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村上 篤信 院長、赤瀬 太一 先生、村上 慎一郎 先生の独自取材記事

有津むらかみクリニック

(今治市)

最終更新日:2023/10/13

村上篤信院長、赤瀬太一先生、村上慎一郎先生 有津むらかみクリニック main

四国本土からしまなみ海道を車で渡ること約20分。瀬戸内海の伯方島にある「有津むらかみクリニック」は、これまで30年近く島の総合診療所として島民の健康を支え続けている。同院を開業した村上篤信院長は、長年医療のみならず介護・福祉の面でも地域の人々に貢献。2023年には医院の移転を行い、多彩な形で島の患者への診察・治療に関する選択肢を広げている。村上院長、赤瀬太一先生、村上慎一郎先生に、この地で地域医療に携わる上での心構えや医師としてのやりがいなど、さまざまな角度から話を聞いた。

(取材日2023年8月31日)

島の総合診療所として島民の健康を支える

まずはこれまでの医院の歴史や、院長のご経歴についてお聞かせください。

村上篤信院長、赤瀬太一先生、村上慎一郎先生 有津むらかみクリニック1

【村上院長】私はもともとこの島の出身で、鳥取大学医学部を卒業した後は主に山陰地方の医院で研鑽を積み、1994年頃から今治市の瀬戸内海病院で勤務していました。その頃地元の島の病院の閉院話を聞いたことに加え、あの頃はまだしまなみ海道も開通しておらず、島の医療施設が減ることに大きな危機感を感じたことがきっかけで、ここ伯方島に開院を決意し1995年に当院を開業しました。私自身は当初胃がん治療への興味から消化器外科を専門としていたのですが、瀬戸内海の離島にある病院で、島全体の医療機関の数自体が限られている中、限定的な診療のみを行うわけにもいきません。そのため当院では専門的な診療ではなく幅広い一般診療を行い、島の総合診療所として歩み続け、もう間もなく30年を迎えようとしているところです。

赤瀬先生がこの医院に来られた経緯や、先生ご自身の医師としての歩みも教えてください。

【赤瀬先生】僕は院長の甥にあたり、同じくこの伯方島の出身です。もともと人を助ける仕事がしたいという思いもあり、当初は消防士などの職業も考えたのですが、やはり叔父の姿を間近で見ていた影響もあって医師の道へと進みました。高校卒業後に岡山県にある川崎医科大学へ進学し、その後は今治や西予などの病院にて研鑽を積む中、家庭医療や総合診療、プライマリケアの重要性を感じ、総合診療の医師の道を選択した形です。医師を志した頃から将来的に地元伯方島の人々のためになりたい、という気持ちもあったので、今回さまざまなタイミングが重なったきっかけもあり、2022年4月からこの医院で勤務させていただく運びとなりました。

慎一郎先生のこれまでの歩みや、今後の展望を教えてください。

村上篤信院長、赤瀬太一先生、村上慎一郎先生 有津むらかみクリニック2

【慎一郎先生】幼い頃から見てきた父の姿から医師を志し、愛媛大学医学部を卒業後、市立宇和島病院、大阪市立池田病院で研鑽を積みました。実際に医師として働く中で、父の大変さというのが身に染みましたね。いつかは地元に戻って地域医療に尽くしたいという思いがあり、家庭医療や総合診療の道を進みました。患者さんが何でも相談できるような診療を心がけたいと思っています。また、僕は病院勤務時代、家庭医療や総合診療の研修プログラムの統括も行っていました。今後もし機会がいただけるなら、地域医療に携わり若い先生方への研修にも取り組んでいきたいと思っています。

2023年5月建物も新たに移転リニューアルされたそうですね。

【村上院長】当院にはもともとさまざまな検査機器をそろえていたのですが、脳出血や脳梗塞などを早期発見するためのCT機器を増設したいと考えまして。そのスペースを増設するために、今回移転を思い立った形です。今回導入のCTでは全身を映すことが可能になり、脳疾患だけでなく急性肺炎や肺がんなどの疾患もよりこまやかに検査できるようになりました。また、以前は医院の駐車場だった場所に建物を一新しました。これまで以上にさまざまな患者さんの悩みや症状に対応できることに加え、場所もすぐ隣ですので、これまで通院いただいていた患者さんにも引き続き利用していただければと思います。

