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田中 晃 院長の独自取材記事

医療法人田中耳鼻咽喉科医院

(飯塚市/飯塚駅)

最終更新日:2026/09/25

田中晃院長 医療法人田中耳鼻咽喉科医院 main

飯塚駅から自動車で約4分。商店街や住宅地が広がる飯塚市の中心市街地に近いエリアに「田中耳鼻咽喉科医院」はある。もともとは院長の父が長年にわたり外科を営んでいた場所で、田中晃院長が2000年に建物を受け継ぎ、耳鼻咽喉科として開業した。以来、地域のかかりつけとして耳・鼻・喉の疾患全般に対応してきた。獨協医科大学でアレルギー性鼻炎を研究し博士号を取得した田中院長は、穏やかで温かみのある人柄が印象的だが、診療への姿勢は真摯そのもの。正しい診断に基づく適切な処方を信条とし、治療を途中でやめるリスクも丁寧に説明しながら患者に寄り添う。飯塚祇園山笠をはじめ地域の行事にも一住民として顔を出し、「地域の中にいることを大切にしたい」と語る田中院長に、日々の診療にかける思いを聞いた。

(取材日2026年9月2日)

父の医院を受け継ぎ、地域とともに歩んだ四半世紀

こちらで開業されるまでの経緯を教えてください。

田中晃院長 医療法人田中耳鼻咽喉科医院1

父がこの場所で長年外科医院を開業していたのですが、私自身は医師になるつもりはありませんでした。ところが兄が交通事故で亡くなり、「自分が後を継がなければ」という思いが芽生え、医師の道を志しました。栃木県の獨協医科大学に進学し、卒業後はそのまま同大学の耳鼻咽喉科医局に入りました。途中、栃木県内の病院で部長として勤務した時期もありましたが、大学に戻り博士号を取得しています。当初は栃木に残ることも考えていたのですが、母から「帰ってきてほしい」と頼まれまして。2000年に父の医院の建物をそのまま生かし、内装をリニューアルして耳鼻咽喉科として開業しました。父の代から続くこの場所で、地域のかかりつけ医としての役割を引き継ぐことができました。

数ある診療科の中から耳鼻咽喉科を選ばれた理由を教えてください。

学生時代所属していた剣道部の先輩が、耳鼻咽喉科の医局にいたんです。見学に行ったらとても雰囲気が良くて、ここで一緒にやりたいと思ったのが最初のきっかけでした。入局してからは、知らなかったことがどんどんわかっていく面白さに夢中になりました。鼻の中の構造をのぞいて驚いたり、治療後の変化を目の当たりにしたり。恩師である教授のもとでは臨床と研究の両面を学ばせていただき、アレルギー性鼻炎の研究で博士号をいただきました。大学病院ではチーム一丸となって患者さんの治療にあたっていましたので、退院されるときに「ありがとう」と声をかけていただく瞬間は何よりの喜びでしたね。やっぱり感謝されるときが一番うれしい。その気持ちは今も変わらず、日々の診療の原動力になっています。

普段はどのような患者さんが来院されていますか?

田中晃院長 医療法人田中耳鼻咽喉科医院2

お子さんから高齢の方まで、幅広い年齢層の方が来院されます。耳・鼻・喉の疾患全般を診る、地域のかかりつけとしての役割を担っています。中でも最も多いのがアレルギー性鼻炎で、お子さんの場合には喘息やアトピー性皮膚炎を合わせ持っているケースも少なくありません。私は開業医として「広く浅く対応して、危険と思ったらすぐに紹介できる力が必要」だと考えています。専門的な検査や入院を伴う治療が必要だと判断した際には、飯塚病院や大学病院へ速やかに紹介しています。さまざまな疾患にまずしっかりと向き合った上で、必要な場面ではためらわず専門の医療機関へつなぐ。その見極めと切り替えの速さを、日々の診療の中で何より大切にしています。

一人ひとりに合った処方で、完治まで寄り添いたい

お薬の処方で大切にされていることを教えてください。

田中晃院長 医療法人田中耳鼻咽喉科医院3

一番お伝えしたいのは、耳鼻咽喉科イコール抗生剤を出してもらう場所という認識は正確ではないことです。以前は症状を見て広く処方するのが一般的でしたが、現在は正しい診断に基づいて本当に必要な方にだけ処方する時代になっています。抗生剤を安易に使い続けると耐性ができ、いざというときに効かなくなる恐れがあります。だからこそ、お一人お一人の症状をきちんと見極め、その方に合った適切なお薬を選ぶことを大切にしています。こうした考え方は小児科の先生方とも共有しておきたいと思い、小児科医会にも参加して情報交換や連携を図っています。診療科の垣根を超えて足並みをそろえることが、患者さんの安心につながると考えるからです。

