右田 博文 院長、右田 巳賀 副院長の独自取材記事
くろき・ひろクリニック
(北九州市小倉北区/南小倉駅)
最終更新日:2025/09/09

初代院長の時代から、70年以上にわたり地域医療を担ってきた「くろき・ひろクリニック」。形成外科を専門とする右田博文(みぎた・ひろふみ)院長と、内科を専門とする右田巳賀(みぎた・みか)副院長が2人体制で診療にあたり、幅広い年齢層の患者を支えている。巳賀副院長は、糖尿病や高血圧症など生活習慣病の診療に力を入れ、家庭血圧の活用や持続血糖測定の導入支援など日常生活に即した治療を実践。博文院長は、眼瞼下垂症や皮膚腫瘍など形成外科分野で誠実な説明と適切な対応を重視。そんな博文院長と巳賀副院長に、同院の診療、医師として大切にしていることについて話を聞いた。
(取材日2025年8月5日)
内科と形成外科を併設し地域に根づいた診療を提供
形成外科と内科それぞれの主な診療内容を教えてください。

【博文院長】私たちは1997年に前院長からクリニックを引き継ぐかたちで、内科と形成外科の2本柱による診療体制をスタートしました。形成外科では、外傷や再建、先天異常の診療、そして美容のご相談にも対応しています。一番手術例が多いのは、眼瞼下垂症といって、加齢でまぶたが下がってくる症状です。頭痛や肩凝りなど、それによって引き起こされる身体的な症状を訴えられる方も少なくありません。
【巳賀副院長】内科では、一般的な内科診療はもちろん、糖尿病の専門的な診療に力を入れています。小児科は、小児期の疾患や体調不良、不登校など、さまざまな悩み事で来られますので、必要に応じて専門の医療機関へおつなぎすることもありますね。アレルギー疾患や、女性の月経周期にまつわる症状、更年期の症状などのご相談も多く、漢方の知見も合わせて、患者さまの体を総合的に診ることを日々心がけています。
副院長は漢方もご専門だとか。
【巳賀副院長】漢方の処方で多いのは、月経や更年期にまつわるものですが、実は発熱などの急性期疾患にも適しているんです。治療薬が基本的にないウイルス感染症などに対して、体を整えるという意味で使用します。漢方にはいろいろな流派がありますが、私が学んでいるのは古法派です。「どこが悪いと言えないけど体調が優れない」という患者さまには、漢方の問診票をもとに、不調が何に根差しているのかを考えて薬をお出しします。漢方で学ぶ患者さまを見る目や、病気の奥に潜む根本を知って処方するという考え方は、私の医療ポリシーにもつながっていると思います。
【博文院長】形成外科でも、ニキビなどの皮膚症状に漢方をお出しすることがありますよ。患者さまにとって良いと思える処方を第一に考えて薬を選んでいます。
こちらで行っている糖尿病治療の特徴は何ですか?

【巳賀副院長】糖尿病の治療は長く続くため、診療後は少しでもプラスの気持ちで帰っていただきたいと思っています。治療は日進月歩ですので、スタッフ全員で毎月定期的に勉強会を開いていますよ。また、患者さまの自己管理をサポートするために、アプリなども積極的に活用。例えば、24時間血糖値をモニタリングする機器を使って、食事や運動で血糖値がどう変化するかを一緒にスマートフォンで確認できれば、患者さまご自身も納得して治療に取り組めます。特に力を入れているのは、こうしたデバイスやアプリを使いこなせない方への支援です。当院のスタッフが丁寧にサポートしますし、食事の指導もSNSを使って食事の写真を送ってもらうなど、無理なく続けられる工夫をしています。
眼瞼下垂症を中心に手術まで対応
形成外科では眼瞼下垂症の手術に多く対応されているそうですね。