院内診療のみならず介護・福祉の面でも地域に貢献

先生方が主に診療、対応している分野はどのようなものですか。

村上篤信院長、赤瀬太一先生、村上慎一郎先生 有津むらかみクリニック3

【村上院長】一般内科的な診療はもちろんですが、私はもともとの専門分野から主に消化器系のがんの早期発見や治療、さらにがん患者さんの看取りも含めた在宅訪問診療を主に対応しています。島の住人もやはりご高齢の方々が多いので、必然的にそういった診療の需要が高くなっていますね。
【赤瀬先生】私の専門である家庭医療や総合診療は、比較的新しい医療分野でもあります。体全体の疾患を総合的に診療する分野で、診察の中でより専門的な治療が必要な際はそれぞれ適切な専門科へ紹介、連携を行うポジションです。トータルに患者さんを診療するため、専門分野を持つ医師とはまた違った大変さがありますが、地域医療に携わる身としては非常に重要な分野だと感じています。

院内での診療にとどまらず、島全体の地域医療に貢献する活動もされていると伺っています。

【村上院長】以前であれば症状によっては島外の病院でしか治療、入院対応ができないことも多かったのですが、特に看取りに関してはできれば長年慣れ親しんだこの島で心安らかに終末期を迎えたい、という島民の患者さんのお声も多く聞いていました。その気持ちに寄り添い医療人としてできることを広義に考えた結果たどり着いたのが、介護施設をはじめとした高齢者施設の開設です。グループホームやデイサービス施設の設立と並行で先述の往診などにも注力し、地域医療の支援として取り組んでいます。

患者さんと接する際、あるいは診療時に心がけていることはありますか。

村上篤信院長、赤瀬太一先生、村上慎一郎先生 有津むらかみクリニック4

【赤瀬先生】診察時に患者さんの訴えを適切に受け取れるよう、傾聴の姿勢を大切にし、患者さん自身をよく観察する、ということでしょうか。加えてご高齢の患者さんなどですと、認知症等で自分の訴えを正確に主張できない方もいます。その場合はご家族から患者さんに関する情報をいただくようにし、家族ぐるみで患者さんを診ていくことに気を配っています。

海を渡る負担なく、島内で必要な診療の提供を可能に

先生方が医師としてやりがいを感じるのはどのような時でしょう。

村上篤信院長、赤瀬太一先生、村上慎一郎先生 有津むらかみクリニック5

【村上院長】地域に密着して患者さんを診ていると、これという決まった正解はないんですよね。患者さんを看取る際などは常に「これで良かったのか」と自問自答が尽きません。ですがそんな終わりのない問いに向き合い続けることこそ、医師として地域医療に携わるやりがいのような気もしています。
【赤瀬先生】病気になることや結果として患者さんが亡くなることは確かに不幸ではあるのですが、その中でも患者さんや周囲のご家族に感謝の言葉をいただいたりすると、医師として全力で向き合えたんだな、と実感しますね。ただ本当はそういったことが起こらないのが一番ベストではあるので、やはり何度経験しても複雑な気持ちにはなってしまうのですが……。

多忙な日々かと思いますが、その中で休日はどのように過ごされているのですか。

【村上院長】昔はゴルフをしていたんですが、ここ30年ほどは楽器、サックスを吹いてますね。友人が今治でジャズイベントを時々開催しているので休日はそのお手伝いに行ったり、少し前からは先述した高齢者施設での慰問演奏を私自身が行ったりもしています。
【赤瀬先生】昔から釣りが好きだったので、休みの日にはこの近くでよく釣りをしていますね。季節にもよるのですが、この辺りだとタイやハマチなんかがよく釣れるんですよ。
【慎一郎先生】家族が大阪にいるので、休日は往復しています。子どもが伯方島に来た時、うれしそうに釣りをしていたのがうれしかったですね。

最後に今後の抱負や、読者へのメッセージをお願いします。

村上篤信院長、赤瀬太一先生、村上慎一郎先生 有津むらかみクリニック6

【村上院長】今治の伯方島という場所の地域医療について、これを機により多くの方に知っていただければうれしく思います。また私自身も赤瀬先生と一緒に、まだまだこれからも島民の皆さんの健康に寄り添う診療を続けていきたいですね。
【赤瀬先生】病院にかかる際、専門志向を持たれている方も今は多いですが、私のような総合診療を得意とする医師の存在もより大勢に知ってほしいなと思います。私のような医師の存在を今後もっと伯方島の方に広めることも、これからの目標の一つでもあります。
【慎一郎先生】調子が悪くても橋を渡って市街に行くのはかなりハードルが高いと思います。その分、こちらでより正確性のある診断ができたらと思っています。丁寧な診察と何でも相談できる診察をモットーにしてやっております。どんなことでも構いませんので気軽にご相談ください。

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