貞元 健一 院長の独自取材記事
貞元内科医院
(北九州市小倉北区/旦過駅)
最終更新日:2026/06/02
旦過駅から徒歩6分。糖尿病や高血圧症など生活習慣病を中心に、地域患者の幅広い主訴に対応する「貞元内科医院」。1972年に開業し、現在は貞元健一先生が2代目院長を務める。貞元院長は、クリニックを継ぐことを念頭に、九州大学病院や九州がんセンター、門司メディカルセンター(旧・門司労災病院)などの基幹病院から町の小さな診療所までさまざまな場所で研鑽を積み、継承後は地域患者の声に日々耳を傾けている。食事や運動指導が不可欠な糖尿病の治療においても、患者ができなかったことを責めることはせず、「どうすればもっと良くなるか」をともに考えていく姿勢だ。かわいらしいイラストが飾られた診察室で、「地域の皆さんと、ともに長く生きていくことを大事にしたいです」と、穏やかに語る貞元院長に、診療スタンスなどについて聞いた。
(取材日2026年4月13日)
「患者と一緒に」をキーワードに、幅広い診療を展開
先生は2代目院長だと伺いました。

父が開業したのが1972年、私がクリニックを継いだのは2005年のことです。父は血液を専門とし、私は膵臓を中心とした糖尿病と消化器病を専門としております。私もいずれ当院で幅広い患者さんを診ることを前提とし、さまざまな場所で研鑽を積んできました。福岡大学医学部を卒業後は九州大学病院や門司メディカルセンター、九州がんセンター、福岡県済生会飯塚嘉穂病院、さらには佐賀県や長崎県の地方に赴き、大規模病院とは違う小さな診療所ならではの学びも得ました。小さい頃から患者さんたちに「後継ぎ」という期待の目で見られていたので、自然と幅広い診療ができるようになろうと考えていたように思います。
患者さんはどのような方がいらっしゃっていますか?
一般的な風邪や腹痛はもちろんですが、糖尿病や高血圧症といった生活習慣病のご相談がとても多いです。比較的高齢の方が多いですが、中には20代の糖尿病患者さんもおられます。会社の健康診断をきっかけに、当院に通ってくださるようになりました。若い世代の糖尿病患者さんは年々増えてきている印象です。また、認知症の治療にも対応しており、デイケア施設やグループホームも併設しています。これは父が早い段階で、将来的に認知症のケアや介護などの必要性が高まるのではとの思いから設置したと聞いています。当院に隣接しているため、もし何かあればすぐに私が施設に赴きます。
患者さんと接する際に心がけていることは何ですか?

患者さんを叱る、ということはありませんね。昔の先生たちは「何で来ないんだ」などと患者さんに強く言うことも多かったようですが、そういう先生は、今はもう少ないのではないでしょうか。私は、たとえ患者さんが3ヵ月ぶりにいらしたとしても、「来てくださったのか、お変わりがないようで何よりだ」と、心の中でほっとしています。診療では、まず患者さんの声に耳を傾けることが大前提です。医師として伝えるべきことがあったとしても、患者さんはそれぞれできることが違います。仕事で忙しい方もいれば、家庭の事情を抱えている方もいるでしょう。だからこそ、「患者さん自身がどうしたいのか」という気持ちをしっかりとくみ取り、一緒に考えていくことを大切にしています。治療で必要なことを事務的に伝えるだけでなく、診療を重ねる中で信頼関係を築きながら、患者さん自身のいろいろなことをお聞きするよう心がけています。
漢方薬も活用し、患者一人ひとりの体と向き合っていく
糖尿病の患者さんが多いとのことですが、どのようにお声がけをされていますか?

