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木口 貴夫 院長の独自取材記事

木口ペインクリニック内科

(伊予郡松前町/岡田駅)

最終更新日:2021/10/12

木口貴夫院長 木口ペインクリニック内科 main

重信川に架かる出合大橋を渡り、松前町に入ってすぐのところにある「木口内科麻酔科」。内科・麻酔科を標榜し、広く住民のかかりつけ医院として診療を行う医院だ。院長を務める木口貴夫先生は、麻酔科医師として痛みの緩和を行うペインクリニックが専門。神経ブロック療法などを取り入れ、患者の抱える痛みなどの緩和をめざしている。「患者さんが今までの生活を取り戻せるように、力を尽くしていきたい」と話す木口院長に、どんなときにペインクリニックを受診すればいいか、神経ブロック療法とはどんな治療なのか、気になる質問をぶつけてみた。

(取材日2020年1月24日)

麻酔科の経験を生かし、ペインクリニックを開設

お父さまは内科医師と伺っていますが、先生が麻酔科を選んだのはなぜですか?

木口貴夫院長 木口ペインクリニック内科1

医師を志したのは、当院の初代院長である父や薬剤師をしていた母の影響が大きいですが、麻酔科医師になろうと思ったのは、学生時代の経験からです。各科を経験しているとき、心肺蘇生法の技術を専門的に持っているのは麻酔科の医師だと知りました。麻酔科医師は、病院内で急変が起きたとき、すぐに対応できるようトレーニングを受けているのです。生きるか死ぬかの状態を「生きる」にすることが医師としての使命だと感じました。関西医科大学を卒業後は京都大学医学部の麻酔科に入局し、手術の際の麻酔を担当しながら、集中治療室でも重篤な急性期疾患の患者さんに対して心肺蘇生や人工呼吸の調整、点滴投与などの経験を積みました。

いずれは木口内科を継ぐ予定だったのでしょうか?

もともと継ぐ予定ではなく、麻酔科医師として現場で研鑽を積んでいければと考えていたのですが、高齢の父からの希望もあり帰郷を決意しました。しかし、こちらでも麻酔科は続けていきたいと思っていましたので、麻酔科医師として地域の方々のお役に立てることは何かと考えた結果、ペインクリニックという痛みの緩和を中心とした診療を行うことにしたのです。そこで、東京慈恵会医科大学で神経ブロック療法を中心とした痛みやストレスの緩和について勉強してから、2005年に帰ってきました。ですので、現在は父が内科、私が麻酔科という2人体制で診療を展開しています。

ペインクリニックの対象となる症状や、患者さんのメイン層を教えてください。

木口貴夫院長 木口ペインクリニック内科2

頭から足先まで、全身のあらゆる痛みを抱える方が対象となります。特に当院では、骨や筋肉から生じる痛みやストレスに起因する痛みなどに特化しているので、整形外科に通ってケガ自体は治ったのに痛みが続くなど、原因不明の痛みを抱える方が最後の砦として受診されるケースが多いですね。2005 年の開設当初は神経ブロック療法がどういうものかあまり知られていないために抵抗感があるという声もありましたが、最近は整形外科での治療が難しい場合はペインクリニックという意識が浸透してきたかなと感じます。また、患者さんの年齢層は高齢の方が中心。特徴的なのは農家さんが多いことでしょうか。農作業で慢性的な腰痛や肩こりなどを抱えて来られます。一方で、デスクワークなどが原因で肩こりや腰痛が悪化している若い方の受診も増えています。

体を温めることで痛みの緩和をめざす神経ブロック療法

神経ブロック療法とはどのような治療法ですか?

木口貴夫院長 木口ペインクリニック内科3

痛みが生じるのは、体の冷えで血行が悪化することが一つの原因とされています。この療法では、局所麻酔薬を使い、痛みからきていた筋肉のこわばりや緊張を緩和させて血流を促すことによって体を温めることをめざします。痛みのある場所というのはいろんな悪い物質がたまっているので、血の巡りを良くすることでそれらを流し出すんです。よく、局所麻酔薬の力で痛みを取ることが目的だと誤解されがちなのですが、それだと局所麻酔が切れると痛みが出てきてしまいます。当院では30分から1時間で作用が切れる軽めの局所麻酔薬を使っていますが、痛みを感じる部位の血の巡りが良くなることで、それ以降も数日痛みから解放されることが期待できます。

神経ブロック療法はどのくらいの頻度で通うものでしょうか?

