藤谷 晃亮 院長の独自取材記事
ふじたに整形外科クリニック
(北九州市小倉北区/南小倉駅)
最終更新日:2024/11/05
60年以上にわたり地域を支えてきた整形外科医院を継承し、2024年9月、クリニック名と建物を新たに開業した「ふじたに整形外科クリニック」。藤谷晃亮(てるあき)院長は産業医科大学病院などで約17年間、人工関節手術や骨粗しょう症の治療に取り組んできたドクターだ。膝・肘・腰の痛みなど、年齢を重ねれば多少なりとも誰もが抱える悩みに広く応えるクリニックをめざし、特に骨粗しょう症治療と啓発、リハビリテーションに注力する。天井が高く開放感あふれる院内には、理学療法士などリハビリスタッフが常駐するリハビリ室が設けられ、先進の骨密度検査機器も導入。「ここに来ればどうにかなると、患者さんに信頼されるクリニックに成長していきたい」と優しい笑顔の藤谷院長に、診療にかける思いを聞いた。
(取材日2024年9月26日)
膝・肘・腰など体の痛みを相談できる身近な存在に
まず、継承・開業の経緯から教えていただけますか?
自分の目が行き届く、地の利を生かしたコンパクトな整形外科クリニックの開業を考えていたところ、事業継承する人を探されていた「西見整形外科医院」の西見文紀先生とご縁がありました。お互いにめざす医療のかたちが近く意気投合し、継承を決めました。クリニックを全面的に建て替えたわけですが、休診したのは1ヵ月程度。西見先生は工事中の8ヵ月間、通院中の患者さんが困らないようにと近くの建物を仮診療所にして、なるべく診療に穴をあけないようにされていました。私は2年ほど前から診療に加わって準備を進め、2024年9月開業に至りました。外壁にある大きな「f」のロゴマークは西見先生にプレゼントしていただいたもの。インパクトがあって気に入っています。院内は患者さんとスタッフの動きがなるべく重ならないよう配慮した動線を考え、以前はなかったリハビリ室を設けました。
医師を志し、整形外科に進んだ理由は何でしたか?
私は幼い頃から割と、ご高齢の方と話すのが好きで。佐賀で皮膚科を開業していた祖父の診療の様子を見ながら、「僕は将来お年寄りを相手に仕事をするほうが向いているかもな」と考えているような子どもでした。産業医科大学卒業後は、比較的早く診断をつけて、すぐ治療を開始できるところに魅力を感じた整形外科に入局し、約17年間いろんな病院に勤務しながら、特に人工関節手術や骨粗しょう症の治療に注力してきました。人工関節に興味を持ったきっかけは、学生時代に初めて見た人工関節そのものの美しさ。ピカピカに磨き抜かれてとてもきれいで、人間の体の機能を再現するために考え抜かれたデザインに惹かれました。関節の痛みの改善に役立ち、患者さんの生活を豊かにすることが望めるという点で、人工関節置換術にやりがいを感じたのも大きかったです。
こちらの診療の特色はどういったところにありますか?
