柴田 恵介 院長、柴田 茉祐 先生の独自取材記事
しばた内科クリニック
(福岡市南区/高宮駅)
最終更新日:2025/04/28

福岡市南区、花畑2丁目バス停から徒歩約2分。交通量の多い道路に面している「しばた内科クリニック」は、一般内科、糖尿病、循環器、血液、リウマチなど幅広い診療をしている。同院では主として院長の柴田恵介先生が診療しているが、2024年8月からは娘の柴田茉祐先生が、糖尿病の患者を月1回診療している。2人体制になったことで、多くの患者の対応ができるようになっただけでなく、より視野の広い診療が可能になった。「生活習慣病は、自覚症状がない上に長期的な治療が必要です。地道な治療だからこそ患者さんに寄り添いながら、一緒に治療していく気持ちでケアしています」と口をそろえる2人に、診療の際に心がけていることや患者との向き合い方などについて聞いてみた。
(取材日2025年3月22日)
症状がないからこそ、患者の治療に伴走していく
まず恵介院長が医師をめざされた理由や、ご専門について伺います。

【恵介院長】私は幼少期に気管支喘息を患っていて、深夜や休日に病院にお世話になることが多かったんです。その頃から「医師の仕事ってすばらしいな」と感じていて、いつか自分も人を助ける立場になりたいとずっと願っていました。ありがたいことに両親が私の意思を尊重してくれたため、迷うことなく医師をめざし、今こうして皆さんの健康を見守ることができています。もともと私は血液が専門で、専門分野の臨床と研究に没頭していました。ですが、開業前に勤めていた最後の病院で糖尿病、高血圧、高脂血症などさまざまな疾患を持つ患者さんを診療する機会に恵まれました。その経験を生かし、現在に至り、主に糖尿病を中心とした生活習慣病を診ています。
茉祐先生はいかがでしょうか。
【茉祐先生】中学生、高校生になり、家族がどのような仕事に関わっているのかがわかってきた頃からでしょうか。自然と医師をめざすようになりましたね。実際、父が働いている姿などは見たことがなかったのですが、やはり「医師である父」という存在は大きかったと思います。私が糖尿病を専門にした理由は、データを見てじっくり考え、治療方針を決めたり、ケアをしたりするのが自分に向いていると考えたからです。またホルモンの異常が原因で起こる内分泌疾患の専門分野です。ちなみにクリニックでは主として糖尿病の患者さんを診療しています。
どんなところに仕事のやりがいを感じますか。

【恵介院長】患者さんに寄り添い、同じ目線の診療を続けることで定期的に通ってもらえるようになります。糖尿病などの生活習慣病はきちんとコントロールしながら付き合っていくものですので、患者さんと一体感をもって改善をめざしていくところにやりがいを感じますね。病状が快方に向かい、信頼してくれる患者さんの笑顔を見ると、やはり嬉しいものです。
【茉祐先生】糖尿病は薬だけでなく、生活習慣の改善が必要です。つまり患者さんに協力してもらわないといけないため、こちらから機械的に改善案を出さないようにしています。ただでさえ生活習慣を変えるのは大変ですので、患者さんに合った提案を、無理なく少しずつ取り入れてもらっています。糖尿病は症状がないことがほとんどなので、患者さんが頑張った成果が目に見えて現れないんですね。そんな中でもしっかり通院して治療を続けるうちに数値を見て、喜んでもらえるととてもやりがいを感じます。
いつでも患者と同じ目線で会話することを心がける
現在の患者層や主訴はどういった感じでしょうか。

