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田中 温 院長の独自取材記事

セントマザー産婦人科医院

(北九州市八幡西区/折尾駅)

最終更新日:2022/09/12

田中温院長 セントマザー産婦人科医院 main

折尾駅から徒歩6分の場所にある「セントマザー産婦人科医院」は、1990年に田中温(あつし)院長が開業したクリニック。当時は分娩も行っていたが、現在は不妊治療専門クリニックとして日本国内のみならず海外からの患者・ドクターの受け入れも行うなど幅広い活動と治療を展開している。長年、不妊治療のエキスパートとして、数々の実績を残してきた田中院長は、現在もさまざまな研究者と協力体制を組みながら、新しい不妊治療の方法の発見にも尽力している。そんな院長が大切にしているのは「自分の最も大切な人だと思って患者さんに接すること」。夜間・休日も予約制ではあるが診察を行うなど、患者を第一に考えて常に行動を起こす院長に、不妊治療に対する熱い思いを語ってもらった。

(取材日2022年7月6日)

生殖医療のエキスパートとしてさまざまな治療を実践

こちらは不妊治療専門のクリニックと伺いました。海外からも患者さんが来られるそうですね。

田中温院長 セントマザー産婦人科医院1

日本国内はもとより、サウジアラビアやイスラエル、オマーン、モンゴル、ロシア、UAEなどからも患者さんがいらしています。皆さんももうご存じでしょうけれど、不妊の原因は女性だけにあるのではありません。無精子症など、男性が原因であることも多いですね。しかし、特にイスラム教などでは夫婦以外での性行為は重罪です。その考えは不妊治療でも同様にあり、このような宗教観によって子どもを諦めざるを得ないかもしれない方たちも大勢おられます。そこで、受精できる状態の精子を採取し顕微授精を行うなどの当院の技術に光を見て、はるばるいらっしゃることも多いのです。

産婦人科を志したきっかけや、これまで取り組んできた不妊治療について伺います。

産婦人科の道に進んだのは、同じく産婦人科のドクターである父と兄の影響が大きいです。その中で私が興味を持ったのが、発生学といって、受精卵という一つの細胞から始まり、劇的な変化の過程を経て成体になる、この過程を観察・研究する分野でした。つまり人類の誕生に興味を持ち、産婦人科への道を選んだのです。順天堂大学を卒業後は埼玉の越谷市立病院で治療法の開発にも携わり、体外受精の成功率向上に力を尽くしました。その中でも私の原点と言っていいのが「いつ排卵するか」を知ること。妊娠率を上げるためには、状態の良い卵子を得ることが大事なのです。しかし当時は容易に排卵日がわかるわけではなかったので、苦労も多かったですね。

「他院では妊娠できなかった」という患者さんも多く来られていますか?

田中温院長 セントマザー産婦人科医院2

多いですよ。今の患者さんは非常に熱心に不妊治療について調べておられ、私たちも舌を巻くほどです。しかし情報は玉石混交。大事なのはそのご夫婦に合った治療法を提案することです。例えば「この治療を行いたい」という意思を持って来院されたとしても、それが30代の女性なら適しているけれど、その方が40代であれば別の方法ではないと難しい場合があります。そういう正しい情報を患者さんにお伝えし、ともに治療を考えていくのが、ドクターの最大の使命でもあると考えています。そのためにも日々、新しい研究結果がないかなどをチェックし、必要があればすぐにその研究者にコンタクトを取ります。

夫婦とその周囲の人のことを一番に思って行動する

研究者とタッグを組むことも多いのですね。

田中温院長 セントマザー産婦人科医院3

臨床と研究は両輪ではないといけないと考えています。例えば、生殖生物学者であり、現在はハワイ大学の名誉教授でもあられる柳町隆造先生とも仲が良いんですよ。よく「これについて勉強しなさい」なんて宿題も出されます。研究者の方々の研究の結果は素晴らしいものですが、その過程でできた培養液などもまた、不妊治療に生かせる可能性がある、ということもあるのです。それらを応用し、治療に役立てるのが私たちドクターです。新しい発見を患者さんの治療へとつなげる橋をつくるのも、私たちの役割の一つなのです。

そういう情報を、患者さんにどうお伝えするのでしょうか?

