樫本 雅彦 院長、樫本 洋平 副院長の独自取材記事
かしもと内科・胃と腸の内視鏡クリニック 松山
(松山市/久米駅)
最終更新日:2026/07/21
樫本雅彦院長が1988年に開業し、地域のかかりつけ医として幅広い診療を続けてきた「かしもと内科・胃と腸の内視鏡クリニック 松山」。2021年には息子である樫本洋平先生が副院長として加わり、二診体制で診療にあたっている。雅彦院長が大切にしてきたのは、「患者さんの道しるべとなる医療」。専門分野にとらわれず、一人ひとりの症状や生活背景まで含めて診る全人的な診療を貫いてきた。一方、洋平副院長の専門は消化器内科および内視鏡検査。「松山市のがん死亡率を少しでも下げたい」という強い思いを胸に、苦痛の少ない内視鏡検査と早期発見・早期治療に力を注いでいる。それぞれの経験と専門性を生かし、地域医療の新たな形を築く2人に、患者への想いや今後の展望を聞いた。
(取材日2026年6月18日)
地域のかかりつけ医と内視鏡検査の専門性を両立
雅彦院長のご経歴と開業の経緯について教えてください。

【雅彦院長】私は徳島県出身ですが、愛媛県立中央病院消化器内科で長く診療経験を積んできました。ご縁があって松山市で1988年に開業し、現在まで地域のかかりつけ医として診療を続けてきました。専門は消化器内科ですが、勤務医時代は救急医療や循環器、呼吸器など幅広い診療を経験しました。だからこそ、「これは専門外だから診ません」というのではなく、まずは患者さんのお話をしっかり伺い、必要に応じて専門家へつなぐ、その入り口となる存在でありたいと考えています。
2021年から親子二診体制となりました。どのような想いを感じていますか?
【洋平副院長】父が長年築いてきた診療スタイルを間近で学べることを一番ありがたく感じています。私は大学病院や関連病院で消化器内科を中心に経験を積んできましたが、患者さんとの接し方やコミュニケーションの取り方は、本当に勉強になります。
【雅彦院長】私も心強いですね。私は地域のかかりつけ医として幅広く診てきましたが、彼は内視鏡診療に高い専門性を持っています。お互いの強みを生かしながら、患者さんにとってより良い医療を提供していきたいですね。
洋平副院長が内視鏡検査に力を入れている理由を教えてください。

【洋平副院長】大学病院や関連病院では、進行したがんの患者さんを診る機会が数多くありました。そのたびに、「あと1年早く胃カメラや大腸カメラを受けていれば」と、感じることが少なくありませんでした。だからこそ、松山市のがん死亡率を少しでも下げたいという思いがあります。がんは初期の段階では自覚症状がほとんどありません。症状が出てからでは進行しているケースもあるため、何も症状がないうちに検査を受けることが大切です。外来でも健診や内視鏡検査の受診歴をお聞きすることがありますが、それは患者さんに後悔してほしくないからです。今は以前に比べて苦痛の少ない検査が可能になっていますので、まずは気軽に相談していただきたいですね。
苦痛の少ない内視鏡検査のために、どのような工夫をされていますか?
【洋平副院長】内視鏡検査で一度つらい思いをすると、その後の定期検査から足が遠のいてしまい、病気の発見が遅れることにもつながります。そのため、鎮静剤を使用した検査の提案やカメラの操作一つ一つにも細心の注意を払い、患者さんが少しでも楽に検査を受けられるよう心がけています。また、がんを見逃さないための検査精度も重要です。粘膜のひだの陰など見えにくい部分まで観察するため、空気の入れ方やカメラの角度を細かく調整しながら検査を行っています。
【雅彦院長】内視鏡はほんの少し力の入れ方や角度が違うだけで、患者さんの負担が変わります。副院長の内視鏡検査における繊細な感覚や技術は、私も頼もしく感じています。
内視鏡検査で消化器がんの早期発見・治療へつなげる
消化器内科は、どのような症状のときに受診すればよいのでしょうか?