【恵介院長】このエリアは福岡市内でも最も高齢化がすすんでいる地域といわれていますから、やはり70歳前後の方が多いと思います。糖尿病、高血圧、高脂血症などで定期的に通院が必要な方が一番多いです。もちろん、発熱や感染症、急性胃腸炎などの一般内科の方も診ています。標榜はしておりませんが、プライマリケアとして消化器疾患の患者さんも受け入れており、継続的な治療や精密検査が必要な場合は専門施設を紹介しています。ですから当院は、患者さんのあらゆる症状の窓口になろうと日々努めています。「体調が悪いけれど、どこを受診して良いかわからない」という方は、私たちにご相談いただければ何らかのアドバイスはさせていただきます。どのような症状なのかいったんお話を伺いますので、安心して受診してください。
患者さんと信頼関係を築く上で大切にしていることはありますか。
【恵介院長】患者さん一人ひとりに親切に接し、丁寧な説明を行うことでしょうか。当たり前のことなんですが、意識しないとなかなかできないことだと思っています。専門知識を持つ医師が患者さんと話す時は、患者さんと同じ立場に立って会話をしなければ伝わらないんですね。一方的にならないように、必ず椅子に座って、できるだけ専門用語を使わずに患者さんと話すようにしています。初診に関しては時間をかけ、じっくりお話を聴くようにしています。患者さんに寄り添いながら、主訴や悩みを解決していくことが信頼関係を築く基本ではないでしょうか。
【茉祐先生】患者さんの話をしっかり聴くことを意識しています。もちろん、必要な時はこちらから説明したり話したりしますが、基本的には患者さんの話を傾聴するように心掛けています。とはいえ、あまり会話を好まない患者さんもいらっしゃるため、臨機応変に対応して少しずつ信頼関係を築いています。
2人で診療する強みや、親子だからこそのメリットについてお聞かせください。

【恵介院長】糖尿病のインスリン治療に関しては、私よりも日本糖尿病学会糖尿病専門医である娘のほうが知識や技量は優れていますので、非常に助かっています。親子ですから何でも話しやすく意見も言いやすいため、コミュニケーションも良好だと思っています。気になる患者さんがいる場合、メッセージツールや電話で情報共有もしていますよ。
【茉祐先生】やはり2人体制だと、多くの患者さんを診療できる点が強みだと思います。そして何か疑問点などがあればすぐに父と共有し、広い視点で物事を考えられるところもメリットだと感じています。父はすごく真面目で勉強熱心なんです。常に患者さんのことを第一に考えているところは見習うべき点ですね。
何でも相談しやすいアットホームなクリニックをめざす
開業以来、地域住民の健康課題や健康状態に変化を感じる点はありますか。

【恵介院長】症状が出にくい生活習慣病は、「地道な治療が将来のためになる」ということを患者さんに理解していただくように努めています。若い時は普通に生活できますから、治療の必要性を感じない方がほとんどだと思います。それが年齢を重ねるごとに静かに症状が進んでいき、将来動脈硬化につながるのが怖いところなんですね。心筋梗塞、脳梗塞、腎臓病に進展し、治療が複雑化します。糖尿病が引き金となり、合併症で受診しなければならないこともあります。そのようなリスクを患者さんに説明しつつ、今からできることから始めることをお伝えする必要があります。きちんとした説明が、地域の方々の意識の改善に役立ってくれればうれしく思います。
今後の展望について伺います。
【恵介院長】何か新しいことを取り入れたり始めたりというよりも、開業当初から変わらない「地域の方々が寄りやすいクリニック」を今後も継続していきたいですね。体調不良になると不安で、どうしたら良いかわからなくなると思います。そんなときに思い出していただけるようなクリニックでありたいです。
【茉祐先生】患者さんに継続して通っていただくために、「ちょっと話に行こう」という感覚で来ていただきたいです。通院することが苦痛にならないことが大切ですから、患者さんにとって居心地の良い環境づくりをめざしたいですね。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

【恵介院長】患者さんに「ここに来れば悩みを解決してくれる」と思っていただけるような、アットホームなクリニックでありたいと切に願っています。私にできることは何でもしますし、女性の医師もおりますので安心して来てくださいね。
【茉祐先生】「糖尿病」と診断されても、しっかり治療ができてない方がいらっしゃいます。治療に対してネガティブな印象を抱いている方ほど当院に来ていただきたいですね。まずは気楽にお話ししましょう。できることからご提案しますので、ぜひお気軽に受診してみてください。