永田 豊 院長の独自取材記事
永田内科胃腸内科医院
(北九州市門司区/門司駅)
最終更新日:2025/06/19

JR鹿児島本線の門司駅から徒歩約10分の場所に位置する「永田内科胃腸内科医院」は、永田豊院長の祖父の代から3代にわたり地域医療を支えてきた歴史あるクリニック。2024年、永田院長が父から同院を継承し、名称を現在のものに改めるとともに、院内の改装やホームページの刷新を行った。同院は一般内科のほか、永田院長の専門である消化器内科に特化した診療を行うとともに、内視鏡検査にも力を入れている。地域柄高齢の患者が多いものの、早期発見・早期治療のために若い世代にも定期的な検査を推奨している。「ちょっとした体の不調でも気軽に相談していただきたいですね」と優しい笑顔で語る永田院長。今回は永田院長に、同院の歴史や継承への思い、そして診療のこだわりについて、ざっくばらんに話を聞いた。
(取材日2025年5月1日)
クリニックの伝統を守りつつ現代の医療ニーズに対応
クリニックの歴史や継承された経緯についてお伺いします。

当院は祖父の代から続くクリニックで、この門司の地で診療を始めたのが約60年前になります。父がそれを引き継ぎ、私で3代目です。地域の皆さまに支えられながら、長年にわたり「かかりつけ医」としての役割を担ってきました。2024年に私が当院を継承し、名称を「永田内科胃腸内科医院」と改め、院内の改装やホームページの刷新を行っています。外観は今までどおりですが、院内はより温かみのある色味や空間を意識しました。これからも地域に根差した医療を提供していきたいと考えています。
継承にあたり、意識したことや大切にしたことはありましたか。
継承に際しては、これまでのクリニックの良き伝統を守りつつ、現代の医療ニーズに対応するために院内の設備や環境を整えることに注力しました。特に患者さんが安心して受診できるよう、清潔で快適な空間づくりを心がけました。また、ホームページを通じた情報発信を強化し、地域の皆さまに当院の診療内容や理念を知っていただけるよう努めています。そして父を信頼していた患者さんを引き継ぎましたので、同じ医療を提供することを第一に考えました。父より若輩ですが、引き続き来ていただけるよう、しっかりお話を聞き、父と変わらないか、もしくはそれ以上の医療を提供していきたいですね。父は常に患者さんを温かく受け入れ、かかりつけ医としてしっかり対応していました。その姿勢を受け継ぎ、ちょっとした体の不調でも相談しやすいクリニックであり続けたいと思っています。
先生のこれまでのご経歴や消化器内科をご専門にされた理由をお聞かせください。

九州大学卒業後、九州大学第二内科に入局し、消化器内科を専門としました。その後、地域の基幹病院や九州大学病院で勤務し、胃がんや大腸がんなどの診断・治療や近年増加傾向にある炎症性腸疾患診療に携わりました。2013年からは九州大学大学院で炎症性腸疾患の研究を行い、学位を取得。これまでに数多くの内視鏡検査、治療を経験しています。消化器疾患は日常的に多く見られる一方で、症状が多様で診断が難しい場合もあります。そのため、内視鏡などの検査を通じた早期発見・早期治療が重要です。私は、消化器内科の分野で専門性を高めることで、地域の皆さまの健康維持に貢献したいと考え、消化器内科を専門としました。また、研修医時代にさまざまな診療科を経験する中で、自分の手を動かして診断・治療ができる消化器内科に魅力を感じました。内視鏡検査・治療の発展も著しく、これからさらに需要が増えると考えたのも理由の一つです。
消化器内科の専門性を生かして地域住民に貢献する
先生が日々の診療で心がけているのはどんなことでしょうか。

