内藤 圭祐 副院長の独自取材記事
医療法人おおごう会 大郷内科クリニック
(北九州市小倉北区/南小倉駅)
最終更新日:2025/05/30

南小倉駅から徒歩約13分の場所にあり、開院から25年以上、地域の健康を守ってきた「大郷内科クリニック」。大郷勝三(おおごう・しょうぞう)理事長の専門分野は内分泌系と代謝を中心とした糖尿病治療。手遅れにならないよう、血液検査をはじめとする各種検査で病気の早期発見や予防に尽力している。内科全般を幅広く診療する副院長の内藤圭祐先生は、特に呼吸器内科の分野で研鑽を重ねてきた医師だ。同院の特徴は、風邪症状や生活習慣病などの外来から通院困難な人への訪問診療まで、切れ目なくサポートできる体制が整っていること。「一人の患者さんをずっと見守っていけるのは、医師としてこの上ない幸せです」と目を細め、穏やかに語る内藤副院長に、同院の診療形態から今後の展望に至るまで、幅広く話を聞いた。
(取材日2024年7月18日)
家族丸ごと診てもらえる地域密着型のクリニック
まずはクリニックの歴史からお聞かせいただけますか?

1998年に、ここから徒歩ですぐの場所に当院の理事長兼院長が開院したのが始まりです。こちらへ移転したのが2007年。25年以上にわたり地域密着型のクリニックとして日々診療にあたっています。私は2018年より勤務を開始しましたので、開院時のことやこれまでの歩みは患者さんのほうが詳しいくらい、ずっと来られている方もたくさんいらっしゃいます。私自身に関しては、東京出身で大学も三鷹にある杏林大学を卒業。その後、北九州総合病院に入職し、2年間経験を積ませていただきました。その後も総合病院などを中心に、総合診療や呼吸器分野の医療に従事。ここでの勤務は6年ほどですが、北九州に来てからは15年くらいになります。
数ある診療科の中で、総合診療と呼吸器分野を選択された理由も教えてください。
もともと呼吸器内科の医師になりたいという気持ちはあったのですが、幅広いスキルを磨きたかったため、まず総合診療部門がある麻生飯塚病院で経験を積ませてもらい、その後産業医科大学の呼吸器内科に入局。関連病院の呼吸器内科でも診療にあたりました。内科志望ではあったものの、その中でも手技がある分野に魅力を感じたことと、呼吸器疾患の患者さんが多い北九州総合病院で初期研修を受けたこともこの分野を選択した理由です。実際に診療を行う中で患者さんに寄り添う場面が多々あり、そういった面も自分に合っていると思ったんですよね。呼吸器疾患の患者さんは、息苦しい症状で苦しんでいる方が多く、治療をしても改善が難しい病気の方もいらっしゃいます。重度の肺結核後遺症や慢性閉塞性肺疾患もそうですが、壊れてしまった肺は元には戻らないので、そういう状態の方にいかに寄り添っていくかということも医師としてやりがいを感じました。
先生は呼吸器だけでなく、日本内科学会総合内科専門医の資格も取得されたそうですね。

ええ、呼吸器疾患を抱えている方の中には、他の病気も併せ持った方が少なくありませんので、総合的に診ることができれば患者さんも心強いでしょうし、私自身そういう医師になりたいと思ったんです。総合病院だと紹介状を持って来られる方が多く、すでに重篤化していることも少なくありません。しかし、ここではそうならないための予防や早期発見に力を注ぐことができ、なおかつ症状が出ている方への治療にも取り組むことができるという点に医師としての喜びを感じています。そして、患者さんとの距離の近さもクリニックならではの魅力。外来診療だけでなく、高齢などの理由で通院困難な方には訪問診療も行いますので、より患者さんとの距離を近く感じられるのだと思います。
各ライフステージを切れ目なくサポートできる診療を
外来診療と訪問診療はどのような体制で行われているのですか?

