鍋島 崇寛 理事長の独自取材記事
眼科鍋島医院
(北九州市小倉北区/小倉駅)
最終更新日:2024/10/31

小倉駅南口から徒歩10分。1899年に開業し、120年以上の歴史を持つのが「眼科鍋島医院」だ。現在は4代目理事長である鍋島崇寛先生と、3代目の前院長とニ診体制を取り、外来診療、手術、学校健診など幅広く対応している。同院が特に注力している治療の一つには白内障がある。「白内障は年齢を重ねれば誰でもかかる可能性がある病気。今後自立した高齢者をめざすならば、まず白内障の手術を受けてほしいと考えています」と、先を見据えた治療を提案する。歴史あるクリニックとしての役目を負う同院の理事長として何を感じ、何を提供していくのか、鍋島理事長に話を聞いた。
(取材日2024年9月11日)
4代続く眼科。進歩する医療の適切な情報を伝え続ける
先生で4代目と、歴史のあるクリニックだと伺いました。

1899年、和暦では明治32年に開業し、120年以上の歴史があります。2020年には私が理事長を引き継ぎ、4代目となりました。「小学生の頃からここに通っているよ」という80歳の方もいらっしゃいますが、この方だと大先生、つまり前理事長の私の父もまだ生まれていないので、2代目の先生の頃から通ってくださっているということになりますね。昔は山口県や大分県など遠方から通っていた方もいらっしゃったそうです。それくらいに歴史があり、地域の方に信頼されているクリニックなのだと感じています。現在は大先生と私のニ診体制で治療にあたっていますが、特に新患や若い世代の患者さんなどは私がメインになって診ています。大先生は、昔からの患者さんを中心に診療しています。やはり大先生にはまだまだ根強いファンがいるのだと実感しますね。大先生はあまり口を挟まないタイプなのですが、信頼してくれていると肌で感じていますよ。
理事長に就任されて変化した部分はありますか。
私が理事長になって、まず若い世代の患者さんが増えました。最近は視力の低下やお子さんの近視、そして自由診療のオルソケラトロジーの相談件数が多くなっています。オルソケラトロジーとは手術不要の近視や乱視の治療法で、寝ている間にレンズを装着します。手術に抵抗がある方にお勧めで、当院でも相談される患者さんが増えてきました。ちなみに、お子さんが受診されるとその親御さんも目の調子が悪ければ診察しますから、全体的に患者層が若くなっていると思います。また、最近は定期的に非常勤の先生を呼んで診療してもらっていて、大先生に頼らずに患者さんを診られるような体制を整えつつあります。
診療方針や患者さんと接する際、大切にしていることをお聞かせください。

目に関することであれば何でも診て、患者さんにとって適切な医療を提供できるように心がけています。そして、患者さんが多く慌ただしい状況であっても、穏やかな気持ちを忘れずに診療していますね。そこは私だけでなく、スタッフ全員で気をつけていることです。患者さんはクリニック全体の雰囲気を見て評価してくれるでしょうから、全員で接遇を意識して実践することが大切だと思っています。その上で患者さんの目の疾患に向き合い、院内のスタッフ全員が同じベクトルで仕事をすることで、自然と患者さんに思いやりを持って接することができるのではないでしょうか。スタッフのみんながついてきてくれるので、長く通ってくれる患者さんも多いのではないかと思っています。
白内障の手術は「自立した高齢者になるため」にも必要
こちらには入院施設もありますね。