アレルギー性鼻炎の治療について詳しくお聞かせください。

アレルギー性鼻炎の治療では、症状を抑えるためのお薬に加えて、根本的な改善をめざす舌下免疫療法にも力を入れています。少量のアレルゲンを毎日舌の下から取り込むことで体を徐々に慣らしていくよう図る治療法で、現在の対象はダニとスギです。最低でも3年以上の継続が必要で、5年ほど続けるとより改善が見込めるとされています。ただ、治療を終えた後に再び症状が出る可能性もゼロではありません。私はその点も含めて正直にお話しした上で、ご本人と一緒に治療方針を決めるようにしています。メリットだけでなくデメリットもきちんとお伝えすることが、長い治療を続けていただくための信頼関係の土台になると考えるからです。お子さんから高齢の方まで、年代や生活スタイルに合わせた提案を心がけています。

治療の継続が難しい患者さんには、どのように対応されていますか?

田中晃院長 医療法人田中耳鼻咽喉科医院4

例えば副鼻腔炎の場合、私はまず3週間を治療の目標としています。その間は抗生剤を使い、その後は症状に応じて漢方薬などに切り替えていくのですが、途中でやめてしまうと薬への耐性ができたり、症状が慢性化したり、再発を繰り返しやすくなるリスクがあります。先ほどの舌下免疫療法でも、中断すればそれまで積み重ねてきた期間が無駄になってしまいます。共働きのご家庭が増えた今、通院や服薬を続ける大変さはよくわかります。ですから「忙しかったよね、しょうがないよな」とまずはお気持ちを受け止めた上で、途中でやめた場合のリスクはきちんとお伝えするようにしています。健康のことは仕事と同じくらい大切ですので、完治するまで一緒に歩んでいきたいです。

「地域の中にいる」を大切に、安心して頼れる存在へ

患者さんと接する際に心がけていることは何ですか?

田中晃院長 医療法人田中耳鼻咽喉科医院5

診療で最も大切にしているのは、見逃さないこと。とにかくそれだけです。患者さんの声を聞いた瞬間に「あれ、喉の調子がおかしいな」と感じるときや、診察で異常が見つからなくても自分の中で違和感を感じるものがあれば、さらに検査を進めることもあります。少しでも気になる点があれば立ち止まり、必要であれば速やかに専門の医療機関をご紹介する。その判断の早さも、開業医としての大事な役割だと考えています。日々の診療では、まずどなたにもあいさつを欠かしません。「患者さんだけが話しやすくなるのではなく、僕らも説明しやすくなる関係をつくらなくては」と思っていますので、お互いが安心して言葉を交わせる雰囲気づくりを常に心がけています。医者と患者さんがともに協力して、一緒により良い医療を進めていきたいですね。

先生にとって、この地域はどのような存在ですか?

「地域のためにというよりも、地域の中にいることを大切にしたい」。これが私の率直な気持ちです。この地で生まれ育ち、父の代からこの場所で医療を続けてきましたから、地域のことはよくわかっています。町内の集まりには積極的に顔を出しますし、山笠をはじめとする祭り事にも参加しています。以前の水害の際には、一地域住民として周囲を見て回ったこともありました。特別なことをしようというわけではなく、一人の地域の人間としてこの町の中にいること自体が自然なんです。クリニックでは一緒に働くスタッフを大切にすることも心がけていますし、自分自身もジムやジョギングで体力を維持しながら、この地域で長く診療を続けていけるよう日々努めています。

最後に読者へメッセージをお願いします。

田中晃院長 医療法人田中耳鼻咽喉科医院6

耳・鼻・喉のことで少しでも気になることがあれば、何でもいいですから気軽に受診してください。なるべく早く診断をつけて、早く治療を始めたいと常に考えています。早めに来ていただいた結果、所見が出なかったとしても「今は大丈夫」とわかること自体が安心につながりますから。インターネットなどで事前に調べる方も増えていますが、まずは受診して適切な診断を受けていただくほうがいい。その上で生活上の注意点などを調べていただければ、より役に立つと思います。私はこの飯塚の地で生まれ育ち、父の代から地域の皆さんとともに歩んできました。「ここにいたら安心」と感じていただけるよう、これからも一人ひとりに丁寧に向き合っていきたいと思っています。