川井 修一 院長、川井 康弘 先生の独自取材記事
かわい腎臓内科・泌尿器科クリニック
(北九州市小倉北区/旦過駅)
最終更新日:2024/11/11

旦過駅から徒歩4分というアクセスの良い場所にある「かわい腎臓内科・泌尿器科クリニック」。泌尿器科でありながら人工透析にも対応する川井修一院長が開業し、息子である川井康弘先生が2024年に同院に合流したことで「かわい泌尿器科クリニック」から名称を変更した。「透析は『治すこと』ではなく『社会復帰』が目的。お仕事をしながら透析を受ける方が安心して透析を続けられる環境でないといけません。一方で泌尿器科は膀胱炎や尿漏れ、頻尿などを気軽に相談できる場所。康弘先生とそれぞれの強みを生かしながら一緒に診療できることは、これ以上ない喜びです」と語る修一院長。そのような修一院長と康弘先生に、同院の特徴や取り組みなどについて詳しく話を聞いた。
(取材日2024年6月27日)
腎臓内科・泌尿器科がタッグを組み、幅広い診療に対応
腎臓内科と泌尿器科を一緒に診療するクリニックは、全国的にも少ないそうですね。

【修一院長】息子である康弘先生が当院に戻ってきて、それぞれの専門性を生かしたいと考え「かわい腎臓内科・泌尿器科クリニック」としました。シンプルに「かわいクリニック」にしようかとも考えたのですが、患者さんが「ここに腎臓内科と泌尿器科があるのだ」とわかりやすいほうが良いだろうと、2人で話し合った結果です。私が開業したのは1996年のことで、透析患者さんを受け入れるクリニックとして誕生しました。私は長く小倉記念病院の泌尿器科の医師として勤めていましたが、当時は泌尿器科の医師が透析患者さんを診る体制だったのです。ただ、どうしても病院だけで透析を受け入れるのには限界がある。そこで当時の院長や上司とも話し合い、小倉記念病院のサテライト的な役割を担う場所として当院を開業する運びとなりました。
小倉記念病院との連携が前提の開業だったのですね。
【修一院長】当院は、車で10分もかからない場所に小倉記念病院が、道を挟んですぐ向かいには北九州市立医療センターが、さらに徒歩圏内に旦過駅もありますから、ありがたいことにたくさんの患者さんにご来院いただいています。透析のベッドは増床を繰り返して、現在46床あります。また透析では患者さんの安全面や健康面のチェックも非常に大切なので、現在23人ほどいる看護師のほとんどが透析担当です。同時に私は泌尿器科の外来も担当していて、どうしても手が回らなくなってきた部分もありましたから、同じように医療の道、しかも互いの強みを生かせる存在になった康弘先生が戻ってきてくれたのは、私にとってはこの上ない喜びなのですよ。
康弘先生は最初から腎臓内科をめざされたのですか?

【康弘先生】父が透析患者さんと長く付き合ってきているのを見てきましたから、そもそも腎臓内科に興味はありました。加えて実際に勉強していく中で、私個人としても腎臓内科に強く惹かれたのです。腎臓内科と泌尿器科はどちらも腎臓疾患を専門とするという共通点があり、違いがわかりにくいと思います。疾患によっては腎臓内科と泌尿器科で症状が似ている疾患があり、一般的にどちらの科に行くべきか判断が難しいところがあります。当院には両科の専門医がおりますので、患者さんの年齢や抱えている疾患などを加味しながら問診を行い、どちらの診療科目で見るのかを判断しています。判断の難しいものもしっかりと判断し、なかでも透析へと進行しかねない慢性腎臓病を早期発見・治療することが、かかりつけ医としての重要な役割だと考えています。
「男女問わず受診しやすい泌尿器科」を常にめざす
泌尿器科と腎臓内科の違いについて詳しく教えてください。