私が外来診療を担当している曜日は理事長が訪問診療を実施。逆に理事長が外来診療を担当している曜日は私が訪問診療を行うというスタイルで、外来と訪問を理事長と交代で行いながら診療しています。外来診療では、風邪症状をはじめ、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病、咳や息苦しさなどを訴えて来られる方など、患者さんの主訴は幅広く、最近は熱中症の方も増えてきました。それから、当院は認知症診療にも注力していますので、最近物忘れがひどくなってきたと来院される方や、ご家族からの相談もあります。割合からいうと、高齢者の方が若干多い印象ですが、特定健診や各予防接種も行っていますので、患者さんのお子さんやお孫さんも一緒に受診されたりと、年齢層は幅広いですね。
各ライフステージを切れ目なくカバーできる体制が整っているのですね。
そこが当院の強みであり、大きな特徴だと思います。そして、皆さんがいつまでも健康で暮らせるよう、各種健診にも注力。地域の健康寿命延伸をめざし、病気の早期発見・早期治療に向けた定期健診の重要性も呼びかけています。健診だけでなく、さまざまな検査ができる環境も整っており、必要に応じて炎症反応、血糖値、ヘモグロビンA1cなどの数値を測る血液検査、尿検査、エックス線検査、肺機能検査、心電図や24時間の心電図が記録できるホルター心電図、骨密度、超音波、自宅で行える睡眠時無呼吸症候群の簡易検査、血管年齢などの検査を実施。ほとんどの検査は当日に結果がわかりますので、迅速な対応が可能です。
疾患が見つかった際の治療に関しては、どのようなアプローチをされるのでしょう。

どの病気に関しても、ご本人の希望や状態に合った治療を心がけています。例えば気管支喘息であれば、吸入のお薬が1日1回と2回のものがありますし、やり方が簡単なものとそうでないものなど種類も豊富。簡単なほうは吸う力が必要になりますので、患者さんの状態、生活パターン、ご希望によって適しているものをご提案しています。それと同時に、生活習慣の改善が必要な方には簡単な運動法などのアドバイスも。私が診療において最も大事にしているのは、患者さんの声をしっかり聞くこと。診断する上で、患者さんからの情報はとても重要です。それをもとに診察、検査、診断という流れで進めていきますので、最初のヒアリングには時間をかけています。
3つの柱である「予防」「治療」「訪問診療」に注力
一方、訪問診療に関してはご家族からの相談も多いのでは?

多いですね。ご自宅に伺った際、ご自身で症状を伝えるのが難しい方もいらっしゃいますので、普段患者さんと接しているご家族からの情報は非常に重要で、治療を進めていく際の大事な情報源になります。今、理事長と交代で外来と訪問診療を行っていますが、出張などが入った場合は、他の施設で勤務している医師の妻に助っ人として外来を担当してもらうこともあります。総合病院など大きな病院では、外来から訪問診療まで、一人の患者さんを切れ目なく診ることはどうしても難しく、その点においては非常に残念に思っていましたが、ずっと見守っていける環境に身を置いている今、とても充実した日々を過ごさせていただいています。
外来に訪問診療にとお忙しい日々をお過ごしですが、休日はどのように過ごされているのですか。
家族サービスですね。私自身、スポーツが好きなので、子どもと公園でキャッチボールをしたり、たまに野球観戦に行ったりしています。同じ年代のお子さんやお孫さんがいる患者さんも多いので、子どもたちの話で盛り上がることも。そういった意味では、日々の生活も診療に生かせていると思います。子育て中の方は、悩みを共有することもできますしね。理事長も私も患者さんとのコミュニケーションを大事にしていますので、近い存在に感じていただいているのではないかと思います。
最後に今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

生活習慣病予備軍の方には食習慣などの改善を呼びかけ、すでに発症してしまった方にも生活の改善やお薬などでコントロールしながら良い状態を維持できるサポートに力を注いでいきたいです。また、高齢で通院困難になった方には訪問診療を行い、今後も地域の健康を担うクリニックとして、皆さんの各ライフステージを見守っていけたらうれしいですね。小児喘息のお子さんを持つ親御さんの中には、小児科を受診すべきか、専門のクリニックで診てもらうほうが良いのかわからないといった方も多いのではないでしょうか。当院ではお子さんの喘息も診ていますので、気軽に来院ください。また、帯状疱疹をはじめとする各種予防接種にも対応しております。年代問わず、全身をさまざまな角度から幅広く診ることができるため、体調が優れないときは、早めにご相談いただければと思います。