三宅 康之 院長の独自取材記事
三宅内科胃腸科
(松山市/土居田駅)
最終更新日:2021/10/12
1980年の開業以来、松山市土居田町で地域に根差した医療を展開している「三宅内科胃腸科」。2017年1月、前院長である父・三宅正夫先生の後を継いだ三宅康之先生が2代目院長に就任し、現在は親子2代、そして三宅院長の妻であり、現在は育児休業中だという三宅はるか先生の3人の医師が在籍する。「地域のかかりつけ医」として風邪や腹痛などから総合的に患者を診ている。特に力を入れているのは経鼻で行う胃の内視鏡検査や、大腸内視鏡検査で病気の早期発見に努めることや、糖尿病をはじめとする生活習慣病の診療。日本糖尿病学会糖尿病専門医として、患者一人ひとりに合わせて生活習慣の改善などを提案し、症状のコントロールをめざす三宅院長に、地域医療を追求する医師としての想いについて話してもらった。
(取材日2020年2月19日)
親子2代にわたり、地域医療に尽力
お父さまが開業された三宅内科胃腸科を引き継がれるまでの経緯を教えてください。
祖父が松山市北条で内科医院を開業していて、父の代でこの地に移ったという経緯もあり、私も子どもの頃から医師という仕事を意識していました。ですから、医師を志した時点で、いずれは父から受け継ぐことは考えていたんです。愛媛大学医学部を卒業後、愛媛県立中央病院や愛媛県立今治病院での勤務を経て、2007年にこちらに戻ってきました。それから10年たった2017年に院長に就任し、名誉院長となった父と、同じく内科医師である私の妻の3人体制で診療にあたってきました。
患者さんの年齢層や受診理由はどのようなものが多いですか?
地域の患者さんが中心なのですが、ご高齢の方が多いですね。上は95歳の方も通院されていますよ。受診される理由としては、当院は消化器内科ですから消化器疾患の方はもちろん、最近は糖尿病や生活習慣病の患者さんも増えています。とはいえ、風邪や胸焼け、下痢、便秘といった胃腸のトラブルなど間口は広く、どんな症状であってもまずはしっかりと診て、初期対応に努めることがかかりつけ医の役目だと考えています。
お父さまもまだまだ現役で診療を行っているそうですね。
そうなんです。開業医には定年がありませんからね。父はもう80代ですが、現役で仕事をしているからこそ今でも元気なんだろうなと思います。1980年に父がこの地で開業して以来一緒に歳を重ねている患者さんもいて、そういった方は父の外来の日を選んで来院されます。父と話して帰るのが一番の治療なのかもしれませんね。お互いに顔を合わせて世間話をすることが元気の秘訣みたいで。長く続いているからこその患者さんとのそんな関係性は理想的ですね。私では嫌だという患者さんもいるんですよ(笑)。
糖尿病の専門家として生活習慣の改善をサポートする
先生が力を入れている診療について教えてください。
専門とする消化器内科については、まずは胃腸のトラブルで来られた方への胃内視鏡検査や大腸内視鏡検査などを用いた適切な診断を行うこと。痛みや胸焼けなど不調の原因がわからないままでは不安でしょうし、それがストレスの原因にもなりますからね。検査をして所見がないのに症状がみられる場合は、ストレスが原因ということが多いんです。最近患者さんが増えている逆流性食道炎などもそうです。緊張すると胃が痛くなったりおなかを下したりするように、ストレスは胃腸の働きを狂わせることがあるのです。悩むよりは早く検査をして、安心していただきたいと考えています。また、糖尿病をはじめとする生活習慣病の治療にも注力しています。
糖尿病の診療について、先生が心がけていることとは?