「1日何キロカロリーに抑えて」「1日30分歩いて」と伝えるだけでは、なかなか達成しづらいですよね。できない場合も「じゃあ、こういうふうにしてみてはどうでしょう」と、話を聞きながら一緒に考えていくようにしています。例えば、糖尿病患者さんが働き盛りの場合、残業などで夕飯が遅くなりがちで、朝昼を抜いて夜に食べ過ぎてしまうことも。そういったケースには「途中でちょっとおやつを食べて、夕飯の量を減らしてみては」というように、生活に寄り添ったアドバイスをすることを心がけています。糖尿病で怖いのは合併症です。HbA1cが7%以上になるとリスクが高まるため、6%台の維持を目標にしています。自覚症状が出にくいからこそ、定期的な通院でコントロールを図るという考え方がとても大事ですね。食欲をコントロールするための注射など、進化する糖尿病治療にも常にアンテナを張り、取り入れられるものは積極的に採用しています。
患者さんができる範囲でのアドバイスをされているのですね。
頑張って運動をしているのになかなか血糖値が改善しないなどとなると、何がそれを邪魔しているのかを考える必要がありますね。そういった時に先ほどのような「夜に食べ過ぎる」などといった“偏り”があることがわかれば、そこから解きほぐしていけますからね。患者さんお一人お一人がどんな生活をし、何に困っているのかをしっかり聞きながら、一緒にできることを少しずつ考えていくのが、当院のスタイルなのだと思います。もちろん、言うべきことはきちんと言いますよ。特に最初は症状を自覚してもらう必要もありますからね。ただ、一方的にこちらから「こうしなさい」とだけを言うことはありません。
診察で意識的に取り入れているものはありますか?

漢方薬は意識して取り入れるようにしています。女性の冷え性や腹痛、高齢者の足腰の冷えやしびれなど、さまざまな場面で活用できるものです。患者さんのお話を聞いてみて「合うのではないか」と思えば、「一度飲んでみませんか?」と、ご提案します。希望される方にはまず漢方薬を中心に考えますし、希望されていなくても合いそうだと感じれば積極的にご提案するようにしています。診断がつきづらい不定愁訴などに用いることもありますね。ただ、ここでも押しつけることはしません。提案し、症状などを見ながら患者さんと一緒に考えていくものだと思っています。
患者とともに、健康維持のための方法を探し続ける
お話を聞いていると「患者さんと一緒に考える」というのが診療の軸にあるように感じます。

そうかもしれませんね。昔は入院用の病床もありましたし、幼い頃から父が患者さんに献身的に尽くしている姿を見ていたので、父のことも尊敬していました。開業は私が幼稚園に通っていた頃で、ずっとその背中を見ていましたし、患者さんたちからもかわいがられていたと思います。今でも「こうしてみたら?」と、患者さんからアドバイスをもらうこともあるくらいなんですよ(笑)。弟は消化器内科、妹は眼科でそれぞれ開業医として働いていますし、父の影響は本当に大きいと思います。大腸内視鏡検査を希望される方などには、大腸内視鏡のエキスパートである弟のクリニックを紹介していますよ。
お忙しい毎日かと思いますが、先生の息抜きは何ですか?
もともとは文化系なのですが……マラソンをしています。一日中診療していると運動不足が気になり、スポーツクラブに通いはじめたのがきっかけです。最終的な目標にしていたのがハワイで行われるフルマラソンの完走でした。実際に参加してみるとフルマラソンの魅力にすっかりはまってしまいました。現地で出会ったマラソン仲間は全国各地にいて、今も連絡を取り合っています。以前ほどではありませんが、今も時々各地のマラソン大会に出場していますよ。また、学生時代に吹奏楽部でフルートを担当していたこともあって、クラシック音楽もよく聴きます。待合室に流しているのもクラシック音楽なんですよ。最近は再びフルートを演奏するようにもなりました。心身ともにリフレッシュしながら、これからも患者さんとしっかり向き合っていきたいですね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

生活習慣病を中心に、皆さんの健康維持を支えるお手伝いをしていきたいと考えています。病気を治療することはもちろんですが、それ以上に「良い状態をいかに保つか」を意識しています。健康診断で気になる数値が出たときは、ぜひ早めにご来院ください。悪化する前に対処し、長くお付き合いしながら一緒に健康を守っていきたいと思っています。地域に根差したクリニックだからこそ、地域の皆さんが長く健康に生きていけるよう、焦らずゆっくり、しっかりと治療を続けていくつもりです。