入院室は3床あります。当院での白内障の手術では、日帰り手術と入院手術のいずれかを患者さんに選択していただけます。手術後は眼帯をして過ごしますから、遠近感もなくなり、案外不便になります。術後ゆっくり安静にしたい方、もし何かあったらと不安な方には入院もお勧めです。眼科でも日帰り手術が多くなり、入院施設を持っているクリニックも少なくなってきましたが、患者さんのニーズに応えるためにも今後も残していきたいですね。他にも手術に関係する機器は、いずれも積極的に新しいものを導入するようにしています。サージカルガイダンスも、私がここで診療するようになってから取り入れたものです。その結果、術前検査や手術の精密さにもつながっています。こういう部分にも手を抜かないでいたいですね。「鍋島先生にやってもらって良かった」と思ってもらえる努力は怠らないでいるつもりです。
白内障の手術にも、とても力を入れていらっしゃいますね。
そうですね。白内障の手術は人生の転換点にもつながり得ると思っています。手術自体は10分ほどで終わりますが、不安ですよね。そのような患者さんの不安を取り除くために、手術を行う前の説明にはじっくりと時間をかけています。また、術中の不安を軽減するために、低濃度笑気麻酔を導入することで、多くの方に安心して手術を受けていただけるようにしています。私たちから手術を押しつけることは絶対にありません。患者さん自身が納得して、ご自身の選択で希望してもらい、また術後のサポートも全力で行っています。ちなみに最近は遠近両用の「多焦点眼内レンズ」の取り扱いもしていて、患者さんのニーズに応えるための選択肢が増えました。
患者さんに寄り添うために、情報提供を大切にされているのですね。

そうです。眼科の手術は、脳や内臓と違って、生死に直接関わるものではありません。しかし、生活の質(QOL)には直結するものです。この北九州エリアは高齢者が多い地域。「家族に迷惑をかけたくない」と手術を選択する方も多いのです。人生100年時代といわれ久しいですが、今後自立した高齢者をめざすのであれば、白内障の手術はぜひ、寝たきりになる前に行ってほしいと考えています。多くの病気は、医療の介入が遅くなればなるほど悪化し、リスクも上がっていくものです。早め早めの受診が大切ですし、それは特に緑内障にもいえることだと考えています。
緑内障の早期発見、近視の治療はかかりつけ医の使命
緑内障についてもお聞かせください。

緑内障は失明の主な原因ともいわれる病気です。何らかの原因で視神経がダメージを受け、症状が進行すると「視野が欠けている」「見えづらい」という症状が出てきます。この緑内障をできる限り早い段階で見つけ、定期的な通院を促すことは眼科の開業医の使命だと考えています。会社の健診などでせっかく早く見つかったのに、自覚が乏しいために、面倒だと通院をやめたり、もしくは病気自体から目をそらしてしまう。近視があり、コンタクトレンズを使用しているという40歳以上の方は、ぜひ早めに眼科に足を運んでください。写真を一枚撮るだけでも、将来につながります。大先生の時代からも検査は積極的に行っています。こういう点も、当院の特徴の一つであると考えています。
待ち時間短縮の対策などはされているのでしょうか。
そうですね、今でも大先生はほぼ毎日治療にあたっていますし、非常勤の先生にも来てもらっているのでできるだけ患者さんをお待たせしないように努力しています。丁寧な診察を意識しているため一人に時間がかかることがありますが、「不要な検査をしない」など、患者さんのニーズを満たした対応で待ち時間を有意義に過ごしていただくため、最近は当日の順番予約も受けつけているので、そちらも活用していただければと思います。当院は昔からある眼科なので、頑張って朝一番から来てくださっている方や昔から通ってくださっている高齢の方を大事にしたいんですね。なので、基本的に予約制ではないところを変えていません。待ち時間を減らしたい人は、予約して時間になったら来院していただけると助かります。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

大先生がいつか引退する時のことを考え、二診体制を整えられるようにしていきたいですね。ですので、今は外部の先生と積極的にコミュニケーションを取るようにしています。それと、最近はIPLという技術を使い、マイボーム腺機能不全でドライアイになった方の治療も行うようになりました。このように今後も新しい技術や機械を積極的に導入して患者さんの期待に応えていきたいですね。さらに、今は緑内障の治療もバリエーションが増えてきているので、クリニックでできることは取り入れたいと考えています。例えば低侵襲緑内障手術や新しい機械を導入したレーザー治療などです。これにより、患者さんの治療の選択肢が増えます。昔からの当院の良さを継承しつつ、今後も新しいことも取り入れていくので何でもお気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは・オルソケラトロジー/15万円(両眼)
・有水晶体眼内レンズ手術/70万~74万円(両眼)
※一部保険適応のレンズも取り扱っております。
・IPL/1回8000円、4回セット3万円