【雅彦院長】胃の痛みや下痢、便秘といった便通異常などの症状に加え、「咳がなかなか止まらない」「喉に違和感がある」といった症状が、実は逆流性食道炎によるものということも考えられます。また、女性の場合は貧血の原因が生理の影響だと思っていたら、大腸がんから出血していたということもあり得ます。いつものことだからと軽視せず、一度検査に来ていただけたらありがたいですね。
【洋平副院長】消化器の病気は、意外な症状として現れることも少なくありません。だからこそ、自己判断せず、一度相談していただきたいですね。症状だけでなく、健診で異常を指摘された方やご家族に消化器の病歴がある方も、早めの受診をお勧めしています。検査が必要な場合は、その理由や優先順位を丁寧にご説明し、患者さんに納得して選んでいただける診療を心がけています。
診療する上で、大切にしていることは何ですか?
【雅彦院長】患者さんを「全人的に診る」ことを大切にしています。「これは専門外だから診られません」と線を引くのではなく、まずは患者さんのお話をしっかり伺い、できることは自分が対応し、必要であれば専門の医療機関をご紹介する。それが地域のかかりつけ医の役割だと思っています。
【洋平副院長】私はまず、患者さんの主訴をくみ取った上で、考えられる病気や必要な検査を丁寧にご説明することを心がけています。その上で、どの検査を受けるかは患者さんご自身に選んでいただきます。医療は医師が決めるものではなく、患者さんが納得した上で進めることが大切だと思っています。信頼関係を築くためにも、わかりやすい説明を欠かさないようにしています。
消化器内科医として、どのような時にやりがいを感じますか?

【洋平副院長】やはり、病気を早期に発見できた時ですね。定期的な検査でポリープや初期のがんを見つけることができたとき、この仕事をしていて本当に良かったと感じます。一方で、進行がんの患者さんを診るたびに、「もっと早く検査を受けていただけていたら」と、思うことも少なくありません。その経験が、健診や内視鏡検査を積極的にお勧めする原動力になっています。
【雅彦院長】当院に長く通院してくださっている場合、「最近検査していないですね」と検査をご案内することがあります。定期的な検査で、病気の早期発見につなげられればと思っています。長く地域医療を続けていると、患者さんやご家族とのご縁が何十年も続くことがあります。その積み重ねも、この仕事ならではの喜びですね。
地域の人々の健康を支える存在であり続けたい
お二人が医師を志したきっかけを教えてください。

【雅彦院長】私が育った徳島県の地域は医師の少ない場所で、困ったときには地域のクリニックの先生が何でも診てくださいました。その姿を見て育ち、「自分も地域の役に立つ医師になりたい」と、思うようになりました。勤務医時代にさまざまな診療科を経験したのも、どんな患者さんにも対応できる医師になりたかったからです。
【洋平副院長】私は三兄弟の末っ子なのですが、兄たちは獣医学の道に進みました。私も動物が好きだったのですが(笑)、父の背中を見て育ったこともあり、医師を志すようになりました。最初は別の診療科にも興味がありましたが、命に直結する病気の早期発見がめざせる消化器内科に魅力を感じ、この道を選びました。
今後、どのようなクリニックをめざしていきたいと考えていますか?
【雅彦院長】これからは一人の医師だけで支えるのではなく、それぞれの専門性を持った複数の医師やスタッフが力を合わせるクリニックが求められる時代だと思います。外来診療だけでなく、訪問診療や在宅医療にも力を入れながら、地域の皆さんを長く支えていける体制を築いていきたいですね。
【洋平副院長】私は、消化器診療を軸に、内視鏡や腹部エコーを生かした早期発見・早期治療にさらに力を入れていきたいと考えています。その上で、生活習慣病や睡眠時無呼吸症候群などの診療にも取り組み、地域の皆さんが安心して健康に関する相談ができるクリニックであり続けたいです。
最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします。

【洋平副院長】「まだ大丈夫」と思っていても、自覚症状のない病気は少なくありません。体調で気になることがある方はもちろん、健診で異常を指摘された方やしばらく検査を受けていない方も、一度ご自身の体の状態を知る機会をつくっていただきたいですね。
【雅彦院長】どんなに小さな不調でも、一人で悩まずに気軽に相談してください。私たちは地域のかかりつけ医として、患者さんに寄り添いながら、一緒に健康を考える存在でありたいと思っています。