【修一院長】泌尿器科では、膀胱炎や尿路結石、年齢を重ねた頻尿や尿もれなどは男女問わず対応しています。一方腎臓内科では、尿タンパクなどを健診で指摘された場合や、慢性腎臓病などの腎機能障害がある方、そして慢性腎臓病が進行してしまった末期腎不全の透析などに対応しています。小倉記念病院との連携は大前提ではありましたが、この近辺には開業当時、泌尿器科は多くはありませんでしたし、どちらかというと泌尿器科は「性病を診る診療科」といったネガティブな印象を持たれていた時期もありました。私が今もなおめざしているのは、誰もが受診しやすいかかりつけの泌尿器科です。どうしても人の目を気にする診療科でもあると思いますので、特にプライバシーへの配慮は欠かしません。
泌尿器科は女性も受診できるのですね。
【修一院長】もちろんです。女性でも頻尿や尿漏れなどがありますし、性器クラミジア感染症などが原因となる尿道炎などの性感染症は男女問わず起こり得るもの。梅毒は厳密には皮膚科の領域になりますのでそういった点のご紹介も行い、男性のブライダルチェックといった立ち位置の精液検査などにも対応しています。とはいえ、こういった違いは患者さんにはわかりづらい部分ですから「泌尿器科なのか腎臓内科なのかわからない」症状があれば、遠慮なく当院に来ていただきたいと思います。ご自分では判断がつかなくても、問診票を記入していただければ看護師や私、康弘先生で適切に振り分けをしますし、時には2人で「この方にはこの検査が必要だ」などと意見を出し合いながら治療を行っています。
クリニックで適切な医療へと導いてもらえるなら、患者さんも安心ですね。

【康弘先生】それが当院の強みの1つですよね。「父は近隣の内科の先生方と泌尿器科の勉強会を行い、泌尿器科の診られる範囲などを説明しながら、協力体制を築いてきてくれました。そのかいあって、近隣のクリニックから泌尿器科疾患でご紹介いただき来院される患者さんも多いです。腎臓内科の認知度はまだまだ少ないものの、父の頑張りで泌尿器科の認知度や連携が強固になっていったように、地域とのつながりを広げていきたいと思っています。小倉記念病院や北九州市立医療センターとの病診連携だけではなく、地域のクリニックの先生方との診診連携もある、この充実したネットワークで地域の皆さんの健康に幅広く寄与したいというのが、当院のスタンスなのです。
充実の体制で、透析患者の社会復帰をサポート
透析は18時以降の夜間も対応されているそうですね。

【康弘先生】曜日は限定されますが、対応しています。院長が開業した時からこの体制を取っていて、お仕事をされている方もしっかりと通える環境を維持してきました。本来透析は、治すことが目的ではなく、社会復帰が目的なのです。そして社会復帰するということは、お仕事にも行くということ。そうなると仕事終わりに透析を受ける流れが理想的で、そのためにも夜間の透析は必須だというのが父の考えです。とはいえ透析患者さんも高齢化が進んでおり、血圧低下など急変することも多いですので、それをどう防ぎ、夜間でも安全に透析を受けていただくかという点を考え続けることもかなり重要です。
透析にはスタッフさんのお力も欠かせないのですね。
【康弘先生】透析は通常、週に3回行い、1回に4〜5時間かかり、いかに急変を起こさないようにするかが重要です。透析フロアには複数の看護師が常にいて、血圧測定や体調管理、発熱がないか、咳が出ていないかといったことに目を配っています。体調が多少悪くても、遠慮して言わない方もいらっしゃいますからね。またご高齢になると、心疾患などの他の疾患を抱えがちです。心疾患をはじめとした疾患の発見は早いに越したことはありませんから、急変が起こってしまった時は小倉記念病院をはじめとした救急病院にスピーディーに送ることが重要です。その際は当院の看護師が救急車に同乗し、病院での引き継ぎを終えてから戻ってくる体制です。スタッフはどんな時もテキパキと動いてくれますので、非常に心強いですね。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

【修一院長】患者さんが増えてかなり手狭になりましたし、感染症対策などにもしっかり対応するためにも、2025年中に隣の駐車場の敷地に、安全管理にこだわった透析フロアのある新しい建物にクリニックを建て替える予定です。きっと泌尿器科の患者さんも過ごしやすい空間になると思います。女性の尿漏れなども気軽に受診しやすい泌尿器科を、これからもめざしていきたいですね。
【康弘先生】「健康診断やかかりつけの内科などで尿潜血などが指摘されたけれど、どこに行けばいいかわからない」というような場合でも、まずはお気軽にご相談いただきたいと思います。地域のかかりつけ医として皆さんの不安を払拭できるような治療を行っていきますので、どうぞ遠慮なく相談にいらしてくださいね。