特別に何か尖ったことをするのではなく、日々患者さんが体のことで悩みがあれば気軽に来ていただけるようなクリニックでありたいと思っています。膝や腰、肘の痛みなど広く診察させていただきますが、その中でも柱としたいのは骨粗しょう症の治療です。骨粗しょう症が進行しているかどうかは、ご自分で意識して骨密度を測ってみないことにはわかりません。気づかなかった、知らなかったでご高齢の方が骨折を起こし、生活の質が悪くなってしまう方が多いので、そうなる前から患者さんたちに、骨粗しょう症の治療って大事ですよ、早めに検査や治療を心がけていきましょうと伝えていくことも当院の役割の一つだと思っています。年齢を重ねるともう絶対に骨密度は下がっていくので、予防医学の観点からも、途中でそれに気がついて現状維持や改善をめざしていけば、5年後10年後の生活は大きく変わってくるはずですよ。
骨粗しょう症治療と、筋力維持のためのリハビリに注力
骨粗しょう症の治療が診療の柱の一つとなるのですね。
骨粗しょう症の治療というのは、大学病院とクリニックですることにほとんど差はありません。検査方法も同等で、当院にも背骨や大腿骨を測ることでより精密な骨密度がわかる検査機器を導入しています。わざわざ大きな病院に行かなくてもクリニックで同じレベルの治療ができることをぜひ知ってほしいと思います。検査は、血のつながったお母さんが骨粗しょう症だった方や呼吸器疾患や糖尿病などの持病のある方は特に、ぜひ一度受けてください。身長が低くなってきた、背中が丸くなってきたような方も要注意です。一般的に女性に多い骨粗しょう症ですが、男性も少なくなく、しかも重症化する方が多いといわれています。検査時間は5分程度、保険診療で受けられます。
骨がもろくなると骨折以外にもいろいろと弊害が出てきそうです。
人工関節や骨をつなげるための手術をしているとよくわかるのですが、骨粗しょう症が進んで骨がもろくなっている方の場合手応えがなく、やはりうまくいきにくいです。術後の良い状態を維持し人工関節を長持ちさせるためにも、骨の質はとても重要な要素になります。また当院では、骨粗しょう症の治療に加え、リハビリにも取り組んでいきます。変形してしまった骨や関節そのものは、自分の気持ちだけで治したり若返らせたりすることはできませんが、だからといって諦めるのではなく、その骨や関節を支えてくれている筋肉を鍛えることで、そこにかかる負担を大きく減らすのです。これはご自分の意識や努力で変えられるところ。理学療法士などリハビリスタッフを中心にサポートします。
骨や関節の負担を減らすために筋力維持が大切なのですね。
当院ではさまざまなリハビリを行いますが、私が特にリハビリのスタッフにお願いしているのは患者さんの筋力の維持です。年齢を重ねても腕の筋肉はほとんど落ちないのですが、体幹や足は筋力が落ちてしまうことが多いです。腕相撲がすごく強いおじいさんでも、足は細くなっていることってよくありますよね。人間の足の筋力は加齢とともに低下するのはわかっていますが、関節の痛みなどはその周りの筋力を鍛えることで改善することが見込めます。痛みを取るための治療の一貫として、そして加齢による障害を防ぐ目的でもリハビリは重要です。
患者の小さな訴えにも耳を傾け、見落とさない
患者さんと接する時に心がけていることは何ですか?
これは西見先生の教えなのですが、患者さんの小さな訴えを見落とさないことです。患者さんは一つの症状だけでなく、実は複数の症状を抱えて困ってらっしゃることが多いものですが、診察の場で言い出せなかったり、医師としても患者さんが一番痛いと訴えるところに気が取られて気づけなかったり。ですが西見先生は、患者さんの小さな訴えにもしっかり耳を傾けながら診察し、説明されていました。私もその姿勢を見習って、真摯に患者さんに向き合っていきたいと思っています。
整形外科は一般的に待ち時間が長い印象がありますが、それをなるべく減らす工夫は何かされていますか?
対策として取り入れたのは、まず事務作業を補助する医療クラークを診察室に常駐させることです。医療クラークは看護師による問診の場に同席してカルテを下書きし、その後の診察では私の診断内容をカルテに記入。私は患者さんと話すこと、診察することに集中し、カルテの最終チェックをしたらすぐ次の患者さんのところへ向かうことができます。私は2つの診察室を交互に行き来し、片方で診察している間にもう一方に次の患者さんに入っていただき、問診を受け、受診の準備をしていただいています。またスムーズな会計のために、現金やクレジットカード、2次元バーコード決済にも対応するセルフ自動精算機を導入。小さな工夫を積み重ねて待ち時間を減らせるよう心がけています。それでもやはり待ち時間は発生してしまいますが、待合室やリハビリ室のモニターに役立つ健康情報を流していますのでぜひご覧になって、有意義な時間にしていただければと思います。
最後に今後の展望を聞かせてください。
患者さんに信頼され、ここに来れば何とかしてくれる、相談に乗ってくれると思っていただけるようなクリニックに成長していきたい。めざすのは、まずそこです。患者さんの訴えを見落とすことのないよう心がけていますので、患者さんもどうぞ遠慮なく、「ここが痛い」「ここも気になる」と全部おっしゃってください。クリニックの規模を大きくするのではなく、一人ひとりの患者さんをより近くで支えられるような存在になれたらと思っています。これからどうぞよろしくお願いいたします。