不妊の悩みや外陰部のかゆみ、おりものが多いといった相談しにくい症状で来院される方も多くいらっしゃいます。誰にも相談できず、一人で悩んでおられるケースも多いですから、そういった方の心理面にも配慮しながら、相談しやすい医院であるようにスタッフ一同が心がけています。
最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

父の時代に生まれた赤ちゃんが大人になり、「自分が生まれた場所で出産したいんです」と来られることもあります。2代にわたって携わることができ、ありがたい気持ちでいっぱいです。年々出生数は減り、妊娠・出産、子育ての大変な面ばかりがクローズアップされていますが、本来はすごく喜ばしいことですし、周囲の人も幸せにしてくれる、他には代えがたい出来事ですよね。妊娠しやすく、出産しやすく、子育てしやすいサポート体制を私たちが築くことで、お母さんの不安や負担を少しでも軽減したい。そしてお母さんが「楽しくて、幸せなことがこれからたくさん待っている」という思いで過ごしていただけるようなお手伝いができるよう、これからも努めてまいりたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは妊娠前感染症抗体検査/1万円~、無痛分娩前検査/7000円、無痛分娩実施加算/8万5000円