石橋 慶章 院長の独自取材記事
石橋医院
(北九州市八幡西区/新木屋瀬駅)
最終更新日:2026/05/29
馬場山西団地バス停から徒歩6分の場所にある「石橋医院」。1982年に石橋尚範前院長が開業し、2020年からは息子の石橋慶章先生が院長を務める、地域に根差したクリニックだ。「心に留めているのは、患者さんを放ったらかしにしないこと。今も父と力を合わせ、外来診療、訪問診療、そして胃カメラや痔の日帰り手術などに幅広く対応しています」と語る石橋院長。良いところは変えずに、患者が治療を受けやすくなるための新しい方法などは適宜取り入れていくという石橋院長に診療において大切にしていることや治療の詳しい内容などについて話を聞いた。
(取材日2023年5月26日)
父の思いを継ぎ「放ったらかしにしない医療」をめざす
前院長であるお父さまからクリニックを引き継いだそうですね。

父が開業したのは1982年で、40年以上前になります。そこから長く、この地域の方々のさまざまなご相談やお悩みに対応してきました。私が院長職に就いたのは2020年のことですが、現在、父もまだ診察に出ています。私が腹部エコー検査や胃カメラ(上部内視鏡検査)、手術、訪問診療を担当している間などは、父が変わらず対応してくれています。開業当初からの患者さんもいらっしゃいますので、患者さんの年齢層は比較的高めかもしれませんね。年を重ねるのに伴って糖尿病や高血圧、高脂血症など、生活習慣病の患者さんも増えてきています。なるべく症状が出る前に、対応できるように適宜検査を行うようにしています。開業当初より火曜日の午前中には糖尿病を専門とする先生にも来ていただいていて、糖尿病をしっかり治したいと思われている患者さんからは「近くに専門の先生がいてくれて助かります」といううれしいお声も聞かれます。
訪問診療ではどのようなご要望やご相談がありますか?
訪問診療の患者さんは、当院にもともと通っていたけれどご高齢になり、認知症になったり通院するための手段がないという方が多いです。基幹病院から、「自宅で緩和ケアを受けながら最期を迎えたいという方をお願いします」というご依頼を頂くこともあります。私は外科が専門で、基幹病院に勤めていた頃はがん治療にも携わっていました。私自身も当院に来てくださる患者さんのことを長く、できれば最期まできちんと診て、必要であれば看取りまで行いたいという思いがありますから、これまでのがん治療の経験も生かし、地域の方のお力になりたいという思いで訪問診療にあたっています。
外来診療ではどのようなご相談が多いですか?

診療科目にとらわれず、一般的な、いわゆる内科的な症状が多いですね。高血圧や糖尿病などの生活習慣病や、腹痛、吐き気、風邪症状などの急性期の症状をご相談いただくことがあります。また、外科出身ですのでけがや痔に関するご相談も多く聞かれます。私が大事にしているのは、当院の理念にもある「患者さんを放ったらかしにしない医療」をめざすという点です。以前私自身がとあるホームセンターで「草刈り機はありますか」と尋ねたところ「ありません」だけで会話が終わり、困ってしまったことがありました。これは医療も同じだと思うんです。「当院では対応していません」で終わるのではなく、担当の医療機関を、患者さんにお伝えする。特にご高齢の方が多い地域ですからインターネットにも慣れておられず、探すことが難しい患者さんもいらっしゃいます。患者さんが治療において路頭に迷うことは絶対に避けなければならないと、常に心に留めています。
定期的な胃カメラ、働き世代のためのオンライン診療も
幅広い疾患に対して、気兼ねなく相談できるクリニックなんですね。

