上甲 裕継 院長、上甲 謙亮 副院長の独自取材記事
上甲内科整形外科
(松山市/北久米駅)
最終更新日:2026/04/17
1989年の開業以来、長きにわたり地域に根差した整形外科として歩んできた「上甲整形外科」。この春、新たに内科が加わり、親子2人体制のクリニックとして「上甲内科整形外科」にリニューアルし、スタートを切る。上甲裕継院長は地域医療やリウマチ診療などに携わり、患者の生活環境に合わせた治療を提供し続けてきた。今回、循環器内科を専門とする息子の上甲謙亮副院長が着任。それに伴い、院内の1階を改装して新たな診察室を設けるなど、互いの診療科が連携しやすい環境に整えた。整形外科的な明確な痛みから内科領域の不調まで、幅広い悩みに親子で対応し、地域の頼れるかかりつけ医として歩みを進める2人に、日々の診療への想いや今後の展望について聞いた。
(取材日2026年3月7日)
内科と整形外科、親子2人体制で新たなスタートを
内科が加わりリニューアルされますが、経緯と院内のこだわりを教えてください。

【裕継院長】当院は1989年に開業し、今年で約38年になります。今回、息子が内科の医師として加わるにあたり、使っていなかった1階を改装して第2診察室を設けました。こだわったのは、お互いの診察室を細かく仕切らない空間づくりです。すぐに行き来ができる、風通しの良い環境を整えました。
【謙亮副院長】子どもの頃から「医師になれ」と言われたことはありませんでしたが、自然と同じ道を歩んでいました。近年、地域で閉院していく医療機関が多い中、父が長年積み上げてきた信頼を父の代で終わらせてしまうのはもったいないと感じ、私が一緒に診療することに決めました。内科的な側面からも患者さんをサポートしていきます。
お互いの専門分野が連携することで、患者さんにはどのようなメリットがありますか?
【裕継院長】整形外科を受診する方の関節の痛みや腫れが、実は尿酸値の高さが原因の痛風など、内科的疾患からきている場合も少なくありません。当院には高血圧などの生活習慣病を抱える高齢の患者さんも多いです。そうした日々のコントロールを内科でバックアップしてもらえることは、整形外科としても非常に安心感があります。
【謙亮副院長】整形外科の患者さんは「ここが痛い」と症状が明確ですが、内科は「動くと胸が痛い」「動悸がする」といったふわっとした症状で来られることがあります。両科が併設されていることで「とりあえず行けばどちらかで診てもらえる」という安心感を持っていただけるはずです。それが隠れた病気の早期発見にもつながると思います。
それぞれ、医師をめざしたきっかけや原点についてお聞かせください。

【裕継院長】父が教員で特別支援学校の立ち上げに関わっていたため、私は子どもの頃から障害のある子どもたちと接する機会が多くありました。彼らの身体的な不自由さを少しでも改善する手助けがしたいという当時の想いが、今の「患者さんの生活に寄り添う」という整形外科医として診療を行う姿勢の根底にあります。
【謙亮副院長】私も不思議なもので、父と似た原点を持っています。以前、脳性まひを抱える子どもたちと交流する中で医療という分野に惹かれ、医師を志しました。今は循環器内科が専門ですが、病気を抱えて生きる人の力になりたいという根本的な想いは同じです。病気だけでなく、その方の背景まで見つめられる医師でありたいですね。
それぞれの専門性を生かし、適切な治療を提供したい
長年診療を続ける中で、大切にされている方針やスタンスがあれば教えてください。

