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菊池 正統 院長、菊池 洋平 副院長の独自取材記事

菊池内科医院前原

(糸島市/波多江駅)

最終更新日:2023/01/23

菊池正統院長、菊池洋平副院長 菊池内科医院前原 main

JR筑肥線波多江駅から徒歩10分、国道202号から路地に入ったところにある「菊池内科医院前原」は、糖尿病の専門クリニックとして1992年に開業。以来30年余にわたり、地域の糖尿病患者の受け皿として診療を続けてきた。現在は菊池正統院長に加え、息子の菊池洋平副院長の2人の医師が診療にあたり、糖尿病予備群とされる患者への生活指導から重症患者の治療まで幅広く対応。また地域のかかりつけ医として一般内科の診療にも取り組んでおり、地域医療を支えている。モットーとして「誠意を持って最適な治療を行う」という院長と、「患者のスタイルに合った治療を心がけている」という副院長に、クリニックの成り立ちをはじめ、糖尿病の治療や予防などについて詳しく話を聞いた。

(取材日2022年2月17日/情報更新日2023年1月16日)

糖尿病の専門クリニックとして30年余にわたり診療

クリニックを開業した経緯をお聞かせいただけますか?

菊池正統院長、菊池洋平副院長 菊池内科医院前原1

【院長】九州大学病院の第二内科糖尿病研究室を退局し、勤務医を経て1992年7月に糖尿病の専門クリニックとして「菊池内科医院前原」を開業しました。当時は有床診療所として、食事指導から糖尿病網膜症に対する網膜光凝固術という眼科領域にまで携わっていました。患者さんのためにできることは何でもしたいという思いが強かったのだと思います。現在は外来診療のみの対応になりましたが、いらっしゃる患者さんの3分の2ほどは糖尿病の方。また地域のかかりつけ医として風邪や腹痛など一般内科で受診される方もいらっしゃいます。医療の知識はピラミッドですから、内科としての幅広い知識の上にスペシャリティーがなくてはならない。そうした意味からも、こだわりを持って内科と標榜しています。

副院長は2016年にこちらに戻って来られたそうですね。

【副院長】大学卒業後は父と同じ研究室に入局しました。いずれはこのクリニックで働きたいと思っていましたし、糖尿病の患者さんはどんどん増えている状況にありますからね。その後は九州中央病院や聖マリア病院、白十字病院、福岡赤十字病院などを経て副院長に就任しました。以前から地域に根差した外来診療に取り組みたいと思っていましたし、今は父と2人で診療に取り組んでいます。基本的に初診の患者さんは父が担当し、その後は同じ患者さんを3回続けて診ないように決めています。同じ医師が担当していると糖尿病の患者さんは慣れてしまい、指導がうまくいかなくなるんです。それに、診療を多面的にチェックするという意味合いもあります。

診療だけではなく行政との活動にも携わっていると伺いました。

菊池正統院長、菊池洋平副院長 菊池内科医院前原2

【院長】糸島医師会の監事を担っているのですが、糸島市、保健所、薬剤師会、歯科医師会と協定を結び、医療におけるさまざまな課題に取り組んでいます。その中の一つの活動として糖尿病性腎症重症化予防プログラムを進行しており、そのプログラムに糖尿病専門の医師として息子が参加しています。
【副院長】啓発活動によって糖尿病による透析患者さんを減らすことが目的です。皆さんに糖尿病の怖さを伝え、健診での血糖値異常から受診へとつなげるもので、糸島市では糖尿病の未受診者が減少するなど改善傾向にあります。糖尿病は早く治療を始めることができれば、合併症や透析は防げるはずと考えています。そのため私自身、公民館などでの講演会に参加するなど積極的に情報発信を行っています。また、2022年6月より私も糸島医師会の理事となり、より一層糸島の地域医療貢献に努める所存です。

コントロール不良の糖尿病は合併症を引き起こす

そもそも糖尿病とは何が原因で起きるものなのでしょうか?