不妊の理由もそれぞれだとお伝えしましたね。ですので検査をし、「あなた方の原因はこれです。今何歳なので、この治療がふさわしいでしょう」と情報を整理して、診察でじかに、膝を突き合わせてお話しすることが大事ですね。インターネットや本など、文字で覚えるのは難しいですし、ご夫婦に合っているかも不確かです。しかし検査結果を受け、ドクターと直接目を合わせて聞いた知識は、必ず“自分ごと”として身につきます。

スタッフさんたちには、患者さんに対しどのように行動してほしいとお考えですか?

田中温院長 セントマザー産婦人科医院4

「目の前の患者さんを、家族や兄弟、家族以外の大切な方など、自分にとって一番大切な人だと思いましょう。そうするとおのずとベストな対応ができるはずです」と伝えています。これはほかのドクター、事務員、そして清掃にいらっしゃる方などすべてのスタッフに共通しています。それに、不妊の原因がたとえご主人にあったとしても、子どもができないことを一番心苦しく思っているのは、奥さんのお母さまです。妊娠・出産までたどり着いた娘に、安堵して涙される母親は少なくないはずです。時代錯誤に思えるかもしれませんが、そういう考えの方もおられるのです。治療はご夫婦だけのものではありません。ご家族などの周りの方の思いも、スタッフは一緒に背負うべきなのです。そしてそれを解決できるのが、日々の研究であり、臨床です。歩みを止めることはありません。

信頼できるドクターに出会うことが最も大切

こちらでは夜間・休日の時間外診療にも対応しておられますね。

田中温院長 セントマザー産婦人科医院5

遠方からの方もいますし、近年は共働き夫婦も多いので、夜間・休日ではないと通院が難しい方もおられます。不妊治療の原則は、私が越谷市立病院で研鑽を積んだように、排卵日を正確に把握することです。しかも卵子の状態が良好な時間は12時間ほどしかありません。服薬によって排卵をコントロールすることも可能ですが、自然な状態での排卵が、妊娠率を上げる要因の一つであると確信しています。クリニックの都合で患者さんの排卵日をコントロールするのではなく、患者さんのためにいつでも受け入れる体制を取っておく姿勢が大切だと、私は考えています。

2022年4月より不妊治療に保険診療が適用されるようになったことに対してはどうお考えですか?

率直に良いことだと思います。これまでは見なかった20代などの若いご夫婦の姿も増えました。お子さんを諦めていた方が、保険診療になったことで治療や妊娠に前向きになってくださるのは、私たちにとっても喜ばしいことです。前述したようにまだまだ古い考えを拭えない方もいますし、そのような方の心を救う一助として活用してくださると良いですね。私も今後は当院のホームページのあり方を文字ベースから動画ベースにガラッと変更するつもりでいます。診察と同様に、音声・動画というのは相手にダイレクトに訴えかけるものがあると感じています。そういう情報提供の方法にもチャレンジしていきたいですね。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

田中温院長 セントマザー産婦人科医院6

最も早く目的をかなえるためには、信頼できるドクターに出会うこと。これに尽きるでしょう。私たちも「このご夫婦には絶対にお子さんを授かってほしい」と思って治療しています。だから患者さんも「このドクター・クリニックなら、万が一悪い結果になっても後悔はしない」と思える人間関係を築いてほしいと思います。そのためには当院ではなくてもいいんです。人間ですから相性もありますし、通いやすさなどもあるでしょう。その中にあって、自分たちのことをすべて理解し、何に悩んでいるのか、問題をしっかりと把握しているドクターを見つけることができれば、きっといい結果が得られるのだと思います。もちろん私も、そういうドクターでありたいと思っています。

自由診療費用の目安

自由診療とは

体外受精:33万円~、顕微授精:38.5万円~、凍結胚移植:22万円~
※卵の個数により増減あり、詳しくはセントマザー産婦人科医院のホームページにてご確認ください。
※自費診療での費用であり、保険適応の場合は変わります。

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