糖尿病は生活習慣病の一つですから、その原因となるのは患者さんの生活環境や日々の習慣であることが多く、それは人それぞれ違います。なのでまずは患者さん一人ひとりのライフスタイルやお仕事などをしっかりとお伺いして、どこをどう改善していくか、寄り添った治療計画を立てることが求められます。糖尿病の治療は生活習慣の改善が鍵を握りますが、ここで大切なのはすべてをノーと言わないこと。例えば食事についても、何でもかんでも食べてはダメではなく、必要なエネルギーをきちんと取りましょうと。果物は3つではなく1つにするとか。お酒が好きな方には、禁酒ではなくまずは休肝日を設けたり、飲む量を減らしたり。また運動に関しても、まずは5分歩くことから始めるなど、できることから生活の改善に取り組んでいくことが、継続にもつながります。
実際に通われている糖尿病患者さんにも意識の変化はみられますか?
そうですね。糖尿病で通院されている患者さんには、毎回血液検査をして、その結果をもとに状況をご説明します。食べ過ぎたり、運動をさぼったりすると、その結果は数値として顕著にあらわれますから、「今月は不摂生をしてしまったな」と自覚していただいた患者さんは、次回以降、生活習慣の改善がみられることが多いですね。逆に、数値が良くなると治療のモチベーションアップにもつながりますし。糖尿病など生活習慣病というのは、最終的には自己管理の問題です。通院は月に1回程度ですから、どれだけ日々のセルフコントロールができるか。症状が安定してくれば生活改善への意欲も増すと思いますから、今後も意識づけはしっかりと行っていきたいと考えています。
患者の目線に立った医療の実践を
漢方薬も取り入れているそうですね。
漢方薬というのは、同じ症状でも合う人は劇的に効く可能性もあれば、合わない人にはまったく効果がみられないということもあります。一般には苦いといわれる薬でも、そう感じずに飲める人には効きやすいといわれているのも、薬との相性だと思うのです。それで当院でも、その人に合った薬を提案するために、西洋薬で対応できない部分は漢方で補う形をとっています。当院は院内処方なので、当院にあるお薬での対応にはなりますが、症状に合わせてご提案しています。
院内処方は最近では珍しいと思うのですが、その理由とは?
当院では開業以来、院内処方でしたから、それを変えることはできないと思いました。長年通ってくださっている患者さんはご高齢の方が多く、足腰の不自由な患者さんに当院に来ていただいた後にさらに薬局まで行っていただくのはしのびなくて……。もちろん当院でご準備できない薬などは薬局での処方になりますが、基本的には院内処方を続けています。
患者さんへの気遣いはバリアフリーの院内からも感じられます。
そう言っていただけるとありがたいですね。外観は開業時からほとんど変わっていないので年季の入った医院に見えるかもしれませんが、院内は6年ほど前に改装しました。かつてはバリアフリーではなかったためにちょっとした段差があったり、トイレも狭く男女共用だったりと不便な点がありましたから、私が当院に戻ってきてから大規模な改装を計画したのです。まずは院内をバリアフリー対応にすること。入り口から待合室、診察室までの動線をスムーズに、また明るく開放的な空間づくりも心がけました。トイレも男女それぞれにゆとりあるスペースを設け、高齢者や車いすの方も安心して利用できる多目的トイレも設置しました。昔から通院されている患者さんにも喜んでいただけているようです。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
この場所は私の地元ですから、まずは地域の方に安心していただける場所であり続けたいと思っています。そして、内科として風邪でもアレルギー性鼻炎でも花粉症でも、基本的にはなんでも診るという姿勢を大切にしています。かかりつけの患者さんは腰や膝の痛みを訴えて来られる場合もありますが、最初から「整形外科へ行ってください」ではなく、まずは症状をお伺いし、当院でできることを行った上で必要があれば専門の先生を紹介する。内科はすべての窓口ですから、まず初期対応をすることは常に念頭に置いて患者さんと向き合っています。ですから、「何か調子が悪い」「健康診断で血圧が高いと言われた」「気になる症状があるけどどの診療科に行けばいいのかわからない」などありましたら、悩む前にお気軽にご相談ください。