清水 信之 院長の独自取材記事
清水皮膚科クリニック
(福岡市博多区/雑餉隈駅)
最終更新日:2025/03/27

雑餉隈駅前と通いやすい場所にあるのが、1994年に清水信之院長が開業した「清水皮膚科クリニック」だ。花や季節ごとの上品なディスプレーが施された院内は、清水院長の人柄をそのまま映し出したように穏やか。この地域で育ち、九州大学で学んだという地元愛にあふれた清水院長。目を見てしっかりと患者の言葉を受け止め、その上で「なぜこの疾患になったのか」という原因までを丁寧に、わかりやすく説明する。勤務医時代には皮膚がんの治療にも多く携わり、今でも早期発見には力を入れているという。「何でも話してくださいね」と患者一人ひとりに共感し、ともに喜びや苦しみを分かち合いながら真摯に治療にあたる清水院長に、診察で大切にしている点や、治療スタンスなどを語ってもらった。
(取材日2021年2月27日/情報更新日2025年3月25日)
人の役に立てる医師として、生まれ育った地域に貢献
まず、先生が医師をめざしたきっかけなどからお聞かせください。

月並みですが、人の役に立てる職業として意識したのが医師でした。自分が一生懸命に頑張ることで誰かの役に立てる、マイナスになる要素がない仕事というのはなかなかありませんから。実際に働いてみるとそううまくいくことばかりではありませんが、頑張ったら頑張った分だけ人のためになる職業が医師なのだと感じます。進路として意識し始めたのは中学生から高校生頃だったと記憶しています。といっても、当時は漠然としたイメージしかなく、これもよくあることではありますが、有名な天才外科医の漫画などに憧れた部分もありましたよ(笑)。そういった中でも親も医療の道へ進むことを応援してくれましたし、地元九州大学の医学部に進学することができました。
その中で、皮膚科の道を選ばれたのですね。
もともと外科的な治療や手術に興味があったんです。当時、外科的な診療科の中でも形成外科が新しい分野として広がっていく時期で、それを自分の専門にしようと思いました。卒業後は九大皮膚科の形成外科診療班に所属し、九大での研修後は東京労災病院形成外科で研鑽を積みました。九大に戻ってからは主に皮膚腫瘍などに対する手術治療を行っていました。特に皮膚がんの方は多く診てきましたね。九大皮膚科では、九州一円、そして山口県などからいらっしゃる方もおられ、たくさんの手術を経験しました。また、手術などもこなしながら、外来ではアトピー性皮膚炎、湿疹、水虫といった一般的な皮膚疾患も診療してきました。
そうして研鑽を積み、開業に至ったのですね。この場所を選んだ理由は何だったのでしょう?

この近くのエリアが、私の生まれ育った場所なんです。出身高校は市内の筑紫丘高校でしたし、地元エリアに開業して地域に貢献したいという思いはしっかりと自覚していました。開業は1994年のことなので、30年以上たちますね。駅が近いので、ありがたいことに「電車に乗っていればすぐです」と大牟田市から来てくださる方もおられるんですよ。他にも、地元の友人が来て「久しぶり!」と話が弾むこともありますし、以前から診ていた小さかったお子さんが年月がたってお母さんになり、そのお子さんを連れて来ることもあって、ついうるうるすることもあります。小さい頃から見ているとまるで家族のように感情移入してしまうんですが、お一人お一人の変化や成長を見守れるというのはとてもうれしいことですよね。
コミュニケーションを大切に、二人三脚の治療を展開
患者さんとの交流をとても大切にされていらっしゃいますね。