当院では、神経ブロック療法による皮膚や筋肉の血流改善を促す治療を週に1回程度のペースで実施していくことから始めます。そして、週に1回から2週間に1回、1ヵ月に1回へと減らしていけるようにしていきましょうというご説明をしています。当院の患者さんは痛みの期間が長い方が多いので、そういう方はすぐに痛みがなくなるわけではありません。長い目で見て継続していくことが大切です。若い方でぎっくり腰など突発的な痛みで来られる方でしたら、1回の神経ブロック療法だけで済む方もおられます。

痛みを伴わない症状に対して、神経ブロック療法を用いることもあるそうですね。

木口貴夫院長 木口ペインクリニック内科4

ストレスがかかると、緊張により末梢の血管が細くなって血の巡りが悪化しますから、倦怠感、冷えといった症状が現れることがあります。そういった痛みを伴わない場合にも神経ブロック療法を行って血流を促すことで、改善をめざしていきます。治療が終わって帰るときの、患者さんのほっとしたような笑顔を見たりすると、それが医師として一番の喜びだと感じますね。

処置室のヒーリングミュージックに癒やされますね。

神経ブロック療法を受けられる患者さんには、ベッドで30分から1時間ほどお休みいただくため、なるべくリラックスして過ごしていただけるようにベッドサイドに絵画を飾ったり、BGMを流したりしています。神経ブロック療法により体が温かくなることで、眠られる方も多いですよ。本当は明かりも落として、もっとリラクゼーション効果を高めたいのですが、神経ブロック療法は明るいところでないと危ないですからね。やはり神経の近くに局所麻酔をするので、安全面には細心の注意を払っています。呼吸や血圧の変化も見逃さないよう看護師と連携していますし、総合病院での麻酔科医師としての経験を踏まえて、異変が起こってもすぐに対応ができるように酸素ボンベや点滴の準備も整えています。

痛みやストレスから解放され、健やかな日常生活を

診療の際に心がけていることはどんなことでしょうか?

木口貴夫院長 木口ペインクリニック内科5

大切なのは普通の日常生活が送れるようになること。痛みのために不眠に陥っている方は、寝られるようにしていきたいですし、50メートル歩くのがやっとという方はそれを100メートルに伸ばせるようにしたいですね。まずは患者さんの症状、ストレスや不便を感じていることをしっかりとお聞きすることを心がけています。そしてレントゲンを撮り、痛みに応じた神経ブロック療法をご提案します。ただ、注射が苦手な方もいらっしゃいますので、レーザーの温熱治療や投薬治療もご用意しています。

お忙しい日々だと思いますが、プライベートの過ごし方を教えてください。

私は子どもの頃から飛行機が好きで……当時の夢は航空会社に勤めることだったんです。ですが今考えると、趣味としておいてよかったなと思いますよ。飛行機に乗ることが現在の余暇の楽しみになっていますから。私にとって飛行機は乗ることが重要なんです。いろんな機種に搭乗して、各地の空港の雰囲気を感じたい。観光地よりも空港を散策するほうが楽しくて、空港から一歩も外へ出ずに飛行機で往復することもあります。この間2階建ての飛行機に初めて乗ったんですが、2階だからかエンジン音がとても小さくて、飛行機ということを忘れそうなほどでした。お気に入りの空港は……機能性でいうと羽田空港が一番でしょうか。乗り換えも便利ですしね。と、こんな具合で休みがあればマイル修行をしていますよ(笑)。

最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

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肩こりや腰痛、頭痛など、皆さん何かしらの痛みや体の不調があっても、ある程度我慢をして日々を過ごしているのではないでしょうか。そんなストレスを和らげ、ありふれた日常生活を取り戻すのが、ペインクリニックの役目です。血液検査やCT、MRIなどで調べても何も異常がないのに痛みがある方は、ぜひ気軽にご相談ください。

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