患者に寄り添う糖尿病治療
健康寿命延伸をめざし状態改善・維持を
しばた内科クリニック
(福岡市南区/高宮駅)
最終更新日:2025/07/25


- 保険診療
「糖尿病は成り立ちによっていくつかの種類に分類されます」。そう話すのは、父・柴田恵介院長とともに「しばた内科クリニック」で診療にあたる、柴田茉祐先生。糖尿病は大きく分けると、青少年に多く見られる1型糖尿病、遺伝的な要因に運動不足や過食などの生活習慣が加わり中高年を中心に発症する2型糖尿病、そして妊娠中に血糖をコントロールする機能に異常を来す妊娠糖尿病があり、各病態に適した治療が必要となる。中でも圧倒的に多いのが2型糖尿病。初期症状がないことが多いため、定期的に受診し、自身の状態を把握することが最大の予防法だという。そこで今回、糖尿病や内分泌疾患が専門である茉祐先生を中心に、2型糖尿病の予防や治療法、日常生活で気をつけるポイントなどについて解説してもらった。
(取材日2025年6月28日)
目次
体だけでなく経済面での負担も増える糖尿病は、定期的な検診と医師の早期介入が重要な鍵に
- Qそもそも糖尿病とはどのような病気なのでしょうか?
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A
▲糖尿病や内分泌疾患を専門とする茉祐先生
ヒトは食事をすると血糖値が上がり、膵臓からインスリンというホルモンが分泌されます。その分泌量が減少したり、働きが低下したりすると血糖値の高い状態が続くようになります。このように血糖値が慢性的に高くなる病気が糖尿病です。インスリンの働きに異常が生じる原因に、高脂肪、高カロリー摂取といった食生活や運動不足、ストレス、睡眠不足、喫煙習慣などの生活習慣の乱れが挙げられます。こういった生活習慣の乱れによる糖尿病を2型糖尿病と呼び、糖尿病患者の9割以上を占めるといわれています。そのほかでは、膵臓の細胞が破壊されることで発症する1型糖尿病、妊娠をきっかけに発症する妊娠糖尿病などがあります。
- Q糖尿病と他の生活習慣は深く関係すると伺いました。
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A
▲気になる生活習慣病の相談も気軽に行える
生活習慣病は、糖尿病以外にも脂質異常症、高血圧、脳卒中、脂肪肝などがありますが、中でも脂質異常症、高血圧、そして肥満は糖尿病の発症・悪化の引き金になります。肥満はインスリンの働きが低下し、血糖値が上昇しやすくなるなど、糖尿病になるリスクが上昇。また、糖尿病、高血圧、脂質異常症は自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行し、脳や心臓・血管などにダメージを与えることから、脳梗塞や心筋梗塞の発症リスクが高まります。また網膜症などの眼の症状や腎臓の数値がかなり悪くなってから、糖尿病に気づくケースも少なくありません。そうならないよう、当院では全身を包括的に診る診療に力を入れています。
- Q検診で「血糖値が高め」と指摘されたらすぐに治療が必要ですか?
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A
▲血圧脈波検査装置。血管の硬さや詰まり、血管年齢を測定する
放置期間が長ければ長いほど状態は悪化します。指摘されて数値が高めなのはわかっていたものの10年放置していたという方も実は多くいらっしゃいます。その場合はすぐに本格的な治療が必要となりますが、検診で指摘されてすぐの場合は食事や運動など生活習慣の見直しといった手段も取れます。そのため、早期に医療機関を受診し、ご自身に適した生活習慣を実践・持続していくことがとても大事。早期であれば経済面だけでなく身体面の負担も少なくて済みますからね。とにかく放置しないこと。その後の健康寿命の年数が大きく変わる可能性が高いため、放置せず早期に受診してください。
- Q早期であれば薬を使わずに済む可能性も高まるのですね。
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A
▲ライフスタイルにも配慮し、患者に寄り添った治療を提供
はい。ただし生活習慣の見直しという課題がありますので、長く続けてきた習慣を見直し、改善しなくてはなりません。もちろん簡単なことではありませんが、それをサポートするのが私たちの役目ですので、何でも気軽にご相談いただければと思います。状態を確認して、モチベーションを上げ、楽しみを見出しながら取り組んでいくことが大事だと考えています。治療といってもすぐ終わるわけではなく、長期戦です。毎日我慢するのは長続きしませんからね。例えば週に1度は好きな物を食べるなど、その方に合った楽しみを取り入れて持続することを当院ではご提案しています。
- Q予防や改善のために日頃から心がけるべきことを教えてください。
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A
▲インスリン注射の打ち方についても丁寧に指導する
「糖尿病=太っている」というイメージを持っている方が多くいらっしゃいます。しかし、痩せている人も糖尿病になる可能性はあります。ご家族に糖尿病の方がいる方や食生活の乱れなどがある場合は、体型に関わらず発症しやすくなります。このように誰もがなり得る病気ですので、将来、人工透析を受けたり、合併症を起こさないためには、定期的な検査が重要です。検査の数値が少し高めなら、食生活を見直して運動を取り入れるなど、ご自身の状態を把握することが大切です。過度な制限をせずに済むように、そしてストレスも最小限に抑えることができるようサポートします。そして、一人で抱え込まないこと。何でもご相談ください。