【裕継院長】常に心がけているのは、きちんと説明し、納得していただいてから治療を進めることです。痛み止めを処方するだけでは長続きしません。「炎症を抑えないと治らない」という理由を丁寧に説明し、できるだけはっきりとした診断名をお伝えしています。自分の状態を正しく理解していただくことが、前向きな治療につながると思っています。
【謙亮副院長】私は、患者さんがよくわからないまま薬だけが増えていく状況を避けたいと考えています。今どのような状況だからこの薬を使うのか、しっかり理解していただくために対話を重視します。また、内科には漠然とした不安を抱えて来る方も多いため、どんなに小さなことでも話しやすいよう、温かい雰囲気づくりを大切にしています。
クリニックとしての強みや、これまでの経験が生きていると感じる部分はありますか?
【裕継院長】長年の診療で経験した「うまくいかなかったこと」の積み重ねが、今の診断に生きています。もう1つの大きな強みは、医師会での活動で培った地域の医療ネットワークです。「この症状ならあの先生に」という多くの選択肢があり、他科の先生にも気軽に相談や紹介ができる関係性は当院の大きな財産です。
【謙亮副院長】父が築き上げてきた強固な医療ネットワークは、クリニックにとって本当に心強い土台です。私はこれまで基幹病院などで循環器内科の診療に携わってきました。初期症状を見逃さずに適切な医療機関へつないだり、慢性的な心不全や不整脈の管理を行ったりと、これまでの経験と父のネットワークをかけ合わせることで、より質の高い医療を提供できると考えています。
高齢化が進む中で、地域における医療機関の役割をどうお考えですか?

【裕継院長】介護保険制度が始まり、高齢の方の生活環境は大きく変わりました。長く自立した生活を送っていただくためには、単に病気やけがを治すだけでなく、介護保険の認定状況なども把握し、その人の生活スタイルに合わせた包括的なサポートをしていく必要があります。社会の変化に合わせて、私たち医療機関も柔軟に対応していくことが求められています。
【謙亮副院長】循環器疾患などは一生付き合っていく慢性疾患が多く、高齢になるほど複数の病気を抱えるリスクも高まります。私たちの役割は、状態を悪化させて入院するような事態を未然に防ぐことです。日々のちょっとした体調の変化に気づき、薬の調整や生活指導を行うことで、地域の皆さんが住み慣れた家で、穏やかに過ごせるよう伴走していきたいです。
自分の体を知る、最初のきっかけとしての活用を
「かかりつけ医」として、患者さんには貴院をどのように利用してほしいと思われますか?

【裕継院長】最大の役割は、患者さんにとっての「医療の最初の窓口」になることだと思っています。当院で治療できるものは責任を持って治療しますが、専門的な検査や手術が必要な場合は無理に抱え込まず、適切な専門機関へと迅速につなぎます。どの医療機関に行けばいいか悩む前に、まずは気軽に相談に来ていただき、病気の早期発見に役立ててほしいです。
【謙亮副院長】「軽い症状で行ってもいいのかな」と遠慮される方がいますが、まったく気にする必要はありません。何も異常がなければそれで安心できますし、自分の体を知るための最初のステップとして、迷った際の駆け込み寺として活用してください。
他医療機関との連携で、気をつけていることや心がけていることがあれば、お聞かせください。
【裕継院長】すべてを自分たちで抱え込まないことです。例えばリウマチの患者さんでも、明らかな合併症があればすぐに連携している近隣の大規模病院へ相談します。自分の専門外のことや、より高度な医療が必要な場合は、適切なタイミングで見極めてバトンを渡す。それが結果的に、患者さんにとって一番の利益になると考えています。
【謙亮副院長】私も同じ考えです。循環器内科の中でも、心筋梗塞の急性期治療などは今の設備では対応できません。基幹病院での経験から、どのタイミングでどの医療機関にお願いすべきかがわかるので、スムーズな連携を大切にしたいです。
地域の患者さんや読者の方へメッセージをお願いします。

【裕継院長】長年多くの患者さんを診させていただき、地域の皆さんに育てていただいたと感謝しています。年齢を重ねればあちこち痛むものですが、今の環境の中で最大限に動けるようにと工夫をし、治療していくことに努めています。痛みをご自身だけで抱え込まないでください。息子が加わり、より広い視野でサポートできる体制が整いました。安心して足を運んでいただければ幸いです。
【謙亮副院長】父が大切にしてきた地域医療の精神を受け継ぎつつ、内科の医師として、新しい視点を取り入れていきたいです。整形外科的な明確な痛みも、内科的な漠然とした不安も、ワンストップで相談できることが皆さんの安心感につながればうれしいです。病気を治すだけでなく、その方の人生までも一緒に考えて「あそこに行けばなんとかしてもらえる」と思えるクリニックをめざします。