【博文院長】形成外科で特に多く執刀しているのは、眼瞼下垂症の手術です。この手術は医師の技術によって仕上がりが左右されるため、私自身、日々技術の向上に努めています。今もほかの医師から学びを得たり、後進の指導にあたったりと、常に新しい知識を追求していますよ。手術を安全かつスムーズに行えるよう、当院では手術室と処置室を分け、十分なスペースを確保し、設備も充実させました。最近は、お子さまのあざやしみ、イボについて親御さんからご相談を受けることも増えました。しかし、本当にその時期に処置が必要なのか、お子さま自身の気持ちを何よりも大切にしながら、適切な時期をご案内するように心がけています。
形成外科では美容に関する相談も多いと伺いました。
【博文院長】最近は美容医療を提供するクリニックが増えていることもあり、他院での手術を検討する中で、当院にセカンドオピニオンを求めて来られる方が多くいらっしゃいます。高額な治療を提示されて不安に感じている方や、第三者の専門家としての意見を聞きたいという方です。ご相談に来られたからといって、必ずしも当院で治療を受けることを勧めたりはしません。当院で治療しない、他院でも治療しない、というあらゆる選択肢も含めて、患者さまにとって何が最適かを一緒に考えます。当院でセカンドオピニオンを受けて、ほかのクリニックで手術を受けられても構いません。患者さまの信頼を裏切ることのないよう、医師として正直な情報提供を心がけています。
医師として大切にしていることはありますか?

【博文院長】形成外科では体にメスを入れることもあります。一度メスを入れると元に戻すことはできません。だからこそ、トラブルやリスクの可能性も最初に包み隠さずお話しします。「最初の執刀医が生涯責任を持つ」ことを信条に、今でも新しい知識を学んで技術の向上に努めています。
【巳賀副院長】母がこの場所で開業して70年を超え、2世代、3世代にわたって通ってくださるご家族もいらっしゃいます。ここで仕事をさせていただいている以上は、患者さまが必要とすることを最後まで提供したいですね。自分で抱え込むのではなく、専門の医療機関との連携も取って、気持ち良くお過ごしいただけるよう寄り添っていきたいと思っています。また、患者さまの表情や声にしっかり向き合い、触れて診察することで、安心して心の内を話していただける。そうすれば、自然と治療に対しても前向きな行動につながっていくと考えています。
糖尿病をはじめ生活習慣病の治療とサポートに注力
生活習慣病に関して特に力を入れている取り組みは何でしょう。

【巳賀副院長】高血圧症も同様ですが、患者さまにはご自宅で血圧を測るようお願いしており、多くの方が実践してくださっています。その数値を拝見しながら薬を調整するのはもちろんですが、私はそれ以上に、「家で何があったか」といった患者さまの背景まで深く聞くことを大切にしています。親身になってお話を聞いていれば、患者さまが自ら生活習慣を見直す行動に移してくださるんです。また、私が内科医という道を選んだのは、「何か病気になったときに、全部診ることができる医師になりたい」と思ったからなんです。患者さまの全身を総合的に診て、必要であれば専門性の高い医療機関に適切につなげることができます。ご家族やお仕事のことも含めて考えて、常に最適な医療をご提案していきたいですね。
クリニックとしてめざす姿をお聞かせください。
【巳賀副院長】患者さま一人ひとりに寄り添い、丁寧に向き合う診療スタイルは、時代が変わっても守り続けていきたいと思っています。私たちが、地域の皆さまにとって安心できる場所であり続けられるよう、今後もこの姿勢を貫いていきたいですね。
【博文院長】大学時代から数多くの手術を経験してきましたが、医師としての腕は、執刀を重ねれば重ねるほど磨かれるものだと実感しています。今後も慢心することなく、新しい知識を学び、技術をさらに高めていきたいです。その積み重ねによって、より安全で質の高い手術を患者さまにご提供できるようになる。それが、形成外科医としての私の責務だと考えています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

【博文院長】医師として一番大切にしているのは、自分の技術を超えるようなことはしない、という点です。私は眼瞼下垂症の手術経験が豊富ですし、技術も高めてきましたが、だからといって慢心することはありません。商業主義に走らず、必要なときに患者さまに必要なことを提供する実直なクリニックでありたいですね。
【巳賀副院長】「どこに相談したら良いかわからない」というときに、安心して相談ができる身近な存在であり続けたいです。初代院長だった母からは、医療に向き合う真面目な姿勢を遺産として受け継ぎました。これからも門戸を広く開いて、皆さまの安心の入り口になれたらと思います。来た時よりも元気になって帰っていただけるような診療をめざしています。
自由診療費用の目安
自由診療とはボツリヌストキシン製剤注射によるしわのケア/2万2000円~