菊池正統院長、菊池洋平副院長 菊池内科医院前原3

【院長】ベースは遺伝的なものです。糖尿病になりやすい遺伝子を持っている人が、食事や運動などの悪習によって発症してしまいます。中には暴飲暴食をして、まったく運動をしないという生活習慣であっても糖尿病にならない方もいますからね。また糖尿病をイメージすると肥満を思い浮かべることが多いかと思いますが、実際には痩せていくことの多い病気なんですよ。
【副院長】糖尿病の患者さんのほとんどはII型糖尿病です。通常であれば食べた分だけインスリンが出て血糖値を下げるのですが、食べる量に応じたインスリンが分泌できず血糖値が上昇してしまう病気です。逆にI型糖尿病はインスリンが分泌されず、治療には必ずインスリンが必要になります。

自分では気づかないともいわれる病気ですが、進行するとどんな症状が出ますか?

【院長】多尿が症状の始まりです。多尿が始まると水分が体外に出ていくため喉が乾いて多飲になり、脱水がひどくなると倦怠感が出てきます。ひどくなれば食べているのに痩せてしまいます。また合併症として足の感覚が鈍ったり痺れたりする末梢神経障害や壊疽、網膜に出血や毛細血管瘤ができる糖尿病網膜症、そして腎症があります。最終的には慢性腎不全となり透析治療が必要になっていきます。後で頑張る、後で治療すればと先延ばしにしがちですが、糖尿病は取り返しがつきません。放置していた期間はそのまま借金のように残り、どうしようもなくなってから合併症という形で取り立てにくる。だからこそ怖い病気なのです。

やはり生活習慣を改善することが一番の対処法なのでしょうか?

菊池正統院長、菊池洋平副院長 菊池内科医院前原4

【副院長】そうですね、初期であればバランスのとれた食事や適度な運動によって薬なしでも対処できる場合があります。しかしインスリンの分泌機能が低下すれば、内服薬や注射による治療が必要です。もっと悪くなれば合併症も考慮しなければなりませんし、患者さんがどういうステージにあるかを見極めた上での対応が肝心です。とはいえ生活習慣を変えるというのは非常に難しいもの。糖尿病は動脈硬化の原因となるため、心筋梗塞や脳梗塞といった大きな病気を引き起こすこともあります。そこで糖尿病の怖さに気づき生活習慣を変えることができればまだ良いのですが、それでも受診を中断してしまったり、生活習慣を改めなかったりする方も一定数はいらっしゃるので難しいところです。しかし、患者さん次第で薬を減らすことも、やめることもできる病気だと言えるでしょう。

糖尿病は一病息災。健診で異常があればまずは相談を

遺伝的な要因があるとはいえ、予防する方法はないのでしょうか?

菊池正統院長、菊池洋平副院長 菊池内科医院前原5

【院長】自分の家族に糖尿病の方がいる場合は、まずは太らないように甘いものやカロリーの高い食事を避けること。運動も良いですが、脂肪を100グラム燃焼させようと思えば約5時間は歩き続けなければならない計算になり、あまり現実的ではありません。だったらまずはケーキやおまんじゅうを我慢するところから始めたほうが良いでしょう。
【副院長】アスリートが食事をたくさん取っても太らないのは、筋肉量があってエネルギーを使う体になっているからですが、そうなるまで努力するのは大変ですよね。体重を維持するというのは一つの指標になるので、スマートフォンのアプリを活用して1日1回は体重を測って管理するなど工夫してみてはいかがでしょうか。

ドロップアウトする患者さんもいらっしゃると思いますが、お二人が診療で大切にしていることはありますか?

【院長】誠意をもって患者さんを診ることですね。患者さんのためになるかならないかを考え、生活背景なども踏まえ最適な治療を行うことです。とにかく誠実に向き合っています。
【副院長】私は患者さんの心に寄り添いたいと思っています。褒めたり、叱ったりと患者さんが求める診療スタイルは違いますから、まずは一人ひとりとお話をしてから治療を進めるようにしています。また自分の親や子どもにも同じ治療をするかという点はいつも考えています。糖尿病の治療は多くの診療科にまたがるため、今後はほかの先生方とも交流を深めスムーズに連携が図れるようにしていきたいですね。

最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

菊池正統院長、菊池洋平副院長 菊池内科医院前原6

【副院長】糖尿病は一病息災。定期的に通院することでほかの病気を早期に見つけられるともいわれています。また、糖尿病食は長寿食とも考えられ、一人ひとりに適した食事で肥満や生活習慣病の防止につながる側面もあります。糖尿病は医療機関を受診することが最初の一歩です。初期であれば生活習慣を正すことで改善が見込める病気です。健診で異常を指摘されたら、お試し受診のような形でまずはご相談ください。

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