診察において、コミュニケーションはとても大事です。皮膚科は赤ちゃんから年配の方まで幅広い患者さんがいらっしゃるところなのですが、年配の方には方言交じりに、そしてお子さんにもちゃんと目線を合わせながら丁寧に話しかけるようにしています。もともと人と接するのが好きなんですよ。その中でも特に心がけている点は、説明の丁寧さです。どういう病気なのか、どういうメカニズムでこうなっているのかという理由までしっかり説明します。といっても専門用語では難しくなってしまうので、「今は火事が起きている状態なのでなるべく早く鎮火させましょう」とか、アレルギーでは「コップいっぱいの水があふれた状態です」とか、わかりやすい例え話なども使っています。
患者さんにわかりやすいように、病気の原因も含めてしっかりお伝えするんですね。
「どういう病態で、だからそれを抑えるためにはこの薬を使うのです」という点の説明は欠かせません。疾患によっては虫さされやかぶれのように短期間で終わるものもありますが、慢性疾患の場合もあります。長期間になりそうだと考えられるものについては、お薬の影響も考えながらじっくり腰を据えて治していきましょうと声をかけます。患者さんお一人お一人の疾患に合った治療の選択をし、適宜軌道修正をしながら、患者さんとともに治療をしていくことが本当に大事ですね。例えば同じ疾患でもAという薬で効果が見込める人もいれば、Bという薬が有用な方もいます。なぜこうなったのか、だからこの薬を使用するという根拠の部分はきちんと伝えていきたいと考えています。
皮膚科治療では、軟膏の塗り方もとても重要だと伺いました。

そのとおりです。軟膏は塗り方次第で結果が大きく変わるんですよ。基本的にはよく塗り込むことが大事です。デスクに軟膏のサンプルを置いていますので、それを実際に私自身の腕や手などを使って「こう塗るんですよ」と説明していますし、その時も「潤いを閉じ込めるようにしてくださいね」など一言添えています。背中などで手が届かない場合は、隣の処置室で看護師が実際に塗るなど、なるべくどう塗るのかを理解していただけるように工夫をしています。内服薬と違って、外用薬はいつの間にか塗り方が自己流になっていたりもしますから。「どのくらいの量を、どうやって」を伝えるのも、治療の一環だと思っています。
「話してくれてありがとう」感謝の気持ちを忘れずに
そうしてもらうと、患者さんも安心して通えますね。

やはりコミュニケーションというのは一方通行では成り立たないんですよね。お体のことなので話しづらいこともあるかもしれませんが、しっかりと患者さんから情報を聞き出すことも治療においては大切なんです。だから親しみやすく話しやすい環境づくりはとても意識していますよ。幸い、私がこんな見た目なので、患者さんも怖く感じておられないようですね(笑)。何でも聞いてもらえると私もうれしいんです。モヤモヤがたまっていると患者さんも苦しいでしょう。患者さんの雰囲気などをくみ取りながら、そっと水を向けることも大事ですよね。時にはセカンドオピニオン的な意見を求めて来られる方もいます。薬の合う・合わないや、回復のスピードも個人差がありますから、やはり医師と患者さん、二人三脚でやっていく姿勢、「話してくれてありがとうございます」という気持ちは忘れないようにしています。
がん治療にも携わってきた先生ですが、クリニックでもそういった相談はありますか?
まわりから指摘されたり、ご自身で不安に思って足を運ぶ方も、やはりおられます。そうではなくとも診察時は常に、悪性腫瘍の見落としをしないように、と心がけています。実際のところ多くは良性ですが、悪性が疑われる場合はすぐに基幹病院を紹介します。大事なのは早期発見、早期治療です。もし手術などが必要だとしても、早めに治療に入れれば、治療も軽く、短く済みますから。こういったご相談でも「毛穴があって毛が生えているから大丈夫ですよ」など、皮膚の構造などと合わせて診断の根拠をお伝えすることを大事にしています。理由まで説明するとやはり患者さんもほっと安心されますからね。
今後も患者さんとのコミュニケーションを大切に、診察を続けていかれるんですね。

あくまで患者さん中心の治療である点はこれからも変わりません。治療法も日進月歩ですから、新しい治療法なども勉強しながら、患者さんの治癒を第一に続けていくつもりです。また、ニキビや肌荒れくすみなど、お肌のお悩みやスキンケアなどを含め、皮膚のことならなんでも相談していただきたいです。地元大学を出たので近隣には知り合いの先生も多いですから、自分の専門ではなくても、患者さんから「こんなことが気になっていて」と相談を受ければ、良い先生を紹介できるようにとも心がけています。これからも地域のかかりつけ医として、何でも相談してもらえるような存在でありたいと、そう思っています。