門司区は北九州市内でも高齢化率が最も高く、70〜80代の患者さんが多いです。そのため生活習慣病の管理に力を入れています。また、高齢の方は耳が遠かったり、主訴がわかりづらかったりしますので、じっくり話を聞くようにしています。独居の方も多いため、診療以外の生活の悩みや介護の相談にも乗れるよう現在情報収集を行っているところです。体調に不安のある患者さんからのお問い合わせがあれば、まずは当院が窓口になって、必要に応じて高次医療機関への紹介も速やかに行っています。このように、患者さんにとって「近道」となる診療を心がけています。どんなことでも相談できる「かかりつけ医」でありたいですね。
クリニックでの検査環境について教えてください。
院長就任時に、内視鏡検査機器を新しいものに更新しました。鼻からも検査ができる経鼻内視鏡を導入しており、従来内視鏡に比べて細いため嘔吐反射が少なく、患者さんの負担軽減につながります。また希望に応じて鎮静剤を使用することもでき、より軽い負担で検査を受けていただけるように環境を整えています。大腸がん検診については、便潜血検査や必要に応じて内視鏡検査を行います。レントゲン設備も更新し、紙カルテから電子カルテへの移行も完了しました。医療DXの流れに対応し、より効率的で質の高い医療提供をめざしています。
消化器疾患で特に注意してほしい症状や早期発見のポイントはありますか。

消化器疾患の初期は自覚症状がほとんどないことも多く、気づかないうちに進行してしまうケースがあります。ですので、胃や大腸に関わる疾患では「なんとなく食欲がない」「おなかの調子が優れない」「便通の変化が続いている」といった小さな変化を見逃さないようにしましょう。これらが重要なサインになっていることがあります。血便や体重減少、黒色便、原因不明の貧血などが見られた場合には、すぐに受診していただきたいです。大腸がんや胃がんといった重篤な疾患であっても、早期に発見できれば内視鏡治療で済むこともあります。当院では苦痛の少ない内視鏡検査を心がけていますので、不安がある方も安心してご相談いただければと思います。気になる症状が続くときは、我慢せず早めの受診が大切です。
早期発見・早期治療のために何でも相談できる窓口へ
健康診断で異常を指摘された場合のアドバイスをお願いします。

健康診断の結果で「再検査」となっても実際に診察すると問題ないケースもあります。だからといって、異常値は放置しないでくださいね。「このぐらいなら1年後の経過観察で良い」のか、「これはきちんと治療したほうが良い」のか、専門的な判断は必要です。ご本人も、健康診断で再検査となった項目を放置していると、どこかすっきりしない、もやもやした気持ちになるのではないでしょうか。ですので、異常がないことを確認するためにも一度クリニックを受診してください。何かあれば治療を開始できますので、いずれにせよ再検査は受けましょう。ちなみに40代以降は胃がん・大腸がん検診が重要ですので、市の検診も活用しながら早期発見・早期治療を心がけていただきたいと思います。
先生ご自身が日々の生活において気をつけていることはありますか。
医師として患者さんに健康を届けるためには、まず自分自身が健康であることが大切だと考えています。そのため、日々の生活では食事のバランスに気を配り、暴飲暴食を避けるようにしています。また、仕事柄どうしても運動不足になりがちなので、空いた時間には意識して体を動かすように心がけています。例えばスクワットをしてみたり、空いた時間にウォーキングをしてみたり。忙しい毎日の中でも健康管理の基本は患者さんと変わらず、「規則正しい生活と心のゆとり」が重要です。この姿勢を自ら実践しながら、患者さんにもお伝えできればと考えています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

医療において大切なのは、病気を診るだけでなく、患者さんご本人の思いや背景にしっかりと耳を傾けることだと考えています。特にご高齢の方においては、体調の変化が複数の要因から起きていることが多く、一つ一つ丁寧に向き合うことが欠かせません。そのためにも、話しやすく温かい雰囲気づくりを大切にしています。受診に不安がある方も、まずは気軽に相談していただければと思います。また体調に問題がないときでも、健康診断やがん検診などを活用して定期的に体をチェックすることが、病気の早期発見につながります。これからも、当院の専門である消化器内科の診療や生活習慣病に関するサポートを全力で行いますので、何かあれば気軽にお問い合わせください。