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田中 温 院長の独自取材記事

セントマザー産婦人科医院

(北九州市八幡西区/折尾駅)

最終更新日:2025/10/15

田中温院長 セントマザー産婦人科医院 main

折尾駅から徒歩6分の「セントマザー産婦人科医院」は、1990年に田中温(あつし)院長が開業したクリニック。当時は分娩も行っていたが、現在は不妊治療専門クリニックとして日本国内のみならず海外からの患者・ドクターの受け入れも行うなど、幅広い活動と治療を展開している。「女性不妊はもちろん、無精子症などの男性不妊にも力を入れています」と、不妊治療のエキスパートとして数々の実績を残してきた田中院長。さまざまな研究者と協力体制を組みながら、新しい不妊治療の発見にも尽力しているとか。そんな田中院長が大切にしているのは「自分の最も大切な人だと思って患者さんに接すること」。夜間・休日も予約制で診察を行うなど、常に患者を第一に考える田中院長に、不妊治療に対する熱い思いを語ってもらった。

(取材日2022年7月6日/情報更新日2025年9月22日)

生殖医療のエキスパートとして、さまざまな治療を実践

まずは不妊の原因から教えてください。

田中温院長 セントマザー産婦人科医院1

皆さんもご存じでしょうけれど、不妊の原因は女性だけではありません。男性が原因であることも多いですね。とはいえ、男性不妊は精子がいれば、ほとんど顕微授精という技術で何とかなると考えています。男性不妊は以前よりもかなり減少してきましたが、特に非閉塞症無精子症の場合は精子の回収率が低く、精子の奇形や運動率の低さなどもあるため、MD-TESE(顕微鏡下精巣内精子採取術)を繰り返さなければいけません。経済的・精神的な負担につながりますし、深刻な問題です。そのため、当院では顕微授精の技術を駆使し、1~2匹の精子でも凍結保存する技術を開発しています。精巣内の精子が少なく、凍結への抵抗性も低いため、必ず成功するわけではありませんが、凍結保存を検討してもらいたいですね。なお、女性不妊は閉経というタイムリミットがあります。そのため、不妊の原因としては加齢がクローズアップされてきているように思います。

加齢が関係しているとなると、不妊治療は若いほうが良いのでしょうか?

35歳以上の妊娠率は一気に低くなりますので、不妊治療は若ければ若いほうが良いでしょう。なかなか不妊治療に踏み出せない患者さんも多いと思いますが、特に女性の加齢が大きな影響を及ぼすことを理解していただきたいですね。現在は不妊治療が保険適用となりますので、経済的な負担も少ないはずです。また、40歳以上では、卵巣の機能や妊娠率は極端に低下していきます。卵子の数が減少し、染色体異常が増えるだけでなく、着床率や流産率も高まります。保険適用の回数も3回に減りますので、年齢に合わせた排卵誘発法を選択することが重要です。

産婦人科を志した理由や、これまで取り組んできた不妊治療についても教えてください。

田中温院長 セントマザー産婦人科医院2

産婦人科の道に進んだのは、同じく産婦人科のドクターである父と兄の影響が大きいです。その中で私が興味を持ったのが、発生学。受精卵という一つの細胞から始まり、劇的な変化の過程を経て成体になる、この過程を観察・研究する分野でした。つまり、人類の誕生に興味を持ち、産婦人科への道を選んだのです。順天堂大学卒業後は、埼玉の越谷市立病院で治療法の開発にも携わりながら、体外受精に力を尽くしました。その中でも、私の原点と言っていいのが「いつ排卵するか」を知ること。妊娠率を上げるためには、状態の良い卵子を得ることが大事なのです。当時は容易に排卵日がわかるわけではなかったので、苦労も多かったですね。

「他院では妊娠できなかった」という患者さんも多く来られていますか?

多いですよ。今の患者さんは非常に熱心に不妊治療について調べておられ、私たちも舌を巻くほどです。しかし、情報は玉石混交。大事なのはそのご夫婦に合った治療法を提案することです。例えば「この治療を行いたい」という意思を持って来院されたとしても、それが30代の女性なら適しているけれど、40代であれば別の方法ではないと難しい場合もあります。

夫婦とその周囲の人のことを第一に、ベストな治療法を

研究者とタッグを組むことも多いそうですね。

田中温院長 セントマザー産婦人科医院3

臨床と研究は両輪ではないといけないと考えています。例えば、生物学者でありハワイ大学の名誉教授でもあられた柳町隆造先生には、生前懇意にしていただいておりました。よく「これについて勉強しなさい」なんて宿題を出されることもありました。研究者の方々の研究結果は素晴らしいものですが、その過程でできた培養液などもまた、不妊治療に生かせる可能性があるのです。それらを応用し、治療に役立てるのが私たちドクター。新しい発見を患者さんの治療へとつなげる橋をつくるのも、私たちの役割ですね。

そういう情報を、患者さんにどうお伝えするのでしょうか?