それが当院のモットーであり、「地域のかかりつけ医」の役割だと思っています。何でも相談してくださるということは、それだけ信頼してくださっているという証拠でもあると考えています。父の代からそうでしたし、地域の皆さんの医療の入り口、つまりプライマリケアの役割を担うクリニックであることは、父の頃と変わらずにこれからも続けていくつもりです。地域のクリニックですので、検査や治療で遠方に行くことは患者さんの負担になります。ですので、当院でできる胃カメラや超音波検査、痔核や粉瘤などの手術を積極的に行うべく、日々研鑽することが大事なのだと考えています。
患者さんの負担を抑えつつ、疾患の早期発見に努めていらっしゃるんですね。
そのとおりです。例えば腹痛などの症状があり、胃カメラや腹部エコー検査が必要だと判断すれば検査をお勧めしますし、そこでクリニック以上の検査が必要だとわかれば信頼できる医療機関にご紹介します。胃カメラに限らず大腸カメラなども継続的に検査を受けることが大切です。私も診察時に「そろそろ次の胃カメラの時期ですね」などそれぞれの患者さんに応じたタイミングでお声がけをするようにしています。また、嘔吐反射により検査に嫌なイメージがつかないよう、患者さんのニーズに応じて鎮静剤を使用することも可能です。検査について不安なことなども何でも相談していただいて不安をなくし、ぜひ継続的に検査を受けていただきたいと思います。
働き世代の方への工夫などはありますか?

この夏を目処にオンライン診療を導入する予定です。30〜50代の働き世代の方は皆さんお忙しいですよね。同時に健康診断などで血圧や血糖の値が引っかかることも多くなる年代です。健康診断の結果で相談に来てくださっても仕事が忙しいから通院が長続きしない、という方もたくさん見てきました。でもそれでは悪化するのをみすみす見逃してしまうことになりかねません。そこでオンライン診療の導入を考えたのです。例えば、仕事の休み時間などのちょっとした時間を診察にあて、血圧などを確認し、必要であるお薬をきちんと続けてもらう。ほかにも「一回も胃カメラを受けたことがなくて……」といったご相談などももちろんお聞かせいただきたいですし、患者さんが治療を諦めないで済む関係性づくりの構築は、喫緊の大きな課題だと感じています。
痔の日帰り手術にも対応。看取りにも真摯に向き合う
患者さんが医療と接点を持ち続けることが、健康には大切なのですね。

その点は非常に意識しています。また院長が代替わりするとクリニックの雰囲気がガラッと変わって患者さんの足が遠のくケースもあるようですが、私はそうはしたくないと考えています。父は私の自由にさせてくれるタイプなのですが、やはり「急にクリニックの雰囲気が変わると患者さんは混乱するし、困ってしまわれる。患者さんのことを第一に考えてやっていきなさい」とは言われていて、その言葉も大切にしています。患者さんとしっかり話し、そこからお悩み解決のヒントを見つけ、当院では難しいことがあれば別の科のクリニック・病院などを紹介する。そういう体制はしっかりと守り続けていくつもりです。
ほかにお父さまから影響を受けたことなどはありますか?
父は毎日、患者さんが何を言っていたのかやその患者さんの問題点など、その日の振り返りをしていました。私にもそうしろとは言ってはいないのですが、私もそれに倣って、できるだけ丁寧に患者さんとのやりとりを振り返るようにしています。そうすると次回の検査の時期や何をするべきかなども見落とさずに済みます。また、基幹病院が比較的遠いため、これまでクリニックでできる検査や治療をなるべく行えるように診療をしていましたので、私の代になってからは、痔の日帰り手術も行うようにしました。ALTA療法といって注射を使用した手術で、痛みも少なく、近くのクリニックで治療を受けられることは、患者さんにも喜んでいただけるのではないでしょうか。周辺だけではなく、少し離れたエリアから来院される方も多いですよ。
今後、クリニックをどのようにしていきたいとお考えですか?

前述したように、オンライン診療など患者さんが治療や健康管理を続けやすいものは取り入れ、そして患者さんからのニーズにもできる限り応えていきたいですね。患者さんにきちんと通い続けてもらい、健康状態に変化がないかに目を光らせて予防をし、何かあれば適切な医療機関につなぎ、ご本人やご家族の希望があれば看取りまでお付き合いしていく。地域のかかりつけ医がやれることはそこに尽きるのだと思います。「患者さんを放ったらかしにしないにしない医療」をめざしていますから、何でも、気兼ねなくご相談くださいね。

