自覚しづらい緑内障
早期発見と適切な治療で残された視野を守る
実吉眼科医院
(久留米市/西鉄久留米駅)
最終更新日:2024/07/05


- 保険診療
日本人の失明の原因で多い疾患、緑内障。40歳以上の20人に1人が緑内障と言われ、誰でも発症する可能性がある実は身近な疾患だ。しかし、初期の段階では症状がわかりづらいことから、自覚しにくい疾患でもある。「実吉眼科医院」では緑内障の早期発見に努め、点眼薬やレーザー治療、手術などの選択肢の中からそれぞれの患者に応じた治療計画を提案し、患者の不安に寄り添っている。副院長の実吉安信先生は「緑内障=失明なのではなく、自分に合った点眼薬や治療を選ぶことで、生涯視野を維持することも期待ができるというのを知ってほしい」と呼びかける。緑内障を専門とし、これまで多くの緑内障患者の治療に携わって来た安信先生に、緑内障の特徴や同院で行っている治療について話を聞いた。
(取材日2024年1月22日/情報更新日2024年6月24日)
目次
低侵襲緑内障手術などさまざまな選択肢から、患者一人ひとりに合わせた治療計画を提案
- Q緑内障とはどのような疾患なのでしょうか?
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A
▲資料などを用いて、患者にわかりやすく説明する
緑内障は、目の中の眼圧が高まって視神経に負荷がかかり視野が欠けてしまう病気です。慢性的な疾患で、進行するにつれ徐々に見える範囲が狭まっていきます。子どもから大人まで誰でも発症する可能性がありますが、基本的には40歳以上の5%が緑内障と言われており、70歳以上になるとその割合は10%に上るとされています。日本人の失明の原因としても多いのが緑内障で、治癒しないことから「発症したら失明してしまうのでは」と思われている方も多いことでしょう。確かに狭まった視野を元に戻すことはできませんが、早期発見し適切な治療を続ければ、残った視野を維持することも期待できます。
- Q自覚しにくい疾患だと聞くのですが、それはなぜですか?
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A
▲緑内障の早期発見に注力している
緑内障の症状として、周辺の視野から徐々に欠けていくため中心部に視野障害が及ばないと気づきづらいという理由が挙げられます。また、人は普段両目で視野を補いながら物を見ているため、なかなか違和感を感じづらいということもあります。早期に発見できた方は、自覚症状なく受診した検診でたまたま疾患が見つかった、という場合がほとんどです。緑内障は家族に緑内障の患者さんがいる方や、近視が強い方が特になりやすいとされています。合わせて、これまで眼圧が高いと言われたことがある方も注意が必要です。こうした方をはじめ、40代以上になったら定期的に緑内障の検診を受けることが早期発見への一番の近道になります。
- Q具体的な治療方法について教えてください。
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A
▲定期的に検診を受けることで早期発見につながる
緑内障の進行を抑えるための唯一の治療法は、眼圧を下げることです。そのために、まずは点眼薬による治療から始めます。点眼薬にもいくつか種類があるため、眼圧や視野障害の程度、年齢などをもとに、眼圧の下降作用の高さが見込め、副作用が少なく、点眼の回数もできるだけ少なくて済むものを選ぶことが重要です。1剤で足りなければ2剤に増やしたり、2剤が配合されている点眼薬に変更したりなど、それぞれの患者さんに合った組み合わせを見つけていきます。必要に応じてレーザー治療を組み合わせて行うのも選択肢の1つです。点眼薬やレーザー治療でも不十分であったり、視野の悪化が早い場合には、眼圧を下げるための手術を検討します。
- Qこちらでは低侵襲での緑内障手術も行っているそうですね。
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A
▲クリニックの2階に手術室を備えている
従来の緑内障の手術は白目を切開し比較的大きな傷を作って行っていましたが、低侵襲の緑内障手術では、黒目の端を小さく切開することで白目にダメージを与えないように手術を行います。手術時間も短いため、患者さんの負担を減らし、追加の手術が必要となった場合にも次の手術への影響が少なく済むというメリットがあります。低侵襲緑内障手術はここ最近広がりを見せている治療法で、今後ニーズがさらに高まっていく治療法だと言えます。一方で、従来の方法と同様に、合併症のリスクもあるため、誰にでもやみくもに行っていい手術ではありません。当院では適応や患者さんの希望も踏まえ適切なタイミングで行うようにしています。
- Q一人ひとりに合わせた治療計画はどのように決めていくのですか?
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A
▲患者が症状や不安を話しやすい雰囲気づくりを心がけている
はじめに点眼を開始する前の時点での眼圧や視野をしっかりと把握します。そして、そこから目標とする眼圧を設定し治療をスタート。点眼薬によってはまつ毛が伸びたり目がくぼんだりといった副作用があり、見た目に影響が出ることもあるため、特に若い女性など年齢や性別に配慮して点眼薬を選ぶこともありますね。点眼が始まったら眼圧の様子を適宜確認しながら、視野の悪化具合に応じて再度目標眼圧を設定していきます。なるべく回数や本数を抑えらえるようベストな組み合わせを探るといった流れになります。それぞれの点眼薬の特徴や副作用について丁寧に説明しながら、患者さんも安心して治療を続けられるよう努めています。