不妊の理由もそれぞれだとお伝えしています。年齢以外にも、子宮内膜炎の内視鏡検査など着床に関する検査も行い、情報を整理した上で「あなた方の原因はこれです。今何歳なので、この治療がふさわしいでしょう」と膝を突き合わせてお話しするようにしています。不妊治療で最も大切なのは、信頼できる主治医を見つけること。わからないことや今後の治療方法など、主治医にいろいろ協力してもらうことこそが、一番の近道ではないでしょうか。

スタッフさんたちには、どのように患者さんに接してほしいとお考えですか?

田中温院長 セントマザー産婦人科医院4

「目の前の患者さんを、家族や兄弟、家族以外の大切な方など、自分にとって一番大切な人だと思いましょう。そうすれば、おのずとベストな治療法を見つけたり、対応ができたりするはずです」と伝えています。これはほかのドクター、事務員、そして清掃にいらっしゃる方などすべてのスタッフに共通していますね。それに、不妊の原因がたとえご主人にあったとしても、子どもができないことを一番心苦しく思っているのは、奥さまのお母さまです。娘さんが妊娠・出産までたどり着けたなら、安堵して涙されるお母さまは少なくないはずです。時代錯誤に思えるかもしれませんが、そういう考えの方もおられるのです。治療はご夫婦だけのものではありません。ご家族などの周りの方の思いも、スタッフは一緒に背負うべきなのです。

信頼できるドクターに出会うことが最も大切

こちらでは夜間・休日の時間外診療にも対応しておられますね。

田中温院長 セントマザー産婦人科医院5

遠方からの方もいますし、近年は共働き夫婦も多いので、夜間・休日ではないと通院が難しい方もおられます。不妊治療の原則は、私が越谷市立病院で研鑽を積んだように、排卵日を正確に把握することです。しかも、卵子の状態が良好な時間は12時間ほどしかありません。服薬によって排卵をコントロールすることも可能ですが、自然な状態での排卵が、妊娠率を上げる要因の一つであると確信しています。クリニックの都合で患者さんの排卵日をコントロールするのではなく、患者さんのためにいつでも受け入れる体制を取っておく姿勢が大切だと、私は考えています。

不妊治療が保険適用となりましたが、メリットや課題があればお聞かせください。

率直に良いことだと思います。お子さんを諦めていた方が、保険診療になったことで治療や妊娠に前向きになってくださるのは、私たちにとっても喜ばしいことです。保険適用によって、これまでは見なかった20代などの若いご夫婦の姿も増えました。結果は非常に良好だと感じていますし、年齢が若いほど、良い結果が出やすいということも、これから身をもってお知りになる方が増えていくのではないでしょうか。これが広がると、日本のART(生殖補助医療)の成功率が世界各国と比べて著しく低いという結果が好転してくると期待しています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

田中温院長 セントマザー産婦人科医院6

最も早く目的をかなえるためには、信頼できるドクターに出会うこと。これに尽きるでしょう。私たちも「このご夫婦には絶対にお子さんを授かってほしい」と思って治療しています。目の前にいる患者さんを自分にとって最も大事な方だと思い、ベストな治療をめざしていきます。ベストとは一個しかありませんので、その治療を求めて対応していけば、良い結果につながるはずです。そして、患者さんとの信頼関係も向上していくのではないかと思います。患者さんも「このドクター・クリニックなら、万が一悪い結果になっても後悔はしない」と思えるような人間関係を築いてほしいですね。もちろん私も、そういうドクターでありたいと思っています。

自由診療費用の目安

自由診療とは

体外受精:33万円~、顕微授精:38万5000円~、凍結胚移植:22万円~
※卵の個数により増減あり、詳しくはセントマザー産婦人科医院のホームページにてご確認ください。
※自費診療での費用であり、保険適応の場